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2010年04月20日 イベントは人を育てる
 昨日書いた万博PR曲の盗作疑惑だが、万博事務局が岡本真夜さん側に仕様許諾を申請し本人がそれを快諾したとのニュースが伝わった。

 事務局としては、万博開幕まであと10日あまりで開会式から何からぎっしりプログラムが組まれている中、あの曲を外してスケジュールを組み直すのはとても間に合わないだろうし、今更新たな曲を探したりする時間的余裕もなく、あの曲を万博の舞台から葬り去ることはとても現実的でなかったのだろうと察する。

 もちろん国の威信をかけて、無理やり曲を探し新たにやり直すことも選択肢としてあったかもしれないが、全体への影響を考えればどう考えても現実的な判断ではない。パビリオン建設の遅れのみならず、開幕からこんなことで失敗してしまうことは、ここに向けて何年も準備してきた事務局にとっては耐えられないことであったのだろう。

 つまり今回何が何でもあの曲を使うしかない状況に追い込まれていたということになる。

 そしてこの状況の打開にはもう正面突破しかなくて、自国の万博PRソングに他国の人間が作曲したものを使うのかというような国内批判を恐れてはいられなくなった。

 幸いにも今回のイベントは「国際博覧会」という世界を紹介するという意義のイベントで、必ずしも自国の国威を掲揚する場ではなかった。故に経緯はどうあれ国内向けに外国の曲を使う言い訳は辛うじて立たせることができる。さらに、あの曲が彼女の曲であることを認め、正式に利用許諾を申請して盗作ではなく手続き不備の無断使用だったとの形ならば、彼女の曲が公式ソングになるわけで、相手方の顔も立てることが出来、しかも今後は堂々と晴れて曲を使うことが出来る。
 当然そこにいたる途中には国の名誉に対するプライドとの葛藤があったかもしれないが、今回そこを収めイベントの推進者として極めて現実的な判断をしたように思える。

 もちろん岡本真夜さん側にすんなり快諾させるためには、金もそれなりに積まなければならなかったも知れないが、万博にかけてきた費用の総額を考えれば、彼女に多少の利用料を弾んだところで、その程度のお金で名誉が解決でき、万博という大イベントがスムーズに進めることができるなら安いものと判断したのだろう。
 
 今回正式には謝ってはいないかもしれないが中国人が全体のことを考えて誤りを認め、現実的な判断をしたところは素直に評価したい気がする。

 この事務局の人たちは万博準備を通じて、世の中に対してかなり現実的な判断ができるようになったのではないかと想像する。

「イベントは人を育てる」これは私の持論である。


2010年04月20日 夜10時で閉店の地下鉄安全検査
今日はある集まりがあって、少々遅い帰宅となった。

そしてその帰宅途上の22時過ぎに、地下鉄の改札付近で見かけたのはすっぽりとシートがかぶせられた写真のX線荷物検査機であった。
「なぬっ?検査はもう終わりなのか・・・?」


なんと、万博に向けて規制強化されていると報道され、かなり厳重に行なわれているといわれる地下鉄の荷物検査は終電前に店じまいしていたのである。
どうやら22時には検査を終了して検査員は自宅に帰宅してしまっているようだ。

 日中は人の渋滞に構うこと無しに行なわれている荷物検査が、列車の運行時間帯の
全部はカバーされず、この終電までの最後の一時間くらいが荷物チェック無しで地下鉄に乗れる状態になってしまっている。

 うーん、人件費の問題なのか、夜中に危険物を運ぶ人間はいないという勝手な安心感なのかわからないが、なんとも割り切れないこの中途半端な対応にちょっとあきれてしまった。

 利用客としては煩わしいチェックなく地下鉄に乗れるという気楽さ反面、テロリスト達にこの時間を狙われたらどうするのだという反発も沸いてくる。

 確かに22時を過ぎれば利用客もめっきり減るので、例えこの時間帯を狙われたとしても、被害はそれほど大きくなりようもないのかも知れないが利用者の一人一人の安全という意味では平等なので「これでいいのか?」と叫びたくなる。
 それにこの時間帯を狙って地下鉄に時限爆弾を持ち込んで、昼間に爆発するようセットする人間もいるかも知れないのだ。

