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2014年05月07日 会社の内側に向かって仕事をする上司
 上海に来る前に読んだマンガの課長島耕作の中で、今も印象に残っている言葉がある。

 主人公がアメリカ滞在中の時の話で、その時の上司が出世競争にばかりに気を取られ幹部受けの良い仕事ばかりに熱心で、大して業績に結び付かないことに一生懸命取り組んでいる人を称して「この人は会社の内側に向かって仕事をしている」と表現した言葉である。

 つまり出世競争のために、実質的な中身の無い実績作りに懸命で、ロクに大した企画も無いのに居場所確保のために「やったフリ」のポーズをとっていると判断されたようである。

 まあこういう人は傍から見ると酷い上司だが、実は日本の社会はこういう人が多いと言われており、先日日本のラジオ放送で聞いた話によれば、日本の企業は現場は優秀だが大企業で出世する人ほどロクでもない人の集まりになるとも言われ、その結果、大会社の経営陣ほど、使えない人材が多くそれが企業の停滞を生む原因になり、現在の日本経済の停滞になっていると言っていた。

 つまり、会社の内側に向かって仕事をしてきた結果で出世した人が多いため、それが結局は会社の発展の阻害となっていることのようである。


 まあ普段あまりそんなエライ人たちと接する機会も少ないので、実際どれだけ使えないかは分からないが、確かに以前いた会社でも何故この人が管理職になれたのかという疑問を感じるケースも少なくなかったような気がするし、思い出してみればそういう人は上司に対するヨイショがうまかったような気がする。

 それにヨイショするほうもする方なら、される方もやはり同じ穴のムジナでヨイショに弱く、結果そういった内側に向かって仕事をする人の連鎖が延々と繋がっていくことのようである。

 もちろん企業はビジネス社会と言っても、結局は人の社会なので、コミュニケーションの一つとしてのヨイショの存在も悪いわけじゃないが、会社の内側にばかり向かって仕事をする人は、きちんと外部の顧客と向き合って仕事をしている側から見ると厄介な存在である。

 実績が上がらないだけならまだしも、明らかに効果の上がらない仕事にお金と労力をつぎ込んで、やったフリの実績とするのはお金も時間も無駄なのであり、マイナスの存在であるはずなのである。

 実際冒頭の課長島耕作では、主人公が上司の仕事により住民から苦情が出たため、それをフォローして実績の一部を取り消して尻拭いをしているシーンがあったのである。

 しかし、そのやったフリを見抜ける上司や経営者がいないと、結局はそれが実績の如く取り上げられ出世の材料にされてしまう面があり、マイナスなのに功労者として評価されるという不思議な現象が起きる。

 こういった状況は一方で周囲の社員の不満や外部からの不評を招くことになりかねない。

 会社の内側に向かって仕事をする人を見抜けなければ、結局は色んな意味で会社が食いつぶされてしまうことになりかねないので、「やったフリ」を積極的にアピールする人には注意する必要がある。


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2013年11月04日 楽天がオリックスより先に日本一になった意味
 東北楽天ゴールデンイーグルスが、日本シリーズで巨人を破って日本一に輝いた。

 私の贔屓チームは日本ハムだが、東北にもゆかりのある人間として取りあえず今回は祝福したい。

 まあ今回は田中マー君あっての優勝であり、チームの貯金のほとんどを彼が稼ぎだし、最後の優勝を決める瞬間も前夜に続いて登板するなど、常識ではありえない起用でまさに田中様々だった感があり、往年の稲尾投手をほうふつさせる働きである。

 売却譲渡などで生まれた他の球団と違い、ほぼゼロからスタートした球団創設9年目の楽天が今回日本一になったのは、現場の地道な積み重ねに田中選手の成長という好運が重なっての出来事だと思うが、2004年のオフに近鉄と合併して誕生した新生オリックスがその後未だに優勝を果たせず、思ったような成績が残せていないことと比較すると、なかなか思うところがある。

