先日散髪に行ってきた。
私はローカルの行きつけを作ったので、洗髪込みで40元(≒650円)程度である。
上海に来たての頃は15元などいう時代もあったが、色々紆余曲折を経て、ここ数年は現在の理髪店に落ち着いている。
時々諸所の都合で仕方なく200元以上かかる店に行く場合もあったが、総じて概ね1回100元以下のお店でやってもらっている。
フリーペーパーに乗っているような日系のお店だと200元程度はかかるし、巷にあるローカルの美容院などもそんなには安くならない。
ところで、今回散髪している最中に、床屋の仕事というのは最後まで全自動にはならないのかなということを考えてみた。
まあ現代の技術をもってすれば恐らく全自動散髪機なるものを製作することは可能だと思う。
まず頭の形をCTスキャンで読み取り、さらに3D解析で髪の毛1本1本を捉え、頭の状態や髪質・髪型の現状を把握する。
そこへお客がヘアカタログから理想の髪形を選択し、自分の頭に当てはめてシミュレーションして、仕上がり状態を調整し実際に求める髪型を決定する。
そしてその決定された髪型に従って、機械が刈り込んだりカールをかけたりしていくなどの作業をCNC(コンピュータ制御のNC旋盤)のようなシステムで仕上げていく。
こんな自動散髪機は、現代の技術があればきっと作れるだろうに思うのである。
ただ問題になるのはコストである。
例えば、先日某ロボットメーカーのショールームを見せてもらったが、その時の話だとロボットのコストは1台数千万円以上かかるとのこと。
そこから推測するにこれだけ複雑な床屋マシンとなると億単位の覚悟は必至であろうに思われる。
もし仮に1億円と設定するならば、対顧客の料金が1000円だとすると10万人でペイする額となる。
これをもとに1日20人を捌いたとしても5000日かかる計算になり、つまり13年は回収までかかることになる。
もちろん、これはノーメンテナンスの計算であり、実際には場所代やメンテナンス費用などもかかってきて、コスト的にはもっと上がるはずである。
さらに上記のコストは仮の数字なので1億円で導入できる保証などどこにもなく、何十億という費用が必要になりそうな気がするのである。
一方で、ここ中国のように人力でやっても1000円もかからず髪が切れてしまう床屋もあるわけで、どうにも床屋の機械化は今のところコストが合わななさそうなこと必至である。
将来的には分からないが床屋というのはかなり未来まで食いッぱぐれがない職業のようである。