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上海ワルツNEW


2009年12月31日 あけましておめでとうございます。
年末が嵐のように過ぎ去り、気がつけばしばらくブログを書いていませんでした。
中国にいると1時間ずれてしまうんだけど、まあこちらは日本時間ということで。

今年はもう少し小まめに書いて、いい報告ができるように頑張りたいと思います。
どうぞよろしく。

                                 上海ワルツ


2009年12月21日 薬局は24時間営業?
上海の街のにはいたるところに薬局があるが、看板をよく見ると24時間服務と書いてある店がある。それも数店ではなくかなりの割合で24時間を掲げている。
コンビニじゃあるまいし、薬局が24時間営業なのか?とちょっと不思議に思った。
日本のマツモトキヨシでさえ24時間の店はほとんどなく、昔地元にコンビニに薬局を併設した店はあったが、かなりレアな存在であり、滅多に見かけることはなかった。
それが上海ではあちこちにこの24時間服務の看板を見かける。
 しかし、今回撮った写真は22時半頃に撮影したものであるが、薬局の店内の照明は付いているが外側の鉄格子というかシャッターは閉まっている。
 中を覗く薬剤師らしき人がいろいろ店の中を整理していた。
シャッターのすぐ内側には休憩用の椅子が準備してあり、どうやら薬剤師か警備の人が休む場所のようだ。
どうやらこの24時間服務という意味は24時間ずーっと戸口を開けて営業しているという意味ではないらしい。24時間薬を売る体制を整えてはいるが、夜間は緊急時に限っての対応するというようなスタンスのようである。
 もっともそのスタンスはピンきりらしく、本当に24時間営業している店もあれば、今回のお店のように来客に備えてはいるが営業はしないお店、さらには朝晩の営業時間が長いだけで夜中の来客にはほとんど対応する気がないお店もあるようだ。
 まあ夜中にわざわざ薬を買う人も少ないと思うが、病気はいつ突然襲ってくるかわからないのでとりあえずいつでも薬を買えるというのは非常に有りがたい事ではある。



 中国ではまだまだ医師の量が不足しているようで、日本のように街の中に小さな開業医の病院を見つけることはほとんど無く、病院といえば大病院の診療が主である。
故に一般の中国人にとって病院の診療にかかることは費用の面でも機会の面でも決して簡単なことではないようで、薬だけで済まそうとする場合が少なくない。
 こういった人々にとっては薬局が病気治療の一番身近な窓口であることは間違いなく、薬局が24時間服務を行うことはある意味社会の要求による必然の結果とも言える。
 まあ上海の日本人の場合、多くの人が保険に加入しているので、夜中の病気でもたいていの場合は大きな緊急病院に行くことになり、これらの薬局に夜中に行くことは滅多にないと思うが、まあ覚えておいて損はないような気がする。
 


2009年12月18日 ビンゴゲームを知らない中国人たち
ここのところ忘年会続きで、体重キープもやや難しくなりつつあるが、最近一つの発見した。

 それはある県人会の忘年会出来事である。

 年末の忘年会ということで、プレゼント交換会なる催しがどの会でも行われるのだが、そのプレゼントの渡し方の代表格といえばゲームで順位を決めて上位の人から選ばせるというやり方であり、さらにそのゲームの代表格といえば今も昔もビンゴゲームである。
 この忘年会でも、例に違わずビンゴゲームで賞品の配布を決めることになっていてビンゴカードが全員に配られた。

 ところが、そのとき隣に座っていた中国人は配られたビンゴカードを見て

「これはなんですか?」(もちろん中国語で!)

