先日、上海市内の某電気チェーン店でSDメモリカードを買った時のことである。
まあ本来ならAMAZONなどネットで購入した方が割安でいい物が買えるのだが、プライベートで外出してきて、カメラにメモリカードを入れるのを忘れてきてしまい、写真を撮るのにどうにも内臓メモリだけでは不足するかなと思い、急遽購入することにしたのである。
SDカード自体はすぐに見つかり、1階で店員にこれを買いたいと伝えると、すぐ購入手続きになった。
値段にして99元である。
で、店員はその商品コードをキーボードの手打ちでコンピューターに登録を始めた。
今時のお店なら、通常バーコード登録による商品管理が一般的になっているにもかかわらず、この店では未だ採用されていないようである。
IT家電などを扱う電器店にも関わらず全然進化の無い店だなぁと思いつつも、まあこれは以前からの事なので、特に驚くことではなかった。
しかし今度は支払いの段になって、3階へ行ってくれとなった。
「3階?」
どうやら3階に収銀台と呼ばれる支払いカウンターがあるらしい。
中国の従来型の支払い形式を取る小売店では、出納責任者というか現金を取り扱う人間が限定され、店内の一カ所に支払い場所が集約されて置かれており、「収銀台」或いは「収銀処」の名で呼ばれている。
つまりこの店は3階にその収銀台があるようだ。
冷蔵庫など大型家電を買うわけじゃあるまいし、たかがSDカード1枚買うだけなのになんと面倒くさいシステムなのだろうと思ったが、渋々と3階までお金を支払いに行く。
中国のデパートや薬局などでは、このような支払い形式を取っている店がほとんどで、結構小さいお店でも販売担当の責任者から伝票を渡され、収銀台でお金を払って来てくれと言われるのである。
まあ販売員の不正や偽店員などの紛れ込み、商品の盗難を防ぐためにこういった方法になったようだが、買う側とすると非常に面倒くさく、随分不合理な販売システムであるような気がする。
ただ中国には昔からあるシステムのようなので中国人達は慣れているのだろうし、やはりお金にまつわる不正というのが一向に無くならないのでこういった旧態なシステムを受容しているのかもしれない。
しかし1階での買い物を3階まで支払いに行くようなシステムはもう少しどうにかなりそうなものである。
今時はネットで自宅にいながら気軽に家電が買えてしまう時代であり、私も今回のような緊急な用でなければ、このような面倒くさい販売システムの店に足を運ぶことはないわけで、やはりどこかで進化をしなければこのようなお店は淘汰されてしまうように思われる。
実際、こういった面倒くさいシステムである原因である故かどうか分からないが、土曜日にも関わらずこのお店はガラガラであり、他人事ながらお店の先行きに不安を感じるような雰囲気であったのである。
中国ではネット販売店の攻勢に押され、書店を初めとする実体小売店が次々と淘汰されているが、実体店のこういった進化の遅れがさらに拍車をかけているのだなぁと感じさせるのに十分な今回のお店の状況であった。
←クリック
←クリック