 万博を控えて、あんな高価な機械を地下鉄全駅に導入してまで検査を行い安全を確保しようとしている片方で、深夜にこのようなフリーパスを行なっていたのでは何のための検査だか分からなくなる。

 結局は、昼間の荷物検査も含めて、全駅検査は当局の単なるポーズではないのかと疑いたくなる。こういった間抜けなところが上海の「厳しい検査」の実態である。

 こんな状態で万博期間中何もおこらなければよいのだが・・・。



関連ページ交通関連情報

2010年04月19日 万博PR曲の盗作疑惑は実は根深い問題
万博のPR曲が盗作を疑われて、使用停止になった。

疑われているのは「2010等你来」という曲で、日本の岡本真夜作曲の「そのままの君でいて」という曲にそっくりだというのだ。

 私も興味をもって両方の曲をネットで探して聴いてみたが、まあ盗作というよりコピーそのものといった感じだ。
もともと限られた五線譜の中を音符でなぞる音楽なので、フレーズ単位で似たような曲が時々出来てしまうのは致し方ないが、今回の疑惑はそのレベルをはるかに超えている。
AメロBメロからサビまでそっくりである。ここまで似ていれば偶然だという言い逃れは出来まい。
今回の疑惑について万博事務局は「疑われる曲を使うのは好ましくない」との声明を出し、疑惑については明言避け曲を引っ込めたのだが、責任者は楽曲提供者に恥をかかされたと内心煮えたぎっていることであろう。
 PVに出演したジャッキーチェンをはじめとする中国の錚々たるメンバーも同様に違いない。

 それにしても盗作がほぼ真実であるとするなら、オリンピックの口ぱく事件以上に中国の倫理観を問われる問題である。しかも「口ぱく」のような演技者と歌手が違う演出というのはインド映画などで頻繁に使われている手法であるから、オリンピックの開会式の場で使うのが適正かどうかは別として、演出構成上ありえないことではない。
 しかし盗作というのは全く犯罪行為になってしまうので、これはどうあがいても言い訳しようがない。


 もともと中国はパクリ天国だといわれ、日本のアニメなどのそっくりさんがそのまま放映されているのはよく聞く話であるが、上海万博などという重大な国家プロジェクトここまで大胆に盗作疑惑がかかるような曲を出してしまうのは驚きを超えてあきれてしまう。
 しかも本来関係者は少なくとも、曲が提出された時点で、似たような曲が過去になかったか調べるべきであったのに、今回それすらされていないということになる。

 まあ今回は「ぱくられた」ことが事実であったという前提で話をすれば「ぱくる」という行為に対する倫理観の欠如もさることながら、当事者が盗作であってもばれると思っていなかったところがこの国の状況を現しているとも言える。

 日本人の感覚ならば、名もない歌手の唄ならばともかく、それなりのヒット曲を飛ばしている外国人歌手の歌を真似すれば誰かに盗作を指摘される可能性があるというのは最初から分かる話だと思うのだが、今回盗作をやったのが事実だとすれば、そのばれる可能性を感じていなかったことになる。
 つまりそれだけ世界の情報の伝達力を知らず、社会意識が狭いのが今の中国人と言えるのである。しかもそれなりに有名だとされていた作曲家がこの状態なのであるから、それ以外の一般市民に関しては推して知るべきところとなる。
 今回のこの盗作疑惑は単なる一楽曲の著作の問題というより、もっと根深い中国国民の社会認識の問題を露呈したといえる事件という気がする。



参考に土豆網で見つけた疑惑の2曲です。
(考えてみればこれもきっと違法コピーですね、ごめんなさい)

上海万博のテーマ曲だった「2010等你来」

岡本真夜作曲の「そのままの君でいて」



2010年04月18日 大家の趣味
昨日、大家がやってきて今の部屋の賃貸契約を1年延長した。
まあこの部屋に引っ越してからどうも運がついていないと思う部分もないこともないのだが、会社からの距離が近いという便利さと、家賃の割には部屋が綺麗であるというメリットは大きく継続して住むことになった。
 一応、先月に不動産屋を訪ねて見たのだが、どうもこれといったヒット物件もなく、引越しそのものが非常に面倒くさく感じ始めたので物件探しを諦めてしまった。
(そういえば浅草で引いたおみくじも凶で「家移りわろし」だった。)

