「鳥の巣」のモデルは「鳥の巣」ではなかった!

北京オリンピックのメーンスタジアムとして準備が進んでいる通称「鳥の巣」ではあるが、私はこの建物の外観はその名の通り、中国自然文化の象徴として「鳥の巣」を模してデザインされたものだとばかり思っていた。しかし現実はどうやら違うようだ。
 この建物はスイスの建築家、ジャック・ヘルツォークさんとピエール・ド・ムーロンさんという方がデザインしたものらしいが、なんと中国らしさを全く意識せず、いやむしろ中国らしさという考えかたを全く排してデザインしたものらしいのだ。どうやら「鳥の巣」の愛称はあとから中国人がつけたもののようだ。

 これには全く驚かされた。

 そのくらい、この「鳥の巣」という愛称はあの外観に対してしっくりくるし、あらゆるニュースで耳にし、中国っぽくていいデザインだなと感じていた。
 私は「鳥の巣」という自然を模した中国人のデザイン感性を素晴らしいと勝手に勘違いして賞賛していたのである。
 が、現実はデザイナーはスイス人で、モデルは「鳥の巣」でも何でもなかったのであり、事実を知ってちょっと小っ恥ずかしくなった
 

ただもしあのスタジアムに「鳥の巣」という愛称がつけられなかったら、どういった印象で世間に受け入れられていたのかを考えると非常に興味深い。もしかすると単なるアバンギャルドで無機的な現代建築としての印象でしか受け取ってもらえなかったかもしれない。
 結局そこに「鳥の巣」という愛称をつけ、自然のイメージを与えた中国人の感性がやっぱり素晴らしく、その愛称はあっという間にメーンスタジアムの代名詞となり、今やオリンピックを控えて、北京のメーンスタジアムは世界が認める「鳥の巣」になりつつある。
 あと2ヶ月で「鳥の巣」はオリンピックの本番を迎えることになるが、本物の鳥の巣のように、ここで新たな命が育まれ、ここから世界中へ羽ばたいていくような場所としてのオリンピック大会が開かれることを祈りたいし、あのスタジアムを「鳥の巣」と名づけることのできる中国人の命への感性を是非信じたい。
 





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