悲しき乳牛の一生

我々人間は多くの人が牛乳や乳製品をほぼ毎日口にする生活を送っているが、その向こうでミルクを供給する乳牛は、人間にミルクを提供する工場となり、悲しき「人生」ならぬ「牛生」を送っていることを先日知った。

当たり前の話だが乳牛がミルクを出すのは本来仔牛に与えるためであり、そのためミルクを体内で生産する状態になるためには当然妊娠しなければならない。
故に乳牛となる牛は生まれてから24ケ月目の頃に人工受精させられ強制的に妊娠させられることになる。
そして10ケ月の妊娠期間を経て仔牛を生むことになり、そこから仔牛に与えるためのミルクの生産が母親牛の体内で始まることになる。

ところが乳牛として仔牛を生んだ母牛は、実の子供にミルクを与える機会はほとんどなく、仔牛は代用乳や人工乳で育てられるのだという。
で、乳牛の生産するミルクはそのほとんどが仔牛ではなく人間によって搾り取られ人間用の商品として出荷されるのだそうだ。

このように乳牛は子供のために生産しているはずのミルクを人間に取られ続け、ものの資料によると乳牛は出産後8か月もの間1日30~50リットルを毎日搾乳される日々を送るようである。
そして出産後8か月過ぎるとお乳の出が悪くなるので、ようやく2~3ケ月の乳を搾らない休憩期間を取ることになるとされる。

ところがこの休憩期間は、実は単に休ませるというよりも次の妊娠期間のための準備期間の意味合いが強いようであり、妊娠ために体調を整えるのに必要だから休ませる期間であり、牛への気遣いと言うより人間の都合で敢えて休ませる期間となっている。
それ故、この休憩期間を終えると再び間髪おかず人工授精によって乳牛は妊娠させられることになり、やはり10ケ月後に仔牛を生み、またもや搾乳の8か月間が始まることになる。

このように乳牛は人間によって妊娠・出産・搾乳のサイクルを一生のうちに3~4回繰り返させられるのだが、3~4回の出産を終えた牛は残念ながらミルクの生産力が落ちてしまうことになり、乳牛としては役立ずの烙印が押されてしまう事になる。
そして乳牛として役に立たなくなった牛はその後どうなるかと言えば、なんと肉牛として出荷されてしまうのだそうだ。

これが産業としての畜産の現実であり、感情論で語っても仕方ないのだが、人工授精で何回も強制的に妊娠させられ、さんざん乳を搾り取られたうえに最後は肉として食べられてしまうとは何とも悲しい乳牛の一生である。

まあ私も日々何の意識もなく牛肉や豚肉を食べており、こういった牛の一生を知ったところで急に肉を食べる生活を止めるようなことは出来ないのだが、やはり心に感じるものが無いわけではなくなった。
元々人間はこういった周囲の動物から沢山の命を頂いて生きているのだが、そうは言っても一生の全てが工場的に処理される動物たちのちょっと悲しすぎる現状にはやはり考えさせられるものがあるのである。





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