普段、あまり本を読むことの無い私だが、昨年この辻村深月さんの「ツナグ」の本の紹介をラジオで聞いてからどうしても読んでみたいと思っていた。
上海におり、なかなか買うきっかけも読むきっかけもなかったが、この本が映画化されたのを知り、是非映画を観る前に原作を読んでおかなければと思い、たまたま一時帰国した同僚に無理言って買ってきてもらった。
そして昨日本を受け取って早速に読んでみた。
話の筋は、生きている人と死んだ人を一度だけ「使者(ツナグ)」を仲介人にして会わせることができるという設定で、幾つかの人生のドラマがそこに進んでいく。
ぱっと聞くと一瞬SFチックだが、そんな面はほとんどなく、完全なるヒューマンストリーの内容である。
まあ詳しい内容は是非読んでいただきたいが、登場人物一人一人の血の通った心の動きの描き方が凄く、人がそれぞれ色んな想いを持って生きていることを感じられる本で、涙が何度となく溢れる本だった。
もともと涙腺の緩い私だが、文章でここまで涙を流したのは初めてのような気がする。
本が紹介されたときのラジオでも、是非ドラマ化してほしい内容だとの話があったが、今回実際に映画となり、なかなか評判も悪くなさそうなので鑑賞機会に期待がかかる。
まあ一般的に小説の映画化は、なかなか期待を満たさないことも多いが、この小説は文字が人の表情や言葉になって人の血が通った時でも、決して期待を売ら切らない様なそんな期待感がある。
今はまだ上海にいて映画に手が届くのは何時になるかわからないが、時間が経っても見てみたいこの作品である。