昨年の尖閣列島の国有化に端を発した日中間の経済の冷え込みもあって、中国リスクを避けるためにチャイナプラスワンと言う言葉がよく聞かれるようになった。
中国だけではなく、東南アジアにも拠点を持つ方がいいという事が主旨となっている。
しかし有るコンサルの方から先日聞いた話によると、事はそうは簡単ではないということらしい。
一番の理由として日本語人材の確保が難しいという事である。
もちろん、東南アジアの大学には日本語を学ぶ学生もそれなりにいるが、本当に優秀な学生は本国に残らず直接日本に行って就職してしまうとのこと。
つまり、日本語人材のトータル人数が少ない上に日本へ流出してしまうために、現地での確保が難しくなり、結果的に人材市場が高騰し中国で同レベルの日本語人材を採用するよりコストが遥かに高くつくというのだ。
さらに当然のことながら日本人で現地語を話す人材などはほとんど期待できないのだという。
もちろん工場などの一般労働力コストは中国に比べてまだまだ安いとされるが、日本語人材の高い人件費をペイさせようとすると、それなりの規模の工場などでなければコストの面で中国を上回ってしまう可能性もあるとの話だった。
その点、中国ではそこそこの日本語を話す人材は溢れており、結果的に東南アジアより遥かに安いコストで日本語人材を確保することが可能になっているとのこと。
ゆえにトータルで見ると、チャイナプラスワンによる東南アジア進出は言われるコスト的には必ずしもお得とは言えないのが現状のようだ。
もちろん、このチャイナプラスワンは元々コストよりリスク分散の意味合いが強いので多少のコスト高であっても取らざるを得ない選択肢かもしれないが、安易な経営判断だけではそうそううまくいかないのが現実ということらしい。
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