と質問してきた。私は驚いて

「ええ、あなたこれ知らないんですか?ゲームで使うんですよ」(もちろん中国語で)

と答えた。すると彼は

「ゲーム?どうやって使うんだ?」(もちろん中国語で)
とさらに質問してきたので、

「それはね、、、、」と中国語で答えようとしたが、流石にちょっと複雑なのでギブアップ(情けない)
そばにいたゲームを理解している中国人に説明のヘルプを頼んだ。


 なんだ、ビンゴゲームをしらない人もいるんだなぁと、彼特有の事情とそのときは思ったが、見渡してみると彼以外の中国人もそのほとんどが、何のカードか分からずビンゴカードを眺めていた。

「ええ?!中国人はビンゴを知らないのかぁ???」

驚いて聞いてみるとみんなやったことがないという。ちょっと驚きである。どうやら中国人の社会の中にビンゴゲームはあまり知れ渡ってないらしい。

さぁ、そんな初ビンゴの中国人たちと一緒にやるビンゴゲームはしっちゃかめっちゃかである。穴のあけ方も知らなければ、当然上がり方もわからないし、リーチも分からない。いちいち傍の日本人がヘルプしてあげて何とかビンゴにこぎ付ける。

私の隣の彼も、上がっていたのに気付かず申請がワンタイミング遅れて順位が下がってしまった。まあそれでも彼は上機嫌だったが、、、、

 私は面白がってそのときのビンゴカードを持ち帰って会社の中国人の同僚にも見せてみた。やっぱり、何に使うのか全く分からないようだった。

 うーん、普段同じような常識の中で働いているように見える中国人達が、日本人の大人ならかなりの割合で知っていると思われるビンゴゲームを全く知らないというのは生きてきた文化が違うとはいえ、やはりちょっと驚きである。
 まあこれだから外国で暮らすというのは楽しいのだが。

 今後、中国人社会の中に日本人の影響でビンゴゲームが浸透していくのかどうかちょっと見モノではある。






2009年12月16日 パンドラの箱を開けた民主党
まもなく政権交代から100日目を迎える民主党政権だが、どうも想像以上にばたばたしている。
確かに自民党時代に遺された負の遺産やブラックボックスは多いのだが、そんなにいっぺんに開封しなくてもいいじゃないかなと思うくらいパンドラの箱を次々に開けている。
八場ダムから始まって、JAL問題、関空問題、普天間基地問題、国債問題など、箱を開けたはいいが、どうにも収集がつかなくどっちらけになっている。
挙句の果てに、今度は天皇陛下の問題にまで手をつけてしまっていよいよ収集がつかなくなってきた。
天皇制の問題は、日本の政治の中でも伝統的に一番デリケートな問題であり、迂闊に手を触れるとどんな風に日本が転がるか誰も分からないので、いろんな議論はあれど戦後そのままの形態がずっと続いてきた。
 もちろん今後の時代の流れによってはいずれ議論を必要とするときが来るかもしれないが、今こんな時期に議論の火をつける必要も無いお蔵入りさせておくべき最も恐ろしいパンドラの箱であったはずである。それを意図的ではないにしろ、今回蓋を開ける形になってしまったかもしれないのである。

 さあ与野党内外からいろんな意見が紛糾し始めた。

ここまでくると私もこの政権がこの先どう動くか全く見えなくなった。普天間問題くらいまでなら、民主党の政権がそう簡単に揺らぐとも思えなかったが、天皇陛下の扱いまで手を触れてしまったとなるとこの国の歴史上の経験から言えば、何が起きてもおかしくない状況であり、民主党政権が果たしてこのまま普通に存続できるのか、それをはっきり言える自信がなくなった。
 今の民主党政権が開けるにはあのパンドラの箱は大きすぎる気がする。


2009年12月15日 日本とデンマーク
 先日のサッカーのワールドカップの組み合わせ抽選会で、日本はカメルーン、オランダ、デンマークと同組になった。
まあ単なるサッカーの試合の組み合わせであるが、対戦を引き当ててみると実は何かと因縁がある。
 特にデンマークは今までほとんど大きな接点が無いように思えたが、日本という国家にとって実は今後を左右するもっとも旬な因縁の国であることに気がついた。
それは今二酸化炭素排出削減に関する国際会議「COP15」が行われているコペンハーゲンはデンマークの首都であるということである。
ご存知の通り、9月の国連会議の中で日本の鳩山総理は排出量25%削減を掲げたが、現在行われているCOP15の議論の行方次第によっては日本が窮地に追い込まれる可能性があるといわれている。
鳩山総理の掲げた25%という数字は当然、中国やアメリカなど大排出国の参加があって初めて意味を成すものであるが、この両国からそれなりの削減目標は出てきてはいるが、効果を期待するには程遠い数字のものばかりと言われている。
 この2大国が本腰を入れなければ、日本だけ25%の足かせをはめてしまうと産業競争力の面で圧倒的に不利であるのは明らかで、一斉に実施するから日本が25%を掲げる意味があるのである。


