小田急線複々線の下北沢駅における緩急入れ替え構造

 今週一時帰国をしており、ちょっと小田急線方面に足を延ばす予定があったので、先日ニュースで知った開通ばかりの小田急線の複々線を体験してきた。
 ニュースによれば代々木上原(事業起点としては東北沢)から和泉多摩川までの約10.4キロが複々線化し連続立体化されたとのこと。
これにより、停車駅の少ない優待列車と緩行列車の分離が可能になり、運行ダイヤ編成上、非常に効率が向上し、運転本数の増強やスピードアップが可能になったとしている。

 まあ細かい数字は小田急発表の資料に任せるとするが、芝居好きの私としてはこの小田急線の変貌により下北沢駅とその周辺の街がどのように変わっていくかかなり興味がある。

 聞くところによると下北沢駅は従来の地上駅から地下化され周辺の開かずの踏切と呼ばれた問題点などが解消されたとのこと。

 まあ開かずの踏切はともかく、駅の地下化については私は必ずしも賛成ではなく、「地下鉄は街を発展させるとは限らない」で、書いた通り、必ずしも街にとってはプラスに働かないのではないかと思っている。

 ところで、この下北沢駅は地下駅であることは分かったが、何故か緩行線と急行線の二階建て構造になっていた。

 普通こういった複々線の場合、共通停車駅は乗り換え客の便宜のため行先方向別の2面4線構造が組まれるのが通例なのだが、何故か乗り換えに不便な積層構造となっている。

 はてなぜだろう。

 この疑問を抱えたまま実際乗車してみて、疑問が解けた。

 実は小田急線の緩行線と急行線がこの下北沢駅のトンネル区間で入れ替わる構造を持っているのである。

 具体的にどういうことかといえば、東京メトロ千代田線は折り返しの必要のために、代々木上原駅では新宿方面からの小田急線の複線の間に割って入るように地上に顔を出す。

 そして、代々木上原駅で行先方向別のホームを経て、千代田線から来た列車はそのまま小田急線の緩行線に乗り入れるため、この区間の小田急線の複々線は緩行線が内側、急行線が外側という順番で配置されている。

 ところが、下北沢区間のトンネルを出た梅ヶ丘駅に至ると、複々線は急行線が内側、緩行線が外側となり、緩急が入れ替わっているのである。

 つまり急行線は上下線とも緩行線の下を潜って、緩行線の内側に入りこんだという構造になっている。

 これにより梅ヶ丘より西側の緩行線のみの停車駅は、対向式ホームとなっている。

小田急線下北沢駅周辺路線図

 果たしてなぜこのような、複雑なひねり構造を下北沢駅周辺にいれたのだろうか?

 鉄道設計者がゼロから設計し合理的に駅を配置するなら、複々線の緩行線は内側に配置し抱き込み式の島式ホームにもできたはずである。

 しかし、あえてそうしなかったのは、これまであった既存の沿線駅がそういう構造になっていたからにほかならない。
 つまり、過去からあった駅の構造をそれをそのまま利用したということになる。

 小田急線の梅ヶ丘駅以西は元々の複線の外側に待避線を作って駅を設置していたため、急行(通過)線は内側、緩行線は外側という原則で駅が作られていた。

 また、緩行線を抱き込みの島式ホームにすると外側の急行線も曲線が生じスピードにも制限がかかるので、なるべく直線が維持できるセンター方式のほうが有利だというのもあっただろう。

 つまり、過去の駅の構造を極力生かしつつ、代々木上原駅での内側の千代田線に接続する構造を両立させたのが、下北沢駅付近での緩急ひねり構造ということになり、その都合で生まれたのが下北沢駅の緩急二層構造ということになろう。

 東京周辺の鉄道はもともと複雑な構造を持った路線が多いが、また新たに複雑な構造の駅がうまれたという印象である。。





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