 オリックスは88年オフに阪急からの球団譲渡で誕生して以来、合併する前のイチロー選手在籍時に95年と96年にリーグ優勝しているが、その後はずっと下降線をたどり、イチロー選手のメージャー移籍と仰木監督の退任後は3年連続最下位が続き、2004年になんと近鉄球団との合併を発表した。

 合併により球団の合理化と関西ファンの獲得、強い選手だけをプロテクトして良いとこ取りをしようとしたこの試みであり、当時は大騒ぎになり社会から大反発も受けた。

 しかし合併を強行されて両球団は統合され、その騒ぎのさなかに新規参入として誕生したのが今の楽天で、ライブドアとの参入争いに勝っての新球団誕生だったが、選手はオリックスへの入団を拒否した岩隈選手を除いて、オリックス側が優先プロテクトした以外から選ばれたいわゆる余り物選手で新球団を設立した形であったのである。

 このように有力選手のいない楽天は発足当初は当然2年連続で最下位であったが、3年目に4位になるなど徐々に上位を狙えるようになり、過去8年間で最下位3回、5位2回、4位2回、2位1回と結果を残し、そしてとうとう今年は優勝して日本一にまでになり、過去9年間の平均順位は4.3位となった。

 これに対して、オリックスは合併後の2005年以降、2008年に2位になったのが最高で、そのほかは最下位3回、5位3回、4位2回で平均4.6位と楽天をも下まわり、優勝に縁が遠い位置をうろついている。

 まあ勝負事の世界なので一つの理屈で結果を簡単に評することはできないが、お金をかけて実績のある監督を呼んだりしていろいろ試行錯誤して上昇に取り組んできた楽天球団が9年目にして日本一を勝ち取り、片や合併という手法で強化したはずのオリックス球団が、毎年一貫しないような方針で監督をとっかえひっかえし、挙句の果てに紙切れ一枚で監督をクビにしてしまうなどチグハグな運営で結局いまだ優勝に全然手の届かない状態となっている。

 つまりオリックスのような安易な合併で結果を求めたのではなく、じっくりした取り組みを行なった楽天が結局早く結果を出したというのが今回の楽天の優勝であり、オリックスの現在であるということになる。

 楽天が実際いい会社かどうかは良く知らないが、まあ彼らなりにきちんと事業に取り組んで社会に浸透している点は評価されるし、そういった一つの現われが保有球団の優勝だったという気がするのである。

 こういった状況はプロ野球球団の対比は一つの社会の縮図であるような気もしており、この球団の合併問題に限らず、偶然にも今年噴出した最近のみずほ銀行の事件や阪急・阪神ホールディングス関連のホテルのメニュー偽装疑惑なども、合併によって生まれた会社のひずみから生まれたと言えるような問題であるような気がしている。

 つまり経営に苦しさから安易に合併に救済を求めたはいいものの、合併や合併後の運営が実際に働いている人間の意識を忘れた経営の結果だったのでないのかという気がするのである。

 9年目の楽天の優勝、そこから見える社会の構図はなかなか考えさせられるものがある気がする。


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2013年10月18日 産みの苦しみ
 先日のサッカーの日本代表の東欧遠征の試合で、日本が2連敗した。

 双方ともW杯出場を逃している国との対戦とあって、W杯出場を真っ先に決めている日本代表にとっては現在の実力を測る絶好の機会ともあって善戦が期待されたが、結果はいいところがあまり出ず2連敗となった。

 これを受けて、マスコミやサポータからは不満の声が続出しているが、一方で今回の試合では寧ろ真剣勝負で臨んだというよりいろいろテストを試合中に行なったということが記事で伝わっている。

 トーナメント大会のようにガチンコの勝負で勝ちにこだわれば、もっと違う結果が出たかも知れないが、最終目標のW杯本大会で大きな結果を引き寄せるための試行錯誤の時間だということのようだ。