 まあ、この2大国や他の発展途上国が努力をしなければ、日本も努力をしなければ良いのではないかと思う気もするが、実はそうも行かない流れになるかもしれないとの報道が伝わってきている。
 実は発展途上国は削減目標をほとんどチェックされないのに日本や欧米諸国は目標を達成できなければペナルティを課されてしまうという圧倒的な不利な条約の発行の可能性があるという。
 しかも京都会議の流れもあってこの段階での迂闊な離脱もほぼ不可能に近い。そんな足かせをはめられてしまえば国際産業競争の中で日本はますます不利になり没落してしまう。会議の合意文章は来年前半にまで持ち越されると言われているが、状況はかなり険しいとも言われており、日本の未来と合わせて先行き不透明である。
 そんな重要な日本の未来を決める会議が行われている国と、ワールドカップサッカーでの対戦が会議と同じ月に決まったのは偶然にしてはちょっと気持ち悪い。
サッカーの予選突破もデンマークに勝てなければほぼ難しいといわれ、キーポイントの対戦であることには間違いない。
 そんなデンマークとの因縁を抱えつつ、日本は2010年を間もなく迎える。
 


2009年12月10日 万博レストランは会期末までもたない?
知り合いから伝え聞いた話によると、万博に出展するレストランは、検査の手間を省くために開幕前の食材の一括納入を求められているそうだ。全て指定の冷凍庫への保管をしなければならない。途中納入は原則として認められないとのことだ。

 ご存知の通り万博の会期は5月1日に開幕し6ヶ月間の会期となっている。その期間中の食材全部と言うことは、たとえ小さな店舗であったとしてもかなり莫大な量となることであろう。
その分を一括納入とは非常に驚きである。
 
 

何故、こんなことになるのか?

まず一つ考えられるのは、売り上げ不振により途中撤退をさせないためだと考えられる。万博が始まってはみたものの、売り上げ不振で店を閉めようと考えるレストランも必ず出てくるものと考えられる。
特に上海の業者は判断が早いので、開店して一ヶ月で売り上げが悪いと判断すれば業種替えや撤退をする可能性はある。
 そうはさせないように、予め食材を納入(購入)させ、先行投資として食材を担保として預かってしまい、どんな状況になろうとも入場者のためにレストランの運営を継続させるような状況を作る。
 非常に強引なやり方だが、万博のように長期間のイベントを上海で継続させるには必要不可欠なやり方かもしれない。

 さらに、うがった推量をすれば、冷凍倉庫の業者と事務局が結託して、高い管理料を吹っ掛けて稼ごうとしているんじゃないかとか、横流しを計画しているとか、今までの中国では有り得そうな話も想像に浮かんでくる。
 いずれにしても、これらのことから言えることは、万博期間中に会場内で提供される食材は全て開幕前に納入されたものであり、冷凍技術を信じたとしても新鮮な食材は含まれないことになる。
そういったものが本当に体に良いものなのか、また美味しいものなのか非常に疑問が涌き、疑心暗鬼になってくる。特に会期末に近づくにつれ、保存状態の悪いものや賞味期限の近いもの、或いは切れたものが店で出される可能性は否定できず、会場内の食事に関してあまり信用できない状況が発生するものと考えられる。


 また量の上でも、予め会期中の消費量を推測した上で納入されている分から増やせないので、想定以上に売れ行きがよければ、場合によっては会期末に食材が足りなくなって、食材不足でレストランを閉店なんてことは十分考えられる。
 例え閉店までしなくても人気メニューの食材は底を尽き、あまり人気のないメニューだけしか注文できないなどということは十分ありえる。
 こうやって考えていくと、開幕当初のレストランはともかく、会期末の頃のレストランは惨憺たる状況になっていることも予想でき、実際会期末まではもたないような気がする。
果たして、このあたりのハンドリングをどうするのか?事務局の腕並み拝見と言ったところである。


