開港から3年、ようやく初めて茨城空港を訪れた。
と言っても航空機利用ではなく、地上からアクセスしての見学訪問である。
開港前から注目していたのに初訪問まで時間がかかってしまったのは恥ずかしい話だが、私が航空機利用でこの空港を利用するには高い敷居が幾つかあった。
まずは私の帰国回数がこの3年間で4回ほどと非常に少なかったこと。
帰国回数が少ないと、毎回の荷物も多くなり日本での買い出しの必要性も多くなることから、荷物制限の厳しい(手荷物委託合せて15キロ以内)の春秋航空では、チケット代が安くても荷物の追加料金を取られたのでは、割が合わないということ。
そして何よりも帰省先の両親の住む場所が成田空港から圧倒的に便利な場所にあり、空港から30分ほどで到着することが出来てしまうので立地条件に差があった。
結局地上アクセスの運賃を含めても羽田空港より近くて便利な成田を選択するのが一番合理的な選択だったため、いつも成田を選択していた。
ただ、そうは言っても、茨城空港が私の注目すべき空港であることには変わりなく、今回元旦に茨城空港に行ってみた。
私が今回茨城空港を訪れるのに使ったのは常磐線の石岡駅からのルートで、廃線となった鉄道跡地の専用レーンをバスが走るBRT路線が空港と駅を結ぶ。
一応国際線も飛ぶ空港の最寄駅と成っている石岡駅だが、昔ながら何ら変わらぬローカル駅的な様相で空港の玄関という威厳的な雰囲気はまったくない。
駅から空港までの運賃は通常は片道600円だがダブルチケットという2枚組回数券を使えば片道500円と割引きとなり、このチケットは乗車後に運転士から買える。
とはいえ最寄駅からの足としては少々割高感は否めなく、航空機利用者に対して東京駅まで500円運賃を実行していることを考えれば、この区間はせいぜい300円程度が妥当な気がする。
さてこの連絡バスのBRTルートは旧小川駅までで、そこから先は一般道を走るのだが、これが恐ろしいほどのローカル路線となっており、旧小川町の街中の狭い道をくねくねと進む。
まあ茨城に馴染み深い私にとっては懐かしい雰囲気ではあるのだが、初めて日本を訪れこのバスに乗った外国人のことを考えると、想像とは違う日本の印象をここに見るに違いなく、本当に街へ辿りつけるのかなど不安を与える可能性もありそうだ。。
空港の発着便数が増えればいずれノンストップバスも運行されるのだろうが、現状ではローカル路線と併用は致し方の無いことなのかもしれない。
さて石岡駅から35分ほどで茨城空港に到着する。
周囲は畑と林だけでそれ以外はほとんど何もない場所で、空港の入り口に僅かにコンビニが一軒立つだけの寂しい場所である。
ただ驚いたのは無料と言われる空港前の駐車場にほぼいっぱいの自動車が停められていたということ。
どうやら噂通り空港利用客以外の見学客が大勢いるようだ。
空港ビルは確かに豪華ではないが言われる程簡素ではなく、ちょっと大きな田舎の農協レベルのサイズ。
空港の外側ではたこ焼きだのの屋台が何軒か並んでおり、一般の空港では考えられないような状況であるが、それだけ見学客が多いという証しのようで、空港利用客より漢学客が多いというのも頷ける。
建物の中へ入るとこの日は元旦ということもあって、春秋航空のカウンター前をつぶして大太鼓の演奏が行われていた。
デパートなどでは当たり前の光景だが、ここが空港であることを考えるとやはりちょっと異例のような気もする。
この空港では年中このようなイベントが行われているようで、なりふり構わず空港経営に努力する運営側の努力姿勢が見えて、かなり好感が持てる。
また売店の数も多く2階には日本や地元茨城のお土産はもとより韓国物産やアキバ家電など各種売店が立ち並ぶ。
そして国際線利用客のために外貨両替機なるものも設置されていた。
日本円→外貨と外貨→日本円の両方が設置されていたが、日本円→外貨の方は故障しており、さらに外貨→日本円の方も決してレートが良いとは言えず、緊急で必要でなければここでの両替はあまりお勧めできない。
ATMも設置されているが、ここには地元のつくば銀行と常陽銀行のものしかなく、国内系信販会社のキャッシングには対応しているものの国際ブランドのクレジットカードや銀聯カードには対応していないようで、この点でも中国人などの外国人にとってはちょっと使い難く、国際線が発着するのに国際的対応とはなっていない状況だった。
2階にあがるとレストランというよりは食堂というべきスペースがあり、空港というよりは高速道路のサービスエリアあるいは道の駅に雰囲気が近く、上品さというものはあまりないが親しみやすい空間となっている。
またいっちょまえに見学デッキまで用意されている。
ただ、ここは百里基地と併用空港であるため軍事的な意味もあって見学デッキ前面のガラスは、基地施設のある左側が見えにくい特殊なガラスとなっていて、空港全体を見渡したいときは左側に寄って右側を向けという構造になっているようだ。
現在茨城空港ではアシアナ航空が震災直後から基本運休中で、たまにチャーター便が運行されるのみとなっており、通常はスカイマークが神戸と新千歳に2往復と春秋航空が週6便上海との間を結んでいるのみで1日最大5回の運航となっている。
よって空港に行ってもいつでも飛行機が見られるわけではなく、チャンスは午前と昼過ぎと夕方の3回に限定される。
今回午後3時過ぎに到着したため、神戸からやってくるスカイマークを待たねばならなかった。
そして待つこと1時間以上だったが、ようやくスカイマーク便が到着。
噂通り牽引車を使わず航空機は自走でエプロンに斜めに停止、そこへタラップが掛けられ乗客は空港を歩いて出てきた。そんな姿はちょっと格好いい。
そんな見学をしているうちに元旦の日は暮れて行った。
もう少し便を増やせる余地はあるかなと思う茨城空港だが、地元に想像以上に大事にされている空港の姿を見て是非今後も応援していきたいと思った初訪問だった。