 まあ全てに勝ちの結果を求めるサポーターにとっては、どんな理由であれ「負け」という結果は嬉しくないのかも知れないが、大きな目標で結果を出すための一過程だと考えれば、この数試合で一喜一憂することは逆に大きな目標を得るためには邪魔な感覚かも知れないという気もしており、今は産みの苦しみの最中だということで長い目で見守りたいという気がする。

 サッカーに限らず、仕事でも私生活でも目先の小さな結果にこだわるか大きな目標にこだわるかで、日々の取り組み方というのは大分違ってくるものである。

 この「産みの苦しみ」の言葉の元の意味にもあるように、子供を産む母親は1年近くをかけて子供をお腹の中で育ててからようやく産むから、出産後は大切に育て一生大事にする。
 これが数日で産めるような子供なら、出産前も出産後もそれほど大事にせず大きくなるまで頑張って育てないのではないという気もするのである。

 そういえば先日、雑誌ananの特集で「出来ちゃった婚」ならぬ「さずかり婚」は、プロポーズから出産まで一気に叶えることが出来て、悩む要素もなくスピーディに出来るから素晴らしいなどという記事が出て、世間で物議を醸している。

 確かに今や4組に1組が出来ちゃった婚というのが現実らしいから、そのこと自体は特に恥ずかしい事ではなくなったようなことだが、推薦するのはどうかということだ。

 まあ当の本人たちにしてみれば、いきなり妊娠してしまうというのは突然行動の締め切り時間を設定されるわけだから、悩んでいる暇などなく決断しなければならないし、行動が素早くなる可能性はある。

 しかし、そういった試行錯誤を経ない安易な結婚は、崩壊も早いようで通常の離婚率33%に比べ授かり婚の離婚率は44%にも上るというデータがあるという。

 ある人に言わせれば、結婚は結婚に至る迷いや試行錯誤の時間を経て、さらに周囲への説得など多くの過程や困難を乗り越える過程を経るからこそ、夫婦の絆を強くするのであり、それ自体が長く維持できる結婚生活を迎える必要な過程であり、その過程を面倒くさいとか省略しようという発想は、結婚に対する認識自体が間違っているとのことである。

 結婚や出産など重大なものに踏み出したいなら、産みだしたいものが大きい物であればあるほど、本来は産みの苦しみや悩みは深いはずということである。

 まあこれはビジネスの上でも言えて、例えばある目的のために事業を起こす場合、水から育てることをせず、安易に会社を買収してノウハウや機能を吸収しようとする手法では中々ビジネスの目的にはたどり着きにくいように思われるのである。

 安易に得た関係は結婚同様にやはり壊れやすいわけで、それなりの覚悟で向き合う覚悟を無いと、会社や社員に対する愛着も薄く切り捨ても容易になりやすいような状況になる。

 しかし、じっくりと腰を据えて物事に取り組み、試行錯誤の上で作り上げていったものはちょっとやそっとでは揺るがないし、結果として買収などの安易な姿勢で結果を求めようとするよりは、大きなものにたどり着きやすいのではないかという気がしている。

 産みの苦しみ、それに直面している日本代表は見守ってあげたいし、自分も頑張りたい。



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2013年09月17日 東南アジアは日本語人材が少ないらしい
 昨年の尖閣列島の国有化に端を発した日中間の経済の冷え込みもあって、中国リスクを避けるためにチャイナプラスワンと言う言葉がよく聞かれるようになった。

 中国だけではなく、東南アジアにも拠点を持つ方がいいという事が主旨となっている。

 しかし有るコンサルの方から先日聞いた話によると、事はそうは簡単ではないということらしい。

 一番の理由として日本語人材の確保が難しいという事である。

 もちろん、東南アジアの大学には日本語を学ぶ学生もそれなりにいるが、本当に優秀な学生は本国に残らず直接日本に行って就職してしまうとのこと。

 つまり、日本語人材のトータル人数が少ない上に日本へ流出してしまうために、現地での確保が難しくなり、結果的に人材市場が高騰し中国で同レベルの日本語人材を採用するよりコストが遥かに高くつくというのだ。

