先日、バイオリンなどを含むライトな音楽の演奏会を訪れた時のことである。
開演前にに舞台上をよく見ると譜面台上に乗っていたのは楽譜ではなくIpadであった。
ああ、今やそれでも成り立つんだなと思った。
ビジネス上の書類が電子データで成り立つのだから楽譜とて紙である必要は無い。
当然ながら破れにくいし持ち運びは簡単なので、Ipadであっても代用が可能なのである。
実はIpadで演奏している奏者は今回が初めてではなく二年くらい前にもイタリアの楽団でトランペット奏者が使っていたのを見たことがある。
その後も数回くらいIpadに楽譜を表示させて演奏している奏者を見かけた。
ただそのように演奏している奏者の絶対数は少ない。
何故であろうか?
察するに、まず画面が小さいというのが最大の欠点として上げられる。
通常の楽譜は見開きA3サイズくらいのものが良く使われているが、IpadはおおよそA4サイズであり、表示出来る内容が半分、或いは表示サイズが半分の大きさになってしまい。視認するのに限界があるということになる。
次に指揮者等の指示など書き込むのに不便なのかなと想像する。
オーケストラなどではリハーサル時に細かい指示が指揮者から出されるが、それなりに書き留めて置かないと、本番時に忘れてしまう可能性があり、結構書き込みを行うと聞く。
それゆえに、楽譜には書き込みがたくさんあるという。
しかしこれがIpadだと、一応書き込めるようにはなっているが、鉛筆ほどには自由には書き込めないのが現実なのではないだろうか?
少なくとも、私がタッチペンを使う限り、鉛筆程の使い勝手の良さは感じないのである。
そして、もう人とつの理由として液晶画面は発光している情報を表示しているので、目を痛めやすいというのもあって音楽家から避けられているのではないかと言う気もする。
音楽家にとっては恐らく耳の次に大事な感覚器官は目であり、それこそ楽譜が読めなくなったら商売上がったりなのであり、液晶のライトは避けたいのが本音なのではないだろうか?
よって今後も音楽家たちは基本的に紙の楽譜を使いつづける気がしており、Ipadなどのタブレット端末の利用は限定的になるのではないか、そんな気がする。