日本世府は国民が把握できていない。
コロナ対策として、日本政府が日本国民に向けて配布した国民一人当たり10万円の給付率が全世帯の99%に達したとの報道が、一週間前ほど前にあった。
しかし、この報道には些か誤解がある。
どこが誤解という99%という数字の母数は全国民ではないからである。
どうして全国民ではないのかと言えば、この数値の母数は住民台帳に記載されている世帯を母数としてはじき出された数字であるからである。
残念ながら現在の日本の法制度のもとでは住民台帳には全国民が掲載されているわけではなく、例えば私のような住民票を抜いてしまった者は、全国どの自治体においても住民台帳には記載がないため、上記の対象者母数には含まれず、それゆえ10万円の給付対象者とはなっていない。
また住所確認のできないホームレスの方なども同様に住民台帳に記載ができないため、やはり給付対象にはならない。
このように、日本の戸籍制度というか住民台帳制度は住所を基礎として紐づけられているので、日本国内に居住実態が無ければ、途端に日本社会での存立基礎を失い、国民として数えられなくなってしまうのである。
住民台帳に記載がなければ、印鑑証明すらまともに取れないのが日本の制度であり、まともな社会活動一つ実行が出来ない状況になる。
さて、件の在外邦人への10万円給付問題だが、夏前の時点で給付されるような情報があったのだが、どうやら途中で立ち消えとなり、支給されないことが決まったような様子である。
やはり住民台帳上に記載が無いのが、根本理由の様である。
ところで10万円の件は横においても、日本政府は住民台帳に記載のない国民をきちんと把握できているのだろうか?
恐らく住民台帳から外れてしまった日本国籍者は全く把握できていないというのが私の見解である。
それゆえ上記の10万円についても、10万円を出し渋ったというより、住民台帳から外れてしまった国民を把握出来ていないが故に支給できなかったというのが実は真相なのではないだろうか?
或いは支給を決めても、日本という国が住民台帳から外れた国民を把握できていない事が明らかになってしまう事が、世間で公になってしまうことを恐れたのかもしれない。
私自らの行政手続きを振り返ってみても、一応日本政府側に出生や死亡の届け出をする義務はあるものの、海外に住む上では怠ったとてあまり不便のない手続きといえる。
これらの手続きはいずれも本人自身で行えないものであるし、外国に滞在する限りにおいては国籍の問題を除けば不便を生じないものである。
来月、日本では5年に一度の国勢調査が行われるが、こういったアナログな調査方法は否定しないものの、もう少し近代的な管理方法があるべきかと感じる。
住所を基礎とする住民台帳管理方式が果たして現代にふさわしいのか、この10万円問題をきっかけに、政府の皆さんにはよく考えてもらいたいという気がする。