 さらに当然のことながら日本人で現地語を話す人材などはほとんど期待できないのだという。

 もちろん工場などの一般労働力コストは中国に比べてまだまだ安いとされるが、日本語人材の高い人件費をペイさせようとすると、それなりの規模の工場などでなければコストの面で中国を上回ってしまう可能性もあるとの話だった。

 その点、中国ではそこそこの日本語を話す人材は溢れており、結果的に東南アジアより遥かに安いコストで日本語人材を確保することが可能になっているとのこと。

 ゆえにトータルで見ると、チャイナプラスワンによる東南アジア進出は言われるコスト的には必ずしもお得とは言えないのが現状のようだ。

 もちろん、このチャイナプラスワンは元々コストよりリスク分散の意味合いが強いので多少のコスト高であっても取らざるを得ない選択肢かもしれないが、安易な経営判断だけではそうそううまくいかないのが現実ということらしい。


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2013年09月05日 現場にいない業務責任者
 上海だけに限らないと思うが、こちらで結構良く見かけるのが現場にいない業務責任者である。

 まあ業務責任者である故に、色んな外部折衝が必要であることは理解できるのだが、業務に関係なさそうなことでも、何だかんだ理由をつけて長い間オフィスを空にしたり、旅行などで年中当地を離れるようケースがあるとよく聞く。

 もちろんそれで業務が回るなら問題が無いが、実際はその責任者だけが持っている情報が多すぎるとか、いないと重要な決定が出来ないとかの問題を生じて業務が前に進まない場合が多々あるようである。

 きちんと情報共有し、責任者がいない間でも業務が回るように手配出来ていれば何の問題の無い事でも、社員を信用していないのか面倒臭いのか分からないが、社員との情報共有を怠っており、オフィスに問い合わせが来ても結局社員が右往左往する状態になるのである。

 こうなると組織として全く機能していないことになり、会社であることにあまり意味が無いよう気がするのだが、こういったケースは良く見かける。

 こういった責任者は、自分が最終的に責任をとるから問題ないのだという意識なのか、会社が回っているのだと勘違いしているのかよく分からないが、置き去りにしたスタッフの苦労や業務の停滞には意識が回わらず、平気で現場を長期間空けるようである。


 しっかりした業務体制を敷いてあれば、経営者や責任者が現場の業務に直接タッチしないことは決して悪い事ではないが、そういった現場を離れるスタイルだけを真似て、お気楽に業務運営の責任を果たさない責任者が数多くいるのである。

 もちろん、これは中国人だけに限らず日本人の中にも時々見られ、稼働日の半分も現場におらず現場が停滞している姿を良く見かける気がするし、私がいた会社にもかつて温泉学会があるなどと訳の分からない理由で一時帰国して、業務に穴をあけていた人がいて迷惑だったことを記憶している。


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2013年08月24日 日本の携帯電話や新幹線技術の真価
 現在広く普及し始めているiPhoneや各社のアンドロイドOSのスマートフォンに対して日本の携帯電話端末は世界の市場から切り離された状態で独自に極度に進化したという意味でガラパゴス携帯=ガラケーなどとしばし揶揄されることがある。

 そのガラケーという言葉にはどこか侮蔑の意味が含まれ、無駄で過剰な機能が多すぎてコスト高になっているため世界市場で勝てない商品だという意味で使われている。

 実際にかつて日本のNECや京セラが中国市場に進出したが苦戦をし、市場からの退出を余儀なくされたという事実もあり、そういったガラケーに対する評価が定着する理由になっている。

 しかし、このガラケーの中国市場における失敗を以て、そのガラケーが築いてきた技術そのものをまでを否定するのはいささか行きすぎであるという気がする。

 その理由の一つとして、ガラケーはまず日本市場でそれなりに商品として成功したものであったこと。

 そして、現在のスマートフォン市場をリードしているIPhoneは、日本のガラケーにもヒントがあったとされていることなどが挙げられる。

 つまり、ガラケー自体には非難されるような無駄な技術があるわけではないという気がしている。


 では何故、世界市場に広がらなかったか?

