宇宙戦艦ヤマトで描かれる惑星位置を真面目に検証

 最近最新作が出て再びフィーバーしているスターウォーズだが、この状況に何となく日本人としての対抗心が頭をもたげ、日本版SFの大作と言える「宇宙戦艦ヤマト」を最近チェックするようになった。

 「宇宙戦艦ヤマト」は私が小さい頃の、もう40年以上も前に作られたアニメだが、YOUTUBEで改めて見る限りでは、そんな古い時代のものとは思えないほど、絵やストーリーがしっかりしているなという印象である。

 もちろん古いことは古いので画質がやや粗いのは目をつぶるとしても、手書きのセル画で作られたであろう映像はかなり手が込んでいて描写が細かいし、佐々木いさをさんの歌う歌・音楽も今でも古びた感じのしない不朽の名作である。
 
 さらに驚くのはしっかり物語を支えている数々の宇宙情報であり、その当時の宇宙研究の最先端であろう情報が結構細かくいっぱい詰め込まれている。

 まあ当時の日本は1969年のアメリカのアポロ計画の月面着陸の成功を受けた直後で宇宙熱の高い時期でもあり、その時期に作られた宇宙戦艦ヤマトの宇宙描写が細かいのは当然とも言える。
 
 ところで、このアニメに描かれた宇宙の情報を今になって改めて検証をしてみると、結構大きな矛盾があることを発見する。

 もちろん所詮は創作アニメなので、元々ご都合主義で描かれる矛盾の塊と言えばそれまでなのだが、今回敢えてその矛盾をちょっと真面目に検証してみることにした。

 その矛盾とは舞台となった当時の太陽系の惑星の相対的な位置のことである。

月

 太陽系の惑星は、内側から順に水金地火木土天海冥の言葉で覚えるように、太陽の周りをそれぞれの軌道で回っているが、当たり前の話だが、直線上に全惑星が並んでいるわけではない。

 つまり、それぞれの惑星が、それぞれの速度で太陽の周りを公転しているから太陽から見た惑星の方角は基本的にばらばらとなり、3つ以上の惑星が直線になるのは奇跡的な確率といえる。
 しかし、アニメではなんと地球から太陽系の外へ向かう流れの中で火星、木星、土星、冥王星と順番に4つもの惑星が登場してしまっているのである。

 これはどう考えてもやはりおかしく、こんなに都合よく綺麗に遭遇するわけはないのである。
 そこで気になって、このアニメの背景となった2199年時点の各惑星の位置をチェックしてみた。(笑)

 この際、上下のずれを表す赤緯については無視するが、2199年10月の地球から見た惑星の方向(赤経)を計算ソフトを使ってチェックすると、火星08h23m、木星21h59m、土星21h51m、冥王星09h59mという結果が出た。

  参考サイト:つるちゃんのプラネタリウム

 これを信じれば、2199年10月時点で火星と冥王星はほぼ同じ方向だが、木星と土星は12時間も違うまるっきり別の方向にあることになり、アニメのような順番では惑星は登場し得ないことになる。

 更ににウィキペディアの情報によると宇宙戦艦ヤマトの目的地であるイスカンダル星のある大マゼラン星雲は、2000年の計測で05h23mの方向であることから、2199年当時で比較的火星と冥王星の方向に近いということが出来る。

 アニメの物語では敵のガミラス帝国が太陽系の前線基地を冥王星に設置していたという話が出てくるが、この惑星の配置から推測すれば、理に適っている位置となっていたようである。

 まあアニメの作者が未来の時点の惑星の位置まで計算していたとは思えぬが、冥王星を利用した発想は結果的に正しいものであったと同時に、木星と土星の登場は蛇足であったということになる。

 しかし、あれはアニメだから実際とは違うと言いきってしまうのもまたロマンがなくつまらないものなので、アニメのように惑星が登場する時期は本当にないのかとそれぞれの惑星の公転周期などを基に、前後の年代を調べてみた。(笑)

 ちなみに各惑星の公転周期はウィキペディアのデータによると火星686.98日 木星11.86年、土星29.53年、冥王星247.74年である。

 で、再び上述の計算ソフトを使って色んな時期の星の配置をシミュレートしていくと、2181年の6月1日現在だと火星08h48m、木星09h17m、土星07h19m、冥王星07h49mとなり、この時期ならかなり狭い範囲、つまり同一方向に収まることが判明。

 しかも土星と冥王星は赤緯もそれぞれ+22h02mと+22h06mとなりほぼ重なる位置関係である。

 さらに、このタイミングだとアニメで登場しなかった天王星と海王星は、それぞれ00h52mと23h05mと離れた方角にあり、登場しないことに矛盾しないのであり、ストーリーが正当化されるのである。

 このように見ていくと、実は宇宙戦艦ヤマトは2199年ではなく18年早い2181年の5月ごろを出発として描いていたならば、天体運行の描写としては矛盾がなかったようなのである。

 まあ40年前に完成したアニメを今更このように検証しても仕方ないかも知れないが、検証の結果2181年なら有り得るのかも知れないと思うとちょっとワクワクはする話になった気がするのである。





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