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職場近くでコロナ感染者確認、すぐに上海の警戒態勢が引き上げられ

 先週の木曜日、上海市内で輸入症例以外の新型コロナ感染者が発覚した。
 上海市内では入国者により症例は継続的に発覚していたが、上海市内での確認は数か月ぶりである。
 清掃者やホテルのフロントなどの従業員など計6名が一気に発覚した。
 (その後別の地域でも発覚し、24日までの情報では12名となった。)

 問題なのは、その場所で上海外灘近くの河南中路という市内の建物の密集した地域である。
 私の職場からも数百メートルの距離であり、かの地での発覚は他人事ではない。

 発見と同時に上海では緊急の警備体制が取られ、現場近くのエリアはあっという間に封鎖され、感染者が住んでいた住宅エリアは、居住者は一律濃厚接触者と疑われPCR検査と14日間のホテル隔離が命じられたようだ。

 非常に動きが速い上に、厳格である。

 まあ、個人的には警戒エリアというか危険地域指定がその住宅エリアのごく狭い空間に限られて指定されたことで、現状においては事態に巻き込まれなかったため安心している。

 これがもし半径1キロメートルなどと指定されていたら恐らく、私も含めて数万人の労働者と住民が隔離対象となるような事態になっただろう。

 当局も恐らく影響を最小限に収めるために、危険地域のエリア指定も最小限にしたのだと思われる。
 このように危険地域の指定は取り敢えず免れたが、翌日からオフィスビル側の警戒態勢などが急遽ワンランク引き上げられることになった。

 まず、入館入り口は一か所に絞られ、入館時に体温計測と健康コード(移動歴から判定される安全認証)の提示が行われることになった。
 もちろんマスクの着用は当然求められる。

 またショッピングモールの入館時もやはり同じように健康コードの提示、体温検査、マスクの着用が義務付けられた。
 また上海市政府からの指示で、10人以上の会食は控えるようにとの通達が出た。

 恐らく10人以上で会食していたところで、突然逮捕されるようなことは無いだろうが、月末に予定されていた日本人コミュニティの会食の予定は、早速中止の予定が届いた。

 そもそもこの時期は、中国の旧正月に対して年末に当たるので、日本の忘年会的な「年夜飯」という催しが家族や企業で行われるのが通常だが、恐らく大半は中止となるであろう。

 さらに知り合いの中国人たちは、春節(旧正月)の帰郷を諦めるような声が出始めている。

 ただこの判断は上海での発生以前に、東北を中心に感染者が見つかり始めた影響で、各地方が帰郷の際にはPCR検査の陰性証明書を提示するように求められてきたことなどが影響している。

 一度帰れば隔離されてしばらく動けないかもしれないような状況に、外国人(中国から見れば)の私達と同じようにやはり仕事など生活の基盤を失う可能性があることを恐れているのである。
 いずれにしても、上海では国内の集団感染発覚の途端に、コンサート類が中止となり、市内での発覚した途端に警戒態勢が敷かれるなど対応がものすごく早い。

 もちろん、これらは上述の通り上海市政府の指示という側面もあるものの、ビルの管理者など、自己防衛意識が高いことが行動の速さに繋がっているように思う。

 日本では非常事態宣言が出されたにも関わらず、街の人出が減っていないようなことが報道されている。
 政府は法律を理由に人の行動を制限できないことを言い訳に使っているが、中国だって強制力が実際に揮われている場面はそれほど大きくない。

 ビルや交通機関の事業者に協力してもらったり、住宅エリアの自治組織が政府方針に従って動いているのであり、必ずしも強制的にやらされているという感覚で動いているようには見えないのである。

 つまり日本でも、飲食店いじめのような強制制限的なコロナ対策を行わなくても交通事業者や建物管理者への協力依頼を求めることで、その事業者責任や関連法規においてそれなりの行動をとらせることは出来るはずで、それが市民へ緊張感を伝えるメッセージにも繋がるはずである。

協力金だって、そこへ払えば良いのである。

いずれにしても、感染者が発覚した途端に素早い対応が取られる上海にいてよかったと思えるのである。

上海ワルツ:
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