上海ディズニーランドの正式オープンが近づくにつれ、プレオープンで入場した観客のマナーの悪さに関する多くの醜聞が伝わっている。
その中でも深刻なのがトイレに関するもの。
大人子供問わず、建物の陰でついつい用足しをしている姿が見かけられたと伝わっている。
折角の夢の楽園も中国人のマナーの悪さにかかっては台無しということのようだが、まあこの状況について、中国人来園客ばかりを責めるのはどうも間違っている気がする。
何故なら中国の公共施設はもともとトイレの設置数が圧倒的に不足しており、需要に見合った数が設置されていないからであり、それ故の仕方ない行動のように思えるからである。
地下鉄の駅を例にとればわかりやすいが、乗換駅のようなトイレでも1か所しかトイレが設置されていない箇所は少なくなく、しかもそれぞれ2~3個しか用意されていないので非常に規模が小さい。
今回の上海ディズニーランドのトイレだが、残念ながらテーマパークの内部のトイレ数については、内部のMAPを手に入れていないの正確な状況は把握できていない。
ただ、すぐとなりの生態園といわれる公園地帯へのトイレ設置状況からおおよそのトイレに関する設置規模が推定できる。
数えてみたところこの生態園にはトイレが5か所しか設置されていないようである。
面積的には40~50haある公園であり、10haに一か所という割合となり、どうも少ないように感じる。
しかもエリア的に疎になっている部分もあるので、トイレに駆け込むまで300m以上距離が有るエリアも沢山あるのである。
300mあると大人の足で3~4分、小さな子供だと10分近くかかり、つまりこの状況だとトイレを諦めてその辺で、、、となってしまうのは仕方ないことのように思える。
このあたり日本の公園はどうなっているのかということが知りたくなり、昔行ったことの有る埼玉県の「国営武蔵丘陵森林公園」のMAPを調べてみた。
すると、ほぼ200mおきにトイレが設置されており、つまり100m以内にトイレがある状況で、これなら大人なら1分、小さな子供が自力で歩いても2~3分でトイレにたどり着ける。
つまりこの公園では上海の半分以下の時間でトイレに行けるわけで、この差は随分と大きいといえる。
故に、上海の醜聞は来園客のマナーの悪さも無いとは言えないが、圧倒的に環境が整っていないことも一因といえ、間に合わないと判断した親がその辺りで用を足させるのが習慣となってしまっている可能性も高いのである。
ちなみに東京ディズニーランドは上記の生態園とほぼ同規模の50haであるが、トイレは18個所設置されていて3倍以上であり、およそ100mも歩けばトイレを見つけられる状況のようである。
上海ディズニーランド内にどの程度のトイレが設置されているかは今のところ分からないが、同時開発の隣接の公園の状況から推測すれば、およそ東京ディズニーランドには及ばないトイレ状態だということは容易に想像できる。
東京でさえ女性用トイレはいつも行列で足りないと言われており、上海ディズニーランドも恐らく現状のままでは深刻なトイレ不足となるのは間違いないと思われる。