たまたま中国のテレビの経済討論番組を見ていたら先日横浜で開かれていた日本のアフリカ会議の話題が取り上げられていた。
NHKの経済番組同様に、司会者と学者などの数人の専門家が参加する方式で議論が交わされていて日本のアフリカ会議開催の目的はどこにあるのかなど、結構事細かに議論がぶつけられ、例えば将来の貿易資源確保だとか、有望市場の種まきではないかとか、常任理事国入りの為の票集めじゃないかと色々な意見が出ていた。
特に日本のアフリカ戦略と中国のそれはどう違うのかなどが熱心に議論され、中国は港や道路・工場などの貿易施設を熱心に建設し確かに相手先国の経済発展や社会資本整備に寄与するが、資材も人材も全部本国から持ち込んでしまうため、例えば港を建設した後の中国人達は「中国人ムラ」に引きこもってしまうため現地の人たちと交流もなく、現地では国家には歓迎されても国民にいい印象を与えているとは言えないとしていて、新植民支配モデルだと非難されている面があるとしていた。
これに対して日本政府が行ってきた援助と言うのは、確かにODA企業の暗躍と言う問題はあるものの、金銭的援助に留まらず人的教育や技術供与を行ない、アジアで行ってきた支援同様に相手国に自立を促す形の援助形式をとってきているため、港や工場といったハード量の面での中国からの投資ほどのインパクトはないが、現地に好意的な印象を与えていると分析していた。
もちろん、番組の中の参加者の中にはこの日本の利点に対して異を唱える学者さんもいて、中国の経済援助の方法は間違っておらず現地の政府は中国に作ってもらった港の補修を日本が申し出ても、中国に作ってもらったものだからだと断った例があったとし、中国が行なった援助は日本との競争において優位に働いているという主張を行なっていた。
まあ私から見ればこの学者の主張は、経済的モノサシを最強とする中国的思考法そのものだったが、他の参加者は必ずしもこの種の考え方に同調していたわけではなく、日本の外交手法に優位点があると考える人もおり、中国の経済人も柔軟な考え方が出来る人が増えたのがちょっと驚きだった。
とにもかくにも、今回の横浜でのアフリカ会議は中国人の経済人たちから見ても非常に注目の会議だったことは確かなようであり、日本のアフリカに対する動きを非常に注視していることは間違いない。
そういえば去年から今年にかけて、時をほぼ同じくして政権の座に就いた日中の2人のトップも、ここのところやたら国外に出て色んな国を訪問している姿が目に着く。
それぞれ別の目的や目的地に訪問してはいるのものの、どうもお互いの動向を意識して対抗意識を持って外交訪問を行なっているのではないかという気がしてしまう。
日中両国間には尖閣問題と言うのどに刺さった小骨のような問題が横たわっているが、どちらの国にしても正面突破による解決は難しい問題であるが故に、外交面でアドバンテージをまず取りたいという対抗意識が両国のトップにあるような気がしてならないのである。
←クリック
←クリック