先日、上海市内のKFC(ケンタッキーフライドチキン)の店舗が改装しているのを見かけ、ちょっと驚いたことがあった。
何故驚いたのかといえば、外壁がグレーのシックな塗装となっていたからである。
ややシックなカフェをイメージするような外装で、要するにこれまでの中国的な派手なイメージを覆すような色合いを使っていたのである。
これまでKFCといえば、赤と白の派手なコントラストの看板がトレードマークで、派手好きな中国人たちに非常に人気を博してきた面があるが、それがこのような変更とは、明らかに方向転換を感じるものとなる。
このKFCの外壁色の変化は、どうも上海という街の趣向が変化しつつあることを表すものだという気がする。
気が付けば街の一般商店の看板を見ても、以前のような原色ギラギラの看板は数が減り、比較的落ち着いた色の看板のお店が増えるようになってきた。
上海を一歩離れて、地方都市の繁華街などに行くとまだギラギラ看板は多いのだが、少なくとも上海の街の色彩は店舗やビルが落ち着きを目指すような色に変化してきている印象である。
この街の色の変化は、恐らく上海の街の趣向が成熟した大人の街へ移行している現れだと言えるのではないだろうか。
まあ上海の人間の気質を間近に見ている私としては、そこまでの変化が果たしてあるのかなという懐疑的な見方もないわけではないが、確かにただ派手なものを追いかけるブームは過ぎ去り、成熟した良いものを求めるトレンドに変化しつつあるのは感じるところである。
そういった変化の現れの一端が、このKFCのグレー塗色であるような気がするし、上海の街が本当に大人の街へ変化することができるのか、街の色の変化に今しばらく注視したいこの変化となっている。