さくら前線に沖縄が含まれない理由

 今年もあっという間に桜の季節が過ぎ去ってしまい、上海では既に初夏の陽気になっている。
 何週間か前にちらっと咲いているのを上海でも見かけたが、残念ながら桜の季節を満喫したと言うほどの季節は楽しんでいない。
とはいえ昨年はコロナでロックダウンの真っ最中となってしまっていたため、まともに外にも出られなかったことを考えると花を見かけただけマシとも言える。

そしてファイターズ戦中継を聴いている北海道のラジオからも札幌にも桜が咲いたというニュースが伝えられるようになった、
 これで沖縄から始まったさくら前線の北上も日本縦断を終えた、と思っていたが実は多くの予想において「さくら前線」は沖縄からはスタートしていない
 実はさくら前線のスタート地点は主に鹿児島など(たまに東京がトップになったりもする)であり、沖縄奄美地方は含まれないのである。

 それはなぜか?

 実はさくら前線の開花基準となるソメイヨシノ種が沖縄、奄美地方では生育しないため全国の開花予想マップに組み入れられないのである。
 その代わり沖縄ではヒカンザクラというヤマザクラ系の品種が標本木として決まっているため、開花宣言や花見などは本土同様に行われているようである。
 このヒカンザクラ、東京でも咲くのだが、東京での開花時期を比較するとソメイヨシノよりも2~3週間早い早桜の扱いとなっているため、ヒカンザクラとソメイヨシノを同様に扱ってさくら前線の中に組み入れるわけにはいかないようである。

 また北海道の東部や北部 (稚内、旭川、網走、帯広、釧路)も同様にソメイヨシノが咲かないため、実はエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)が標本木となっている。
 このエゾヤマザクラは関東などで比較するとソメイヨシノとほぼ同時期に咲くのでさくら前線の中に含めても違和感ない予想が出来るようだが、厳密には別の品種の開花予想が組み合わされて開花予想を行い「さくら前線」を構成している。

 ならばエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)を標本木としても良さそうだが、実はエゾヤマザクラは日本の南方では生育しないために、より広くカバーされているソメイヨシノにその座を譲っている事情となっている。

 さらにソメイヨシノは「ソメイヨシノ桜は明治政府のプロパガンダの名残?」で書いたように全て同じDNAのクローン種のため、こういった開花時期比較の上では、分かりやすい標本木の役割を果たすためには都合が良いようである。

 いずれにしても「さくら前線」というものは一部カッコつきの注釈が必要な用語となっていることは理解した方がよさそうである。





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