 まず第一に日本市場が十分な大きさを持っていたために、日本メーカーは海外市場を求めなくても利益があったために、海外戦略という視点に欠けてしまったとこと。

 そして第二の理由として日本のガラケーの技術進化は、端末メーカー主導ではなくキャリア主導で進んだため、キャリア側のサービス提供が不可欠な形で進化が進んできたということ。

 つまり0円携帯に見られるように日本の携帯端末は、端末を売ることが主ではなく、キャリア側の契約数増加のためのツールとして進化させられてきたわけで、端末が沢山売れることよりキャリアの契約数が増え基本料収入や通信量収入が増えることに重きを置いて端末が開発されてきた。

 この点が原則SIMフリー(端末とキャリアを自由に選択できる)の海外市場と大きく異なり、結局日本の携帯端末はキャリア側のサービスコンテンツの提供なしにはその真価や魅力を発揮できないような進化となってしまったのである。

 しかしそこに気が付かない日本の端末メーカーが日本の成功を以て製品に市場競争力があるのだと勘違いしたのか、中国へ進出し失敗することになるのである。

 当たり前だが中国市場では、通信回線の貧弱さもあってキャリアの提供するサービスは日本とは全く違う独自の進化(SMSを使った情報提供など)をしたため、日本のキャリアとメーカーが育てたようなコンテンツ能力は中国では同等に発揮できないのである。

 つまり端末を支えるキャリアのシステムインフラがあってこそ、日本の端末は生きて真価を発揮するのであって、端末だけではただのコスト高商品になってしまったことがガラケーの世界進出の挫折である。

 しかし、そのコンテンツ提供をキャリアの束縛ではなくインターネットとの融合でもたらしたのがスマートフォンであり、通信料ではなくネットを通じたコンテンツ配信と端末販売で利益を上げるモデルとしたため、キャリアに束縛を受けずに世界中にコンテンツサービスを提供することが可能になったのである。

 そこがキャリアに束縛されたガラケーとフリーなスマートフォンの違いであるが、逆に言うと機能的に違うのはそことインターフェイスくらいなような気がしており、そういった意味では日本の技術は技術として何ら過剰なものはなく、寧ろかなり先進的であったということができる。

 日本製品というのは、新幹線などを見ても分かるように、単に機械単体だけでは、その能力や機能は世界と比較してあまり差が無いよう見える場合も多いのだが、それを支えるシステムとともに運用される場合においては、安全性や安定性、機能などにおいて無類な優秀さを発揮する場合が多い。

 まあその総合性で見ないと本当の真価が見えてこないというのが日本の技術の説得力の弱さでもありコスト高に見える原因であるが、これはちょっとしたPRアイデアや発想が足りないだけで、巷で言われるような技術の優秀さの過剰であるはずもない。

 日本メーカーはこういったシステムトータルで展開する能力や優秀さを伝える術をもっと身に着けるべきで、そこが出来れば国際市場でも十分力を発揮できるという気がしている。

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2013年08月19日 ルーチン作業
 時々ルーチン作業を馬鹿にしたような言いかたをする人がいる。

 ルーチンは作業であって、多くの非定型の業務を処理していくのが本当の仕事のような言い方をするのである。

 確かにルーチン作業はそれを続けているだけでは発展は少なく、そういう面でルーチンは「作業」であって、「仕事」ではないと言える側面もあるかもしれない。

 しかしながら業務をルーチン化するということは、仕事の効率性を上げるための一つの過程であり、もともとも行き会ったりばったりだったような作業を、如何に見落としなく確実に遂行していくかのための業務整理がルーチン化であり、つまり非定型で非効率な作業が効率化された結果がルーチン作業であるような気がする。

 もちろん、業務をルーチン化したあとは新たな上積みを求めて仕事に取り組む必要があるが、その新しい仕事とて、やがてルーチン化しなければ更に新しい仕事などには取り組めないのである。