そんなこともあって昨日契約延長のサインをした。家賃は100元アップになったが、まあ昨今の不動産の値上がりを考えれば許容範囲である。

そして、そのついでに大家がカーテンを持ってきて取り替えていった。以前のものは丈が長すぎて引きずっていたので不便であろうということで持ってきたらしい。
最初っから測ればいいのにと思うところは無きにしも非ずだが、私も細かいところは気にしないので1年間放置してきた


 で取り替えられたのが写真のカーテン。

 白っぽい地に赤やピンクの大きな水玉柄となっている非常にかわいらしいカーテンだ。
この部屋、もともと風水的な趣味がある部屋であったのだが、イコール少々女の子の部屋っぽい内装であった。
それが今回のカーテンの取替えでそれに更に磨きがかかってしまったような格好だ。

 このカーテンの色合いが風水的に何か意図したものであるのかは非常に気になる。
それにしても中国人のインテリア嗜好の究極というのはどうもヨーロッパのお姫様部屋スタイルなのではないかと最近感じ始めた。
世の中のパープル色傾向は今後ますます強まりそうな気がする。
 今回のカーテンはインテリアとしては悪くないかなぁと思いつつもなんだかますます他人を招き入れにくい部屋になってしまったなぁと思う。


2010年04月16日 愚かなライトアップ
万博が近づくに連れ上海の街もあちこちで化粧直しが行なわれ、完全に表面的な施しではあるとは言え、まあ古めかしいものは隠され全体に小奇麗になりつつある。
しかし、それも時々行き過ぎを見かける。


 その一つが今日見かけたこのライトアップ。普段は緑美しい街路樹の通りに下から煌々とライトをあて、かつよく分からない煌びやかな電飾を設置している。
まあこの光景、見ようによっては美しいように見えなくもないのかもしれないが、完全な成金趣味的な悪趣味のような気がする・
まあ美的感覚の違いはさておいたとしても、街路樹に対する配慮はまったく行なわれていないといっていいだろう。
 かのような強い光を長時間植物に当てれば植物にも悪い影響が出るのはほぼ分かりきった話なのに、どうもこの国はチャンイーモーよろしく見た目の美しさだけを追求し、それを求める過程で多くの犠牲を強いるというのが国民の常ののようだ。
 このような照明器具が設置され、電飾が絡み付けられている姿は醜いとしかいいようがない。
これが物言わぬ動かぬ樹木であるから誰も文句を言わないものの、動物や人間であったら虐待として大問題である。

万博を行なう国の国民の意識はまだまだこんなものかとビックリしてしまう。


2010年04月15日 日本人の無責任な「お上依存気質」
日本のニュースを見ていると沖縄の普天間基地移転問題において、鳩山首相がリーダーシップ不足でずるずる支持率が低下している姿が連日のように伝えられる。
 まあ確かに彼の決断力不足がその要因にあるという面も否めないが、それ以上に個人的には彼の立場を非常に気の毒に感じる。

 マスコミや周囲の人間はこの普天間の問題を内閣に委ねながら、誰一人基地の受け入れ側に回ろうという発想の元に意見を述べていないのである。

 沖縄の負担を軽減するならば、沖縄県以外のどこかに移転させなければならない。
しかし、県外の候補地の名前が浮上するたびにその地元から反対意見が噴出してくる。日本全国どこを探しても米軍基地の移転を受けてもよいなどという自治体は全く現れてこないのである。

 つまり結局は、どこの自治体にとっても米軍基地は厄介者の存在で、貧乏くじを引くことなく問題をたらいまわししたいというのが日本全体の趨勢なのだ。
 そんな状況の中、鳩山さん一人や現政権にだけ責任を押し付けても何も始まるまい。
 
