LCCは往復で買わない方がいい

 中国の春秋航空や日本のピーチ航空、バニラ航空などですっかり知名度の上がったLCC(ローコストキャリア)だが、従来のフルサービスキャリアと様々な点が違うため利用の方法も、やはり同じような感覚で扱わない方がいい様な気がする。

 特に従来の大手キャリアと大きく違うのは料金設定と、荷物の扱いである。

 まあ悠々会社のお金で大手キャリアを使って移動できる方は読んでもらわずともいいのだが、少しでも安く帰りたい方は、LCCの特徴を是非掴んだほうがいいと思われる。

 まず料金について、大手キャリアはほとんどの航空会社で片道と往復料金が設定されていて、往復は片道の2倍より遙かに安い金額が設定されており、なるべく往復利用を促す料金設定がなされている。

 これに対してLCCの場合は往復料金の設定がほとんどなく、原則として片道1便ずつの設定となり、往復で同じ航空会社を利用してもメリットがない料金設定となる。

 よって、例えば行きと帰りでそれぞれ安い日を選んで買うような方法になることになり、もし複数のLCCが飛んでいるルートなら、無理に往復を同じ航空会社で買い揃える必然性はなくなることになる。

 そしてもう一つの大きな違いとして航空会社ごとの荷物条件の違いがある。

大手キャリア、例えばJALとANAのような日本の二大キャリアの場合は、ほとんど条件が同じであり、路線にもよるがエコノミーで23キロを2個までと、機内手荷物1個などの条件となっている。

 しかしLCCの場合は、この荷物条件が一律じゃないのである。

 つまり手荷物料金や委託荷物の扱いが航空会社ごとにバラバラであり、制限重量や手荷物条件などがそれぞれ異なっており、航空会社の選択によって運べる荷物や料金に大きな違いが出ることになるのである。

 特に海外旅行や、海外赴任者の一時帰国のような往復で荷物の量に極端な差が出るような場合、つまり旅先でお土産を大量に買い込んだり、一時帰国で日本食を大量に持ち帰るような場合は、こういった荷物条件の差を意識して往復の航空会社を別々にしたほうが得な場合が生まれてくる。

 一つの例を挙げると、私のように上海から東京などに一時帰国する場合、上海から日本へ行くスーツケースの中身は着替え程度しか持たないので、結構スカスカの場合が多い。
 逆に日本から上海に戻るときは、食料品などを大量に買い込むためスーツケースがいっぱいになり、結構重量制限ギリギリになる。

 よってこの差を考えてチケットを買うことを考える。

 まず上海から日本への便として春秋航空の利用を考える。

 春秋航空の場合、手荷物が5キロまで、このほか委託荷物が10キロまでという制限になるため、大きめのスーツケースでもスカスカなら追加料金なしで預けることが出来る。
 つまり基本のチケット料金だけで荷物を運べるのであり、格安のチケットの日を選ぶとかなり安く移動できる。

茨城空港の搭乗通路

 
 しかし、今度は日本から上海へ戻る便を利用する場合を考えてみると同じようにはならなくなる。
 荷物が増えて重くなるからである。

 春秋航空の場合は例えば20キロの荷物を追加すると5000円近くの料金が発生する。
 元の15キロ枠があるので、委託荷物には30キロまで預けられるのではあるが、ちょっと高い追加料金である。

 これに対して、例えば羽田-上海浦東間のピーチ航空は、委託荷物は全て有料だが、手荷物枠が10キロまで無料となっている。
 また委託荷物は20キロまでが1個あたり2800円となっているため、これは春秋航空に比べるとかなり安い。
 つまり合計30キロで2800円となる。

 よって、もしチケット料金が同じレベルであれば、日本から上海に戻る際の荷物が多ければピーチ航空が断然得ということになる。

 じゃあ、上海から日本に戻るときもピーチでいいじゃないかという方もいるかもしれないが、上述した通りピーチの委託荷物枠は全て有料なので、スカスカの5㎏程度のスーツケースでも同じ料金を払わないと預けられないのであり得策とは言えない。
 
 故に、上海発は春秋航空、日本発はピーチ航空などというように、往復のキャリアを荷物などの条件によって使い分けることによって、運賃に差が出てくるのがLCC利用の特徴なのである。

ついつい往復で同じ航空会社を利用したくなるのが人の心情だが、LCCの場合は往復で買うことが必ずしも得とならず、それぞれ片道ずつ分けて検討するべきなのである。





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