 こういった毎日や毎週、毎月のルーチンを疎かにしているような人に限って、仕事の抜け落ちやサボりが多く手抜きが散見され、実はルーチンではない非定型の仕事すらまともにこなせていない場合が多い。
 
 つまりルーチンを馬鹿にするということは本当の仕事の意味を理解していないのではないかという気がしてしまう。

 非定型の仕事に取り組むことだけが仕事だと思っている人には、是非ルーチン作業が業務を支えている重要性を再認識してほしいという気がしている。

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2013年08月15日 ニヤケ顔でリストラを語る日本人
 以前の会社で、中国人社員の待遇にトラブルを抱えていた時があった。

 まあ内容そのものは冷静に語れば済む話であったようなのだが、中国人社員側が頭に血が上っていていて、取りつくシマがないような状況になっていた。

 そこで交渉にあたっていた日本人が業を煮やしたのか私に

「リストラしちゃおうっか?」

とニヤケ顔で言ったのである。

 私はその表情と言葉に気色悪さを覚えた。

 まあ、会社の業務の進行に支障があれば、リストラというのは一つの経営判断して下さなければいけない事項かも知れないが、少なくともその決定には人一人の生活が懸かっており、また会社の業績にも影響が出る判断なので、ニヤケて言う言葉ではないはずである。

 それにも関わらずその日本人は、ニヤケた言葉でリストラを口にし、どうも権限を行使できるのが楽しいかのようだったのである。

 普段からのその日本人は、中国人と日本人を同じ給料でアルバイトさせようとか、耳あたりの良い公共的正義発言を振り回していたが、あまりにも優等生的な発言というか状況を考えない言葉に本当にそう思っているのかと以前から私は懐疑的だったのである。

 そこへこのニヤケ顔のリストラ発言である。

 この言葉を聞いてこの日本人の意識の根底の差別意識を見た気がしたし、これ以降この日本人を決定的に信用しなくなった。

 私とて、中国人やその他の外国人に対して100%差別をしていないかと言えば、恐らくそんなことはなく、他民族や他国人、他人に腹を立てたり意図的にそのテリトリーへの接近を避けたりすることはある。

 しかし、表立っての差別は原則失くしたいと思っており、考え方などを批判することはあっても人格までを否定するような発言は避けている。

 しかし上述の日本人は心のどこかに階級意識があり、その意識が言葉になってでてきたような印象だった。

 まあ民族とか国家とかそんな大げさな事でなくても、人一人の人生を考える力があれば、ニヤケ顔でリストラなんぞ口に出来ないはずなのであるが、どうも間違った意識の人がたまにいるのである。

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2013年08月08日 知ったかぶりの上司
 自分より立場が上の人に堂々と知ったかぶりをされると厄介である。

 数年前、ある自分より上役的立場にある人が、WEB関連の技術者に向かって「PHPよりワードプレスを勉強した方がいいよ」と言ったのを聞いて驚いたことがあった。

 ワードプレスというのは、主にブログなどに使われているオープンソース(ソースコードが公開されている)プログラムのことなのであるが、必要な機能がコンパクトにまとまっており、最近非常に広く使われるようになっているものである。

 それに対してPHPというのはWEBを動かすためのプログラム言語の一種で、比較的平易な内容となっているため、私も本格的に勉強した訳ではないが、ちょっとなら理解できる状態になっている。

 で、上述の上役の言葉の何に驚いたかと言えば、実はワードプレスと言うプログラムはPHPの言語で開発されたものであったからである。

 つまりPHP言語で開発されたワードプレスを持ち出して、「PHPよりワードプレスを勉強せよ」と言う言葉は、その上役の無知さ加減をさらけ出す形となっており、分かっている人間からすれば「おっしゃっている意味がわかりません」状態ということになる。