もしどこも米軍基地を受け入れないのならば、例えば米軍基地を追い出して日本の独自の安全保障でやれるのかどうか?もしそうなればきっと日本全体に必要される独自軍隊の規模は沖縄の普天間基地の規模では済むまい。
もちろん、軍隊や自衛隊などなくても良いなどという理想論もあるが、現代社会において一つの国家が全くの丸腰状態というのも非現実的だ。



 こんな重要な国全体の安全の問題を、首相や内閣に任せっきりにして「安全は欲しいが基地は来て欲しくない。でも首相にはきちんと決断してほしい。」などと意見を述べるマスコミや国民の態度は非常に無責任というほかないであろう。

 鳩山首相に決断力がないのは、日本国民全体に決断力がないからで、彼が無責任のように見えるのは、日本国民全体がこの問題に対して無責任であることにほかならない。そんな象徴としての鳩山さんが責められるのはやはり少し気の毒な気がする。
 全てはお上の指示待ち、悪いのはお上の責任だとする日本の国民体質はそろそろ改めたほうがいいように感じる。
外国にいると日本人のそんなお上依存気質が良くわかる。



2010年04月12日 古北新区に待望の最寄り駅
いままで日本人が多く住みながら、公共交通機関に恵まれず陸の孤島となっていた古北新区がこのたび10号線の開通により、地下鉄の駅からようやく徒歩圏内になった。
といっても私は古北新区に住んでいるわけでもないので、日常の生活で直接その恩恵に授かるわけでもないのだが、まあ古北のカルフールに行ったり、その周辺の日本料理屋などに集まる機会は少なくないので、恐らくかなり重宝する路線になるであろう。
 最寄り駅として使えそうなのは水城路駅と伊犂路駅、そして宋園路駅あたりだろうか?このあたりの地区は、今まで地下鉄の最寄り駅といえば2号線の婁山関路駅か3号線の虹橋路駅、延安西路駅くらいしかなく、これらの駅まで数キロの距離があり、しかもバス路線もそれほど充実しておらず、住民は基本的にタクシーか自家用車に頼らざる得ないエリアだった。
 まあ古北新区そのものが高級住宅街なので、日常的にタクシーを利用してもそれほど苦にならない人々が大勢住んでいたのは確かだが、それでも地下鉄の延長は久しく待ち望まれていたはずである。

 特に日本人にとって、母国日本は世界でも稀に見るほど軌道交通の発達した国なので、そういった国から来た我々は鉄道の駅のそばであることに非常に高い価値観を置いており、今までどんなにタクシーを自由に利用してきていても、駅が近くにある生活環境に変わるということは何にも代えがたい安心感を与えてくれるものとなるはずである。
 まあ実際上の生活においては、上述のカルフールなどが既に古北新区内にあり、生活の日常はエリア内でほぼ完結してしまうほど環境が充実している区域なので、この10号線が開通したところでそれほど利用される機会は多くならないかも知れないが、駅と繋がるという安心感は大きいものであろう。

 この10号線、当面は試営業で日中のみの営業らしいが、飲んだあとにも乗れる時間まで早く営業開始して欲しいものである。


2010年04月11日 成田の無線LANはまだ有料
先週の日本帰国は成田空港経由で帰ってきたのだが、そのとき成田空港は無線LANが全て有料であるという事実に気づきとても驚いた。
空港に行く前に調べてみたのだが、無線LANの施設はあるのだが事前のプロバイダ契約が必要なものばかりである。
これでは事前準備なく突然この空港を利用することになったら、ネットを使ったメールのやり取りもできずビジネスに大きなロスが出来てしまう。
 比較して申し訳ないが上海の空港は完全無料化が実現している。空港どころか市内の喫茶店など結構いたるところで公共無線LANの設置が進んでいる。
 何故、いまどき成田ほどの空港が無線LAN無料にならないのだろうか、、、と書きかけて慌てて世界の空港の無線LAN事情を調べてみた。
 調べてみると世界の空港の中でも無料化が進んでいる空港は数少ないようで、ほとんどは無線LANには対応しているもののプロバイダとの契約が必要なようである。
故に成田だけ特別状況が悪いということでもないようである。

