中国から待避帰国は賢い選択か?

  連日、新型コロナウィルスのニュースが巷をにぎわしているが、昨日と今日と政府が用意したチャーター便に乗って、武漢から邦人合わせて400人ほどが帰国した。
 彼らは帰国後に検査を受けて、具合が悪かった人は入院したようである。

また症状のない人は自宅待機も選択できたが、大半がホテルへ移り住み経過観察を受けることになったとされる。

これらの一連の流れの中で、ネット上ではやはり帰国者に対して遠慮のない言葉がぶつけられている。
例えば空港でインタビューを受けていた二人の男性のマスクのタイプや、つけ方について批判の書き込みが結構されていた。
 また、無症状のため検査を拒否した人もいたようで、それらを許した政府側の対応についても批難が寄せられている。

 このほか知り合いから間接的に伝わってきた噂によると、この春節期間に一時帰国したため、同窓会に参加しようとしたら、参加を拒否されたとの話があったとのこと。
 さらに単身赴任の男性が上海から帰国しようとしたら、奥さんから帰ってきてもいいいけど、ホテルで過ごして欲しいとされ、会いに行かないと言われたというようなブログの書き込みがあったとされる。
 奥さん本人はともかく、奥さんの両親からの抵抗が強く、幼い子供もいるため、安全が確認出来るまでは接触できないというような対応を受けたようだ。

 随分と気の毒な話である。

 このように邦人の帰国については、概ね数日前に心配した通りの状況となったわけだが、こうなってしまうと、今の段階で日本人として帰国待避という選択をすることが果たして賢い選択なのかという疑問が湧いてくる。

 昨日書いたように、確かに中国の衛生倫理は低く、日本に帰国するよりは新型コロナウィルス罹病の可能性は遥かに高いことは事実である。

 とは言え、発生源とされる武漢市の確認患者数は今日現在まだ5000人程度であり、1000万とされる人口の0.05%に過ぎず、未確認の患者がこの10倍いたとしても0.5%程度である。
 もちろんこれをもって安心できる数字にはならないが、市民の大半が発症しているようなイメージからはちょっと遠く、イメージが先行している印象だ。

 この新型コロナウィルスの致死率は2~3%となっていて。0.1~0.2%とされるインフルエンザに比べると確かに高いが、感染率と併せて計算すると、一定人口当たりの致死率は0.015%という数字になる。
 これに対してインフルエンザは、日本で毎年1000万人が罹病、つまり8%程度が罹病していることから致死率を計算すると0.016%という数字であり、現段階で比較するとインフルエンザも新型コロナウィルスも致死率として大差はないことになる。

 加えて、上記の日本での隔離要求や周囲の冷たい対応であり、そこから受ける精神的ダメージは計り知れず、罹病が判明することと同じくらいの辛さが存在するような気がする。

 であれば、今の段階で慌てて日本に帰国したところで、インフルエンザの罹病のリスクと合わせて考えると、とても安心して過ごせる状況にはないわけで、あまり賢い選択とは言えず、不要不急の用事が無いのであれば無理に日本に帰国する必要はないように感じる。

 実際、武漢でも居残りを決意した大学教授がいるという報道もあり、やはり慌てて帰国することだけが賢い選択ではないようである。
 とは言え当面は、人混みを避け、マスク着用や手洗いを確実に実施し、ウィルスをもらわない細心の注意が大事なのは言うまでもないのであり、残る人も帰る人も是非気を付けていただきたい。





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