医師はあんまり休んでない

 今回の入院のとき、私の担当医は入院中の水曜から日曜までの5日間毎日顔を出してくれた。

 手術の日は無論のこと、ほとんど診察らしき診察がなかった入院初日もほんのちょっとだけ顔を出してくれた。

 入院している患者の立場でみると何となく当たり前のように感じてしまうが、彼らを労働者として考えれば、結構大変なことである。

写真はイメージ

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 実はこの医師は古北の医院では平日は1日おきに午前診療と午後診療を繰り返しており、土曜こそ終日勤務を行なっていたが、この斑な勤務状況に随分のんびりした勤務体制だなぁと思っていた。

 しかし今回手術を受けてみて初めて分かったが、彼はこの勤務していない合間に私のような手術患者などの診療や入院患者を受け持っており、そう考えると彼の仕事はそうのんびりした勤務体制ではないことになる。

 それでなくても元の病院の出勤日だけ見ても、平日は半日ずつとはいえ結局は週の休みは1日だけの状態となっている。

 そして今回の私の入院の際には日曜日にも顔を出してくれ診察をしてくれたわけだから、少なくとも私の入院したこの週はフルで1日休んだ休日はないことになる。

 まあ、一週間毎日朝から晩までフル労働ということは無いと思うが、それにしても彼の休日は少ない。

 患者の病気に休日も夜もないとはいえ、この状況は大変だ。

 気になってネットでデータをググってみたら、日本の勤務医の46%は月の休日が4日以下などとというデータが出ていた。日本と中国の違いがあるとはいえ、今回の医師の勤務状況をみればこの記事の状況も納得ができる。

 そういえば医師になった高校の後輩から大学病院の医師の勤務体制の話をかつて聞いたことがある。

 一応医師も労働者なので休日や労働時間などの設定については一般の労働者と同様の制限があり、その基本に従って仕事をしているはずだが、患者を抱えてしまうと病気には日曜も正月もないことから、放っておけずにずるずると超過勤務に陥ってしまうらしい。

 例え休日としてきっかり1日休みを取ったとしても、結局は体を休めるという意味での休日でしかなく、もし担当患者の容体に急変があれば駆けつけなければならないため、一般のサラリーマンで言う休日にレジャーでドライブに出かけたり旅行に出かけるなど「遊び」的な気分転換の行動は難しいと言っていた。

 ましてや現場を一週間も空けて外出したりするなどということは患者の事を考えれば非常に難しく、よほど医師を労働者として割り切った感覚で捉えていなければ、難しいということだった。

 ただ、このような傍から見れば気の毒に思えるような労働環境も、彼ら自身が嫌々取り組んでいるかというと、どうやらそうとも限らないようで、医師という職業を選んだ故の宿命の生き方として覚悟して働いているとのこと。
 もちろん遊びに出かけたい気持ちが無いわけじゃないが、目の前の患者を放っては出かけられないというのだ。

 うーん、世の中には患者より自分優先で平気で現場を長期間空ける医師だって少なくないと思うが、実はこういう目立たないところで毎日患者のために頑張っている医師が少なくとも半分くらいはいると思うと世の中ちょっと安心できるという気がする。





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