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2013年07月07日 国際ハブ空港化は内需から
 今朝のニュースで、アシアナ航空の航空機がサンフランシスコ空港で着陸に失敗して炎上したという事故を目にした。
 犠牲者も2人程出ているようで、ご冥福をお祈りするとともにその他の負傷者の一日も早い回復を祈りたいところである。
 
 ところで、今回事故を起したアシアナ機は韓国の航空会社であるにもかかわらず、搭乗客の大半が中国人客であり犠牲者の2人も中国人だったということがニュースになり中国でも大きく報道されている。

 事故に遭われた方には申し訳ないが、今回事故の中身云々のことはさておいて、中国人の客が大半だったという状況について書きたいのだが、韓国の航空機に中国人旅行客が多かったということは韓国の航空業界とりわけ仁川(インチョン)空港の国際ハブ化が成功している現状が見えたと言うことができる。

 実は中国とアメリカの間と言うのは今や経済の二大大国となっている割には国家間の関係の難しさもあって、両国間の航空直行便は北京・上海・広州の拠点空港はともかく、それ以外の地方空港発着の便はあまり多くないのである。

 これは日本の国際便が成田・関空・中部に集中している状況とよく似ている。

 しかし、実は中国の各都市からソウルへの便は結構飛んでいるのである。

 例えば今回事故を起したアシアナ航空で言えば三大拠点空港は言うに及ばず、煙台、威海、長春、ハルビン、西安、桂林、南京、青島、杭州、塩城、天津、大連、太原、重慶、瀋陽など沿海部の主要空港を軒並み押さえており、中国の航空会社でもカバーしていないような非常に充実したネットワークを運営している。

 実はこのことも対日本との路線状況とよく似ており、日本の地方から世界へ行くにはソウルに出た方が早く移動できると言われるように、例えばアシアナ航空は、静岡、仙台、富山、福岡、宮崎、熊本、沖縄、広島、米子、高松、松山、旭川など日本の各地方空港への路線が就航している。

 同じく韓国の大韓空港は札幌、函館、青森、秋田、新潟、小松、静岡、岡山、大分、福岡、長崎、鹿児島など広く日本をカバーし、両社合わせると日本の地方エリアはほとんどと言っていいくらい網羅されているが、逆に日本の航空会社がこれらの地方空港から国際線を飛ばしている例はほとんどないのである。

 そしてこの韓国の2つの航空会社は仁川空港をハブにして欧米中東など世界中に行けるネットワークを広げており、それを各就航先の地元に一生懸命にPRしてきたのである。
 その結果、今回の事故で明らかになったように中国人たちの取り込みにも成功していたのである。

 振り返って日本の航空事情に目を向けてみると、成田も関空も世界のハブ空港を目指すと言いながら、実はそのPRにいささか弱さを感じる面がある。

 実は上記の韓国の2社が乗り入れる日本の地方空港からも成田や羽田、中部、関空などで乗り継げば仁川経由のネットワークに負けないくらいの世界へのネットワークが繋がっているはずなのだが、どうも仁川経由のルートに比べそれらの地方空港が世界に繋がっている印象が弱いという点は否めない。

 それはまず第一に、日本の地方空港が目指す終点は東京や大阪であって、世界へ繋ががる視点に欠けるという決定的な日本の地方の状況がある。
 日本の地方と言うのは、行政体系の影響もあって東京にさえ繋がっていれば良いという考えが蔓延しており、実際東京の羽田以外の国内線を持たない空港が日本にはいくつもあるのである。

 よってそういった地方空港では東京へ繋がっているという意識はあっても、東京を通じて世界へ繋がっているという意識がほとんどないのが実情となっているようだ。

 こういった傾向は航空会社も同様で、ネットで検索をすれば確かに乗り継ぎ便情報は出て来るが、どうも積極的に販売しているといった様子は見えない。

 各空港の関連ツアー情報をチェックしても、地方空港から羽田や関空を通じて世界へというツアーは数えるほどしかなく、ほとんどがTDLなどの東京止まりのツアーであり、逆に大手旅行代理店の海外ツアーページを覗いてみても、ほとんどが東京・大阪・名古屋発となっている。
 つまり地方空港を起点にして国内線からの国際線への乗継ぎまでを含めた料金設定をしたツアーなどはほとんどない状況になっている。

 このように羽田などを軸にした便利なネットワークを持ちながら、実際には地方に対してPRされきれてない状況が実は成田や羽田、関空の国際ハブ化が進まない一つの要因でもあるような気がしており、日本の空の国際化が仁川空港によって実現されているといった状況に繋がっているのではないかと言う気がする。

 日本の航空会社に言わせれば地方発の海外方面への出発は需要が少ないというかもしれないが、韓国や中国の航空会社が安定して日本の地方空港便を運航していることを考えれば、需要が無いとは決して言えず、アピール次第で需要は掘り起こせるような気がするのである。

 今後成田・羽田・関空の各空港を国際ハブとして機能を強化したいのであれば、外国からの誘致にばかり目を向けないで、まず国内の内需に目を向けて地方路線を通じた呼び込みをアピールすべきで、そうやって地方と外国が繋がれば外国からもそのルートを通じて旅行客が流れてくるような気がするのである。


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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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