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2013年06月16日 気の毒な日本の政治家たち
 日本の政治家たちを見ると、時々気の毒に感じる時がある。

 他国に比べ鍛え方が足りないというか、鍛えられる場もなければ政策能力を高める場もないまま国政を担う立場を背負わされる場合が少なく、そのまま何となくの数週間の短期間の選挙の結果で首相や党首などになる場合が少なくないからである。

 その結果どうなるかというと、運よく政治力のある人間がトップになればそこそこの長期政権が作れるが、大方の場合は他国に比べ非常に短期の政権で終わっているのである。

 ウィキペディアの資料によれば、明治の大日本帝国憲法以降の日本の内閣総理大臣経験者は62人いるとされるが、そのうち1年以内の短期間で終わった総理が20人もいる。

 さらに40人が2年以内しか在職しておらず、実に内閣総理大臣経験者の3分の2が2年以内の短命在職と言う実績であり、逆に4年以上の在職期間を経験したのは7人しかおらず、3年以上に拡大しても11人にしかならない。

 これに比べアメリカや韓国の大統領の任期は4年、中国の国家主席は5年であり、如何に日本の内閣が短命かが分かる。

 この原因として一つ考えられるのが、日本の政治家が政治的に鍛えられないまま政治の舞台に立つから経験不足で打たれ弱いということがあるという気がする。

 例えばアメリカなら、大体が上院議員や州知事などまず政治の実践の場で実績を積んでから大統領選挙に進むのが通常であり、大統領候補になるために実質一年近くの予備戦を党の内部で戦って候補に選ばれる必要がある。

 さらに大統領選本番でも実質半年近くの選挙戦を戦うことになるから、結局候補者は1年半近くもの間に本人の人物の政治的思想や人間性が徹底的にさらけ出されるので、選挙に出る本人は相当の準備を持って臨む必要があり、色んな弱点をつつかれる度に勉強してカバーしていくことになるから、選挙期間を乗り越えることによって大統領になる政治家として鍛えられる面がある。

 また、この選挙活動の中身も単なる選挙カーの上からの一方的な街頭演説ではなく、州によってはタウンミーティングのような非常に自治意識の高い選挙民たちの討論の中にさらされるため、国民と非常に近い距離で意見を受け止める必要があり、マイノリティーなどへのかなり幅広い視野を求められる。

 こういった修羅場を潜って成長した人間が選ばれるのがアメリカの大統領であり、こうやって鍛えられた大統領が打たれ強くなり、ちっとやそっとの事では揺るがないのは当然のことのような気がする。

 また中身は違うが中国の国家主席とて、一党独裁と言っても当然ポッと出の党員から主席に選ばれるわけではなく、長年に渡って国内のあちこちの機関を歴任するうちに組織の人間として鍛えられ、そこを勝ち抜いてきた海千山千つわものであるから、この非常に複雑な国のトップとして君臨出来るのだと思われる。

 さらにアメリカの大統領などは就任した後も非常に優秀な政策ブレーン機関がつくと聞き、ある政策方針をとった場合の影響を即座に分析レポートしてくれるから、迂闊な政策ミスはほとんどなない状況にあるようだ。

 これに比べ日本の政党の政治家は、どちらかと言うと地域の地盤を受け継いできたお山の大将のような人も多く、親が死んだから出てきた二世のような鍛えられていない人がいきなり国会議員になってしまう場合が少なくない。

 そしてその議員たちをまとめる政党組織も組織と言っても、会社や役所のような固定化された組織というよりも、同じ意識を持った人が集まる寄り合い所帯的な議員連盟組織であり、そこで組織の論理や難しさを学ぶような関係になっていないというのが日本の国会議員たちの実態になっている。

 さらに実際の政治の中身についても、政策勉強は本人たちの自助努力に頼るほかなく、日本のように自治意識の薄い国民との間で幾ら討論をやっても我田引水的な利益誘導の要望しかないので、例えば国の財政危機などについては深く突っ込んだ真剣な議論や認識にならないのである。

 日本の場合は、本来ならば政治家が膨大な情報量を持つ官僚組織をうまく使いこなして政治家主導で政治を進めればいいのだが、組織に関わる人間としての鍛え方が足りないまま議員になっているため、膨大な情報量を持つ官僚たちを使いこなせず、逆に使われてしまう面もあるのである。

 結果、あまり広い視野を持っているとは言えない政治家が官僚政策に乗った格好で、わずか数週間の短期の政局の勢いで首相に選ばれたりするので、就任後の一つや二つの政策については乗り切れるが、議会運営などで一つ問題が発生したりすると、堪えきれず短命の内閣で終わってしまう結果となる。

 このような自治意識のない選挙民風土の環境の中で、鍛えられる機会もないまま短期的な選挙活動の結果だけで政治を行なっている日本の政治家たちはちょっと気の毒であるという気がする。

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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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