つい先日日本の景気と消費税の関係について疑問を呈したことをブログに書いたが、実際の物価数値はどうなっているのか気になって、経済産業省の消費者物価統計のデータを覗いてみた。
すると見事、為替変動の影響がモロに出ているデータを見つけた。
円安の物価上昇の典型として、エアコンと電子レンジの消費者物価指数が消費税引き上げ前の今年1月あたりから前年同月比で15%前後も上がっていたのである。
これらの品目は、最近は国内生産が非常に減っていて、報道によればあるメーカーは日本国内向けの7割ほどが中国などの海外生産にシフトしているとされており、円安の進行はそのまま輸入コスト上昇に繋がっており、販売価格を押し上げているとのこと。
またその推移をみると消費税の引き上げられた4月にはほとんど影響が見られない形となっており、消費税引き上げがこれらの物価にほとんど影響を与えていないことが分かる。
またこの白物家電のほかにも、牛肉や魚介類、食用油、小麦粉などが軒並み15%近くの上げ幅となっており、その値上がりは今年4月ではなく今年1月や昨年秋から既に始まっている状態なのである。
まあこれは日本が米以外の食糧についていかに輸入で成り立っているかの現われでもあるのだが、これらの輸入品に関する物価は消費税に関係なく、前年比で二桁以上の値上がりをしているのである。
もちろん、統計を見ると消費税の引き上げ幅に合わせて2.85%程度(対5%時期比)の値上がりを示している品目があるが、これらは清掃費などほとんどのコストが人件費で占めるサービス品目である。
これらが消費税の引き上げ幅しか上がっていないということは人件費などのコストは上がっておらず、賃金は変わってないということを意味する。
加えて今年は冷夏であったのであり、夏に延びるエアコンなどの販売が値上げの原因を含めて伸びなかったのは自然な反応で、7~9月期のGDPに悪影響を与えたのは当然とも思える。
結局、過去半年間に景気に影響を与えた物価上昇には確かに消費税も含まれるが、その数倍も為替変動の円安の影響によって物価が上がっており、為替や冷夏が消費の足を引っ張っていた状態が今回のGDPのマイナス成長の結果なのだと思えるのである。
ただまあアベノミクスをフォローする気はさらさらないのだが、今回の為替変動で製造業が国内シフトの動きを見せており、国内の産業が回復する兆しもある。
これらの経済の動きが政権の望んだ方向なのかは分からないし、望んだ方向であっても動きが予想よりものより遅いものなのか分からないが、一つの転換機を迎えているのは確かで、今回はその過程でのマイナス成長だったという気がするのである。
それを細かい内容の点検もせず、消費税が景気にマイナス影響を与えたと思い込んで、決まっていた引上げを先延ばしにするような政策姿勢では、成功する政策も成功しなくなってしまうのではないかという気がする。
どうも選挙対策的な小手先の対応が目に付き、不安ばかりを喚起させる現政権の最近の対応となっている。