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2013年11月07日 国立競技場は沈めてしまえばいいのではないか
 2020年の東京オリンピック招致が決定して以降、そのメイン会場となるはずの国立競技場の建て替えを巡って、議論が迷走している。

 昨年のデザインコンペによって、イスラエル出身の建築家ザハさんさんの作品が選ばれたのは報道で周知されているとおりだが、その実際の建設の是非を巡って色々と議論が噴出している。

 その原因として、まずあのデザインで実際に建てるとなると当初の予想予算の1300億円を遥かにオーバーし、3000億円もかかってしまうという試算が出てしまっているとのこと。

 コンペの際にはこの予算というものは予め提示されているはずなのに、何故こんなことが起きるのか?

 ザハさんの地元では、これをつくっても日本でこれを作るより人件費等が安く、安上がりに仕上がるのではないかとの憶測も成り立つが、何よりも審査員に名を連ねている名だたる建築家たちが、デザインを見て総工費を予測できなかったことが非常に問題であり、1~2割計算が狂ったというならともかく、倍以上の差があるというのは審査員たちの建築家としての技量に疑念が生じる。

 さらに、建設予定地は風致地区でやたら大きい物や奇抜な物を建設したりできないような制限があるとのことで、神宮外苑という特殊な事情を持った条件があり、今回のデザインでは規模が大きすぎたり、風景にマッチングしないなどの点で、規制に抵触するとの意見が出ている。

 また陸上競技に使うにしてもサブトラックが考慮されず、あのままだと国際大会などに使えない規格に区分されてしまうらしい。

 こんなことも、本来はコンペ主催者や審査員側が事前に調べ、コンペ条件として参加者側に伝えておくべきであることだと思うが、どうも彼らはこれらのことを知らずしてコンペを開催したような雰囲気であり、全てにおいて勉強不足でスタートしている感が強い。

 どうも予算や建設場所、国際スポーツ運営に求められる特殊性のことなどを考えずに、見た目のインパクトだけを優先して選んだ感が強い気がする。

 そして、改修予算についても東京都と国で負担割合を巡って紛糾しており、都は「国立競技場」なのだから国でやるべきだとの意向であり、国はオリンピックのメイン会場なのだから負担を求めているよだが、是もやはり本末転倒でこんなことは、コンペをやる前の建て替えを決めた時点で決めておくべき事柄である。

 オリンピック招致やラグビーのワールドカップ開催が念頭にあっての建て替え計画だったかもしれないが、予算負担も決めずに建て替えを決めコンペを実施するとはやはり首をかしげたくなる段取りである。

 さてさて、表題の「沈めてしまえばいい」というのは何もこんな計画を失くしてしまえばいいと言っているのではない。

 今回のドタバタで、一番迷惑を被っているのは実際にデザインが選ばれたザハさんだという気がする。

 まああの流線形のデザインが良いかどうかの評価はともかく、折角選ばれたのに審査員や主催者側の不勉強のおかげで何だか批判の矢面に立っている感がある。

 予算オーバーを見抜けないのは審査員側の力量不足であり、地域特殊条件を知らされていないのは主催者側の勉強不足であり、ザハさんにしてみれば「選んだ奴が悪い」わけで、挙句の果てにデザイン修正を求められるかもしれないというのは、クリエイターとして傷つく行為だという気がする。

 故に、一度選んでしまったデザインであるゆえに選んだデザインに対して最大限の敬意を払う必要があるという気がしている。

 そこでまず一つ考えられるのは建設予定地の変更。

 2016年のオリンピック誘致計画の時は晴海にメインスタジアムが建てられる予定だったようだから、そこへ移動させてもよいのではないかという気がする。

 海に面していて、夏に行なうオリンピックのロケーションとしてもこの上ない場所である。

 今回の2020年計画では、かの地は選手村として構想されているようだが、選手村の代替地であれば、埋め立て地方面の活用でどうにでも都合がつくのではないかという気がする。

 しかし、国側は今回の問題提起について、デザイン変更で規模を縮小し予算縮小をはかり、場所も変更しないとしている。

 そこで私が思ったのは、ならばあのデザインのまま国立競技場を深く沈めてしまえばいいのではないかと思ったのである。

 あのデザインは、私から見ると「水に飛び込むスイマー」或いは「バラフライの泳ぎ」のように見え、もっと深く沈ませても良いという風に感じたのである。

 故に、あの車のバンパーのように見える周囲の部分を0メートル付近までおろし、全体の高さを抑え、中心部が地上にちょっとだけ顔を出す半地下競技場にすることにより建築面積や周囲風景に影響を与える規模の問題は解消できるのではないかという気がしている。

 問題は予算で、そのバンパーの部分や観客スタンドが立体構造物にならない形やを取れば、全体予算はやはり縮小できるような気がしている。

 まあこのままではサブトラックまではちょっと考慮しきれないし、ロードレースランナーには負担のある競技場となるが、本体の地上建築面積を縮小すれば、どこかにカバーする余裕が生まれるような気がする。

 とにかくあちこちの面子を立てた形で計画を進めるには沈めてしまうのも一つの案だと思ったのである。

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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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