 普通の素人の人間がPHPやワードプレスを知らなくてもそんな恥ずかしい事では無いが、さも物事を知ったかのように間違ったことを人に説いている姿は滑稽にしか映らない。

 しかしながら、こういった滑稽さも自分より下の立場の人間であれば、「知ったかぶりするな」と馬鹿にすれば済む話であるが、相手が自分より上役であると非常に厄介である。

 結局この時はあまりにも間違っていた講釈に対して、本人の面子もあり顔を立てる意味もあって口に出せず、指摘出来ないまま聞き流してしまったのである。

 まあこの時の件自体は自分に直接実害がない話ではあったのではあるが、結局この後はその上役の言葉が信用しきれない状態になってしまった。

 何を言っていても、もしかするとまた知ったかぶりなのかもしれないという印象になってしまったのである。

 こういった言葉の知ったかぶりは政治の世界でもよく飛び出しており、「憲法は王権を縛るものだ」とのたまわる首相や、「ワイマール憲法は静かにナチス憲法に変わった」など認識している副首相など、立場が高い人に明らかに間違っていることを堂々と知ったかぶりで話されると、やはり指摘できないので厄介であるという気がする。

 まあ誰しも人生のシーンの中で多少の知ったかぶりをすることはあると思うが、私の場合は人から「○○を知っているよね」と言われたときに、「うんうん」とうなずく程度で、さすがに調べてもいないような事を人に説くようなことはとても出来ない。

 世の中、立場がある人ほど、言葉と言うのは是非確認してから話してもらいたいものである。


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2013年07月16日 NYヤンキースからメールが来た
 NYヤンキースからメールが来た。

 もちろん入団のオファーではない(当たり前だ!)

 まあチケットの発売を知らせるメールだったのであるが、なんでこんなメールが来たのかと言うと、今日行われたMLBオールスターゲームの出場者の最後の一枠を決める「FINAL VOTE」という投票に投票してその時にメールアドレスを登録したからである。

 その時はボストンレッドソックスの上原投手が候補に残っていたので、是非選ばれて欲しいと投票に興じたのである。

 まあ残念ながら上原投手は選ばれなかったが、投票に参加できたのは面白い体験でありいい経験だった。

 もちろん投票する時にEメールアドレスの登録が必須で、それ故の今回のDMの受信となったわけで、投票時にアドレス登録するとこういうメールが来るのだろうなということも予想しており案の定のメール到来となった。

 まあ今上海にいるのでヤンキースの試合を観戦しに行く機会は当面来ないと思うが、ちょっと面白いのでメールは拒否せずこのまましばらく受信しようかなとも思っている。

 ところで中国では、驚くほどに野球に関する話題が少ない。

 もちろん、国際大会にナショナルチームは出て来るわけだから競技人口が全くいないというわけではないだろうが、サッカーやバスケに比べると雲泥の差である。

 同じ中華圏の台湾などは野球好きが多いと聞くが、それに比べても中国ではほとんどと言っていいほど話題にならないのである。

 ファッションとしてヤンキースのあのNY帽を被っている人は時々見かけるが、実は野球という競技を知らないで被っているのではないかという気もする。

 まあ中国人がチームワークが苦手なのは昔からよく言われることで、チームの和が必要とされる野球に中国人が向かないのは理解できることではあるのだが、アメリカ人と中国人の性格が似ているといわれる面から考えると、野球ももう少し流行っても良さそうだとは思うが、どうもそうはなっていない。

 でも13億人もいる人口を思えば、人口の1%でも野球に興味を持ってくれれば、結構それなりの市場が生まれるとも思え、MLBのみならず日本のNPBにもチャンスがあるという気がする。

 サッカーの英プレミアリーグを夢中になって見ている中国人が大勢いるように、自国の競技レベルは高くなくとも、観戦者人口を増やすことはできるのである。

 まあそれにはボールに自分の名前を刻んで喜んでいるようなお飾りのコミッショナー程度では到底無理で、私の様な外国人にオールスターの投票をさせ、DMをバンバン配信するMLBの戦略を見習うような積極的な人材登用が必要だろう。

 NYヤンキースから来たたった一通のDMからでも学ぶべきことは多いのである。
 


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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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