動画作成にコストがかかる理由

アニメ界の巨匠とも言える宮崎駿監督が長編アニメ制作から引退するというニュースが伝わり中国でも記事になっている。

 理由としてはは既に間もなく73歳という高齢になり、今回の最新作も前作から5年が経っていて、次の最新作を完成する頃には80歳近くになると想像されることから、制作責任を全うできるの自信が無いというようなことだったと思う。

 まあ宮崎駿監督の引退は残念な面があるものの、この説明には納得できるものがある。
 
 当たり前と言えば当たり前だが一つの映像作品を制作するには写真などの固定画像に比べ非常に時間がかかる。

 何故、映像作品を作成するのに時間がかかるというのかというと、動画自体が時間の尺を持った存在であり、製作と確認という作業を繰り返す作品づくりにおいては、作品の尺の長さが伸びれば伸びるほど、制作作業に時間かかることになる。

 例えば2時間の作品を作るためには、固定画面の撮りっぱなしなどでどんなに簡易に製作しても撮影作業と確認作業を合せて最低でも4時間の時間が必要であるということになる。

 それが写真なら、撮影も確認もほぼ一瞬で済むわけで、そこに作業時間の大幅な差が生まれることになる。
(まあ実際にはそんな簡単でもないが、動画作品に比較すればやはり一瞬である。)

 流石に私はアニメ制作の経験はないが、ビデオの編集はちょっとかじったことがあり、10分や15分の作品であっても動画映像の編集は気の遠くなるほど根気のいる作業であったことを記憶している。

 動画だけでなく、芝居の舞台用の音楽と効果音の編集においても、コンマ何秒のタイミングを調整するのに、何度も聞き直して調整するわけで、1分の音を納得する編集に仕上げるまでに、1時間や2時間をかけることが多々あったのである。

 それが2時間の長編アニメともなれば、例え機材が発達し人力を分散して作業を行なったとしてもストーリー構築から、絵コンテ作成、実際の映像作成作業までを統括する監督というポジションがどれだけ大変かは想像を絶するものがある。

 もちろん若いころなら、集中力も体力もあろうが、宮崎監督が既に70歳を超えた現在
においては1日のうちに集中できる時間が徐々に短くなってきているであろうことは容易に想像できるし、それを考慮すれば作品制作に今まで以上の時間を要することは予想できてしまったことなのだと思う。

 そして、制作作業に時間がかかるということは、それはそのまま人件費となって制作コストにも反映されるわけであり、ますます完成作品の興業面を含めた成功を難しくすることになる。

 以前、YOUTUBEの出現などに煽られた人が「これからは動画の時代だ」と時代の先進を目指すかのごとく気軽に叫んでいたのを思い出したが、その意識には全く制作コストなどが考慮されておらず、見たまんま聞いたまんまの言葉を発しているだけで、こういった制作側の実体を考えないお気楽な発言なのである。

 確かに現在では編集も何も無しの撮って出しの映像ならスマートフォンで誰でも簡単に撮影が出来るが、それとて現実的な時間コストは、写真などの固定画像に比べ何倍もかかっているわけである。

 残念ながら動画や音楽などの時間尺をもつ作品の作成には、その時間の分だけ作業コストがかかり、高くついてしまうのが宿命なのである。





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