 しかしである。

成田空港はご存知のように世界一高い着陸料を航空会社に課し、これまた高い空港施設利用料を乗客に課している。にも関わらず上海に施設サービスの面で負けていることになる。これではアジアのハブ空港競争では完全に遅れをとってしまう。トランジットの空いた時間にネットに接続してメールやニュースのチェックはツーリスト達の当たり前の行動になっている現在、ビジネスマンのみならずバックパッカーやツアー客でさえノートパソコンを持ち歩き旅をする。
 
 そこで一々有料のプロバイダとの事前契約を必要とすることであれば、その空港は「使えない空港」という評価になってしまう。そうなればもし彼らが成田か上海のどちらかでのトランジットを選ぶ状況になったら、恐らく成田ではなく上海をトランジット地点に選ぶであろう。
 空港全体の施設からすれば小さいことかも知れないが、今や世界の人々の日常の行動になっているネット接続に対するサービスはそのくらい重要な判断材料になっている気がする。


 ちなみに関空では国内線利用客に対しては有料だが、国際線は国際競争力を意識してか無線LANが無料で提供されている。
 故に「無線LANは有料」は国内の常識でもなくなった。同じように日常からあれだけ高い空港利用料をとっている成田も早く無線LANの無料化を実現していただきたいと思う今日この頃である。


2010年04月07日 経済力学による日中言語の逆転という現実
現在、日本で2カ国語放送といえば当たり前のように英語と日本語だが、現状を考えてみると中国語の放送が全くないのは少々不思議とも言える。

それだけではなく、街中の表示も英語の表記はあるのに。中国語表記がある場所はかなり少ない。

最近でこそ有名な観光地はかなりハングルと中国語簡体字が表示されるようになったが、それでも英語表記に比べるとかなり少数派だ。
今回帰国してみて、日本の中に中国人があれだけ観光客や労働者として存在しているのに、日本の生活文化の中に中国語の表示が少ないことが非常に目についた。
まあもともと日本も中国も漢字表記の文化だから、字の形や意味の微妙な違いはあれども基本的意味は大体一致しているので、わざわざ日本で中国語表記をしなくても意味の理解においては彼ら中国人は問題なく理解できる土壌があるという考え方も出来る。
 
 また英語はいろんな場面で世界の公用語として使われているが中国語はそこまでの世界的広がりがあるわけでもなく、確かに話す人数は多いが地域的に偏っており世界の公用語のひとつとして使われているわけではない。そういった整理の基、日本国内での中国語表記は必要ないと結論できるのは簡単である。

しかしである。

 この2カ国表記というのはどうやら経済の力関係を表していると最近考えるようになった。
つまり経済力が下の国は、経済力が上の国の言葉を学ぶという言語の経済力学が働いているのではないかという考え方だ。
 例えば日本から見てアメリカの方が経済力が上だったので、日本人は英語を学んでいるが、その逆に日本語を学ぶアメリカ人は一部の文化的関心を持つ人以外は非常に少ないと思われ、つまり外国言語を学ぶということは圧倒的に経済的理由によるものといえる。


 そして日本と韓国や日本と中国の関係も同様で、日本国内に中国語表記やハングル表記のお店は非常に少ないが、中国の上海や北京などには日本語表記の日本料理店が数多く存在し、日本料理店ならずとも日本語を学ぶ中国人や韓国人は大勢いて、自国内外で日本人相手の商売をしている人は数多くいる。つまりそれは彼らにとって日本語を使えるほうが経済的に有利だと考えているからである。
 逆にこれまで中国語や韓国語を学んでいる日本人というのはどちらかというと文化的興味から学んでいた人がほとんどであろう。

 この理屈で言うと今のところまだ日本国内に中国語表示をしている場所が少ないのは、それだけ日本より中国のほうが経済力の低い状態にあるからで、経済的優位性を求めて日本に来る中国人は日本語を学べという状態になっているということになる。
 もちろんここ数年、金持ち中国人の日本観光は多少増えてはいるが、それはまだ観光的要因に留まっており街中の中国語表示や中国語によるテレビ放送を必要とするほどのものではない。いまのところ日本に来る中国人や韓国人はやはり多少なりとも日本語を学んできている。
  
 しかし近年、その状況は逆転するかもしれないという予測が現実的なものになってきた。

 今年中に中国がGDPで日本を抜くと言われている。
そして5年後には日本の2倍に達するという予測も出ている。
もちろん2倍程度では人口が多いので国民一人当たりではまだまだ日本が上だが、少なくとも国全体の経済力としては完全に逆転する形になる。
 そうなったときに日本国内の「言葉」の問題は果たしてどうなっているか?

