以前「上海からの卒業を考える」で書いた通り、現状の生活が安定しなくなってきたため、転職を探ることにした。
まずはとっかかりにと、求人情報を探ろうと改めて転職サイトに登録しようとしたのだが、登録作業中になんと、そのメールアドレスは登録済みとの表示が出てきた。
どうやら過去のアカウントが残っていたようである。
最後に使用したとのはいつだか忘れたが、最初に登録したのは恐らく、10年以上前のことである。
当然パスワードなど覚えているはずもなく、「パスワードを忘れた」をクリックして、パスワードを再発行していただくことになった。
で、パスワードをもらって再度ログインして見ると、なんと過去の登録履歴がそっくり残っていたのである。
まあ直近の現職の情報などはさすが私が登録作業をしていないので掲載されていなかったが、過去のものはそのまま残っていた。
「おお、これは助かる。」
転職作業において、何が大変かといえば、履歴書の作成と業務経歴書の作成である。
直近の現職の説明だけならまだしも、学校を卒業してから現在までの業務経歴をまとめるのは結構骨の折れる作業なのである。
もちろんこれが無ければ相手に自分が何者であるかを知っていただけるはずもなく避けて通れない作業である。
しかも、手元に当時の資料などほとんど残っていないので、過去の経歴をまとめていくのはかなり至難の業である。
そこへこのように資料が残っているのは非常に助かる。
ただ逆に考えてみると、この転職サイトの会社はこれだけ詳細な個人情報をそのまま丸抱えして保存していたということになる。
万が一、これが流出するとなると大変な問題ではあるし、社会問題化するレベルである。
また労働者のうち、どのくらいの割合の人がこういった転職サイトに登録しているのかは調べたことがないが、管理する側にとっても保存データ量は結構膨大になり、それなりにコストがかかるともいえる。
それでもこうやってデータを残すということは、ビッグデータとしての活用を考えれば十分保管価値があるということなのだろう。
最近問題になった辞退率のサービス提供のような件も、こういったビッグデータがあるが故の商売なのである。
とは言え、利用する側からするとかかりつけ仕事の主治医みたいなもので、常に我々の業務経歴を保管・記録して頂けているおかげで、次の転職活動への作業負担も軽くなり、非常に助かるのである。
(正しい情報を本人が正確に申告しているかという根本の問題もあるが)
こうやって民間の転職サービスの現実を知ると、日本の職安というのは公的であるが故なのか、かなりマス目が大雑把すぎて、それなりのキャリアがある人が利用してもほとんど役立たないだろうという気がする。
もちろん雇用保険の関係があるので通わないわけには行かないのだが、最低限のセーフティネットでしかなく、そこだけで理想の就職が実現できるものではないだろう。
ところで、改めて記録に残っていた過去の職務歴の記入を見ると、経験業種などの記入がかなり適当であったなと、恥ずかしくなっている。
そもそも、初めての転職の頃は、自分の経験業種でさえ人材分類上でどういった職種の職業として分類されるのか分からないので、やたらめったら幅広く経験業種にチェックを入れてしまっていた。
もし、それが全部出来たら私はオールマイティのスーパーマンになってしまうほどである。
相手方の採用担当者がそんな経歴を見てスカウトされてもそんな仕事は出来ないし、困るのは私なので、改めて登録情報を見直し、どんどんチェックを外していった。
その結果、かなりすっきりしてシンプルな経歴表記になった。
逆にシンプル過ぎて、ああ自分には僅かな経歴や経験しかないんだなぁと少々落ち込み気味にもなった。
とはいえ経歴が多いということはそれだけ転職が多かった証しともなり、職務ごとの専門性はそれだけ浅くなるのだから、人材価値が高いとは言えなくなるので決してプラスとは言えないのかもしれない。
むしろ、専門性が高い職種をそれなりの期間務めれば、スキルは高まると評価される。
もちろん長ければ良いというものではないが、人間の業務能力の幅には限界があるが、深さには底がないため、経験業種は数よりも一定年数が求められるはずである。
さてさて、このように毎日せっせと準備は進めているが、就職は恋愛と同じで点数を満たしていれば合格というものではなく、相手の組織の都合と、こちらの要望がタイミングよく合致しないと成立しないので、能力も必要だが運次第でもある。
また、こちらの気持ちの面でもエネルギーを溜めてテンション高く面接に臨むのと、気持ちが下がっている状態で臨むのでは結果が違うと考えられるので、なるべくテンションを高い状態で転職活動に臨めるよう、日々モチベーションを高めよう試行錯誤している。
このように転職準備を行っていると、過去の人生の棚卸しをしているような気分になり、いろんなことを思い出しながら何とか準備を進めている。
果たして私の未来はいかに?