日本の羽田空港が定時出発率で世界一を続けているとのニュースを見た。
しかも5か月連続で。
これは世界35箇所の主要国際空港の比較によるもので、羽田の定時運航率は95.04%だそうである。
しかも日本のその他の空港まで入れると大阪の伊丹空港がもっと上に来て96%、それ以外の日本の空港も軒並み85%を超えるようである。
まあこのニュース自体はそれほど驚くことではなく、日本にいると寧ろ当たり前のように感じる。
それに対して、中国の空港のあまりにもひどい状況が目に付いた。
ニュースの基になっているflightstats.comのデータを拾ってみると
北京首都17.83%、上海浦東20.89%、上海虹橋15.92%、深セン19.21%、南京21.40%、杭州15.18%、広州18.47%、鄭州24.92%、アモイ25.45%、成都25.33%、西安27.89%、大連30.63%、重慶31.01%、青島34.28%、三亜31.26%、海口38.43%、ウルムチ34.28%、昆明36.61% 長沙36.23%、武漢37.7%、
ととても公共交通の定時運航率ではない。
まあ7月の中国は天候不順で、各地で酷い雷雨の天気が多かったため数字が悪くなっただろうというのを割り引いてもちょっと酷過ぎる。
さらにエアライン側の定時到着率のデータを見てみると、
中国国際航空50.47%、北京首都航空48.06%、中国東方航空46.71%、中国南方航空52.96%、中国聯合航空27.55%、海南航空41.97%、上海航空37.76%、天津航空45.09%、廈門航空29.31% 雲南梓鵬航空54.24% 長城航空71.10%、中国西部航空38.88%
となっている。
ここでちょっと気が付くのは、空港側の定時出発率と航空会社側の到着率に差があることである。
その理由として考えられるのは、地方の支線空港では比較的定時運行が保たれてい
るが、上記のような中国の大都市の特定空港ではフライトが集中していて、着陸待ちなどにより遅れが出やすい状況となっていることが考えられる。
さらにそのような大都市空港には上記の航空会社以外にも中小の航空会社が沢山乗り入れており、特に春秋航空や吉祥航空などLCC的に少ない機体を目一杯運用している航空会社もあることから、ちょっとの遅れが沢山の便に影響が出やすいという環境があるのだと思われる。
それにしてもこの定時運航率の悪さには驚かされる。
日中で何故こんなに差が出てしまうのか?
普通に考えれば乗客のマナー云々というのが一番大きいのかも知れないが、それではあまりにも答えが単純すぎるので、別の理由も考えてみた。
そこで考えてみたのが日中の航空会社の数にヒントがあるのではないかということ。
日本人なら誰でも知っている通り、日本の空はJALとAMAの2社が大きくシェアを持っているため、日本全国ほとんどどこでもこの2社の便が飛んでいる。
そのため、日本のどこかで天候不具合が起きたとしても、自社の機体を違う場所から素早く融通することが出来るのではないかという推測が成り立つ。
この点、中国では
あまりにも多くの航空会社が乱立しているため、小さい航空会社も多く、そういった小さな航空会社では遅れや故障が出ても、他の機材を融通するような対応が取りにくいのだと考えられる。
例えば空港のゲート運営一つとっても航空会社が違えば調整も容易ではないだろう。
更に日本の航空会社は遅れを回避したり機材変更に対応できる
リカバリー体制やカバープログラムを持っているのではないかと推測している。
だいぶ昔になるが、以前何処かでそういったリカバリープログラムの分厚いマニュアルを読んでいた航空関係者を見かけたことがあり、座席の振り替え方法や運用管理システム上の機材変更など事細かに書かれているように見え、ああこれが日本の空を支えているんだなと納得した記憶があったのである。
つまり例え一便で遅れが生じても他の便に影響が出ないような体制で予め構えていたり、天候などを事前予測して早めにキャンセル処理をしてズルズルと遅れの状態を発生させないような対応マニュアルが完備しているからこそ、日本の空港は遅れを生まず、世界一を保てているのではないかという気がするのである。
中国の航空会社の遅延リカバリー体制がどうなっているか知らないが、恐らくそこまでのプログラムを持って運用されているようには到底見えないし、それがあればこんな定時運航率にはならないという気がする。
やはり乗客のマナー云々だけでは片づけられない差が、日中の航空環境にあるのではないか、そんな気がしている。
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