日本国内は今までどおり英語と日本語の2ヶ国語表記のままいられるのか?このあたり非常に疑問になってくる。
 


 例えば今の日本の外資企業が社内公用語を英語とするように、中国企業に買収された日本の会社は社内の公用語が中国語になったりするかもしれない。

そんなひどいことと思うかもしれないが、実際日系企業は逆のことを中国人従業員に強要している現実があり、経済力が逆転すれば逆もまた然りである。
さらに日本の街中の表記に中国語表記が増え、テレビの2ヶ国語放送は3ヶ国語が標準になるかもしれない。
そして第2外国語として中学生から中国語を学ぶような時代がやってきて、国民全体が国力向上のため中国語を学べという時代がやってくるかもしれない。 

実際、現時点でも中国語を学ぶ日本人学生の増加は増えているといわれ、これは文化的関心ではなく完全に経済的理由だと思われる。

 私も正気な話をすれば中国に対する歴史文化的関心が高いわけではなく、恥ずかしながら三国志などは断片的に話を少し知っているだけで中国という国そのもに高い興味があるわけでもなく、まあどちらかというと経済的理由で中国語を学んだということになり、この流れの中の一人になっているとも言える。
 
 こうやって考えていくと経済力の逆転が、言語表示の逆転になる現実が、今目前に迫っているといえ、日本人全体でその覚悟をする時期がやってきたのかもしれない。


2010年04月05日 浅草のマツキヨは中国人客だらけ
浅草から見る建設中のスカイツリーとアサヒビール社屋
今日は隅田川の桜見物がてら浅草まで買い物に出かけた。
買い物というのは上海の友人に頼まれた化粧品なのだが、預かったのが人民元なので決済も銀聯カードの方が楽だろうと思い、わざわざ銀聯カードの使えるマツキヨを探し、出かけて行ったのが浅草の新仲見世にあるマツキヨである。


顔だけでは判断できないが 中国人客は多い。
 さてさてここで店内に入ってみてちょっと驚いた。
 店舗自体は普通のマツキヨで、並んでいる商品も普通の商品が並んでいるのだが、買っている客層が全く違っていた。なんと中国人だらけなのである。
 店内には商品について会話する中国語が飛び交い、通訳と思しき人が店員との会話を翻訳している姿が店内のあちらこちらに見られた。その中国人の合間を縫うように数人の少々年食った日本人が数人ちょろちょろと商品を見ていたが、店はほぼ中国人に占拠されている状態だった。

 幾ら外国人観光客の多い場所柄とは言え、ここまで中国人だらけとは思わなかった。どうやら今や浅草のマツキヨは日本土産の化粧品を買い求める中国人観光客の定番ルートと化しているようだった。

 もちろん、今や中国にも日本の化粧品はそれなりに輸出されているが、当然の如く関税や輸送費の問題で割高になっている。今回私が買い物を頼まれたのもやはりその価格差の問題であり、品質、品揃え、価格の問題でまだまだ上海のデパートより日本のスーパーということらしく、私が日本に帰ることを聞きつけた友人が今回私に頼んだのである。

 つまり今回の私の買い物だって、買いに行ったのは日本人の私だが、実際にお金を出しているのは友人なので実質的には中国人の買い物ということになる。そのくらい日本に対する中国人の買い物熱はすごいようだ。
 まあ以前から話には聞いていたとはいえ、ここまで中国人の買い物パワーを実際目の当たりにすると本当にビックリする。

 このマツキヨの光景は年老いた日本人と元気一杯の中国人という、今の経済の勢いを象徴するような対照的な光景である。

 まあ元気の無い日本経済にとって、今や中国人買い物客は本当に有り難い客であることは間違いないが、そうはいってもやっぱり何とか日本人自身にも元気を取り戻して消費を増やしてもらいたいなと思った今日の光景である。



プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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