2009年12月10日 気軽にメリークリスマスと言うなかれ
新聞の広告
最近上海でも当たり前のように、12月になるとクリスマス商戦が始まり、デパートの看板や新聞の広告にMerry Christmasの文字が躍る。
まあ日本でもごくごく当たり前の光景ではあるのだが、よくよく考えるとこの「メリークリスマス」と言う言葉はキリストの誕生を祝う言葉であり、キリスト教信者の言葉である。
 それを我々日本人は宗教観に無頓着のため、単なる年末商戦のネタとして利用しているが、敬虔なクリスチャンを除いて本当の意味でのキリスト教の宗教観をもって「メリークリスマス」という言葉を遣う人はかなり少ないと思われる。
 そのくらい日本人は宗教に無頓着である。
 上海でもこの状況は同様で、敬虔なクリスチャンが街全体にいるとも思えず、かなり多くの人間が便乗してクリスマス商戦を騒いでいるに違いない。
まあ、このようにいまや元のキリスト教を離れて一般人の共有語のようになってしまっているような「メリークリスマス」なので、信者でなくてもいつでも誰でも普通に使って良いような気もするが、実はキリスト教以外の宗教の信者からすると、この話は簡単ではないらしい。
 例えば、日本のように政教分離が原則の国の政治家が「メリークリスマス」といえば、他の宗教からすれば宗教的メッセージとして受け止められ、逆に政治問題化してしまう可能性があると言う。
 アメリカなどはもっと深刻で、キリスト教信者は確かに多いが、ユダヤ教信者なども無視できないほどの勢力で存在し、さらに対中東的な立場から言えば、中東和平へのアプローチが、イスラムの世界に対する宗教的侵略であるとの印象を避けるために、大統領などは極力宗教色を排除する配慮が必要らしい。ただ、あまりそこへ気を使いすぎると今度は共和党の大統領はプロテスタントの支持基盤が大きいので国内的に支持されなくなってしまう。故にそのバランスというかさじ加減が非常に難しいらしい
 元々中東紛争そのものが宗教的対立を背景にした紛争であり、宗教的な対立は戦争にまで発展する良い例であり、我々が普通に使っている「メリークリスマス」と言う言葉もキリスト教そのものを表す言葉であることを忘れてしまうといらぬ対立を招いてしまうことになりかねない。
 あまり気軽にメリークリスマスというなかれである。


2009年12月09日 日中での未開通区間表示の違い
一昨日に地下鉄に乗ったとき、ちょっと気付いたことがある。
それは電車路線図における未開通区間の表現方法の違いである。
地下鉄2号線の案内表示には、気が早くも来年開通予定の浦東と虹橋の両空港までの延長区間が掲載されていただが、ちょっと違和感を覚えた。
 写真を見てもらうと「徐涇東駅から虹橋2号ターミナル駅は未開通」と書いてある。
日本式に理解すると淞虹路方面から来た場合、「ああ虹橋2号ターミナルまでは開通しているのだな」と理解する。

しかし!

実際には2号線にのって行くと淞虹路までしか開通しておらず、虹橋2号ターミナルまではまだたどり着くことが出来ない。
「ええっ??」と、この表示をみてやってきた人は首をかしげたくなってしまう。
つまり日本式に説明すると「徐涇東駅から淞虹路駅は未開通」の状態なのである。
掲示の表示が間違っているのであろうか?

よく見ると浦東空港側も、同様に「張江高科駅」までしか開通していないのに「金科路から浦東国際空港は未開通」という表示になっている。当然「金科路」駅までは辿りつけない。
 どうやら、標記ミスではなく、こういう表現をすることが文化のようなのだ。

つまり中国では未開通区間は、区間ではなく開業していない駅を表示する。
 いくら外国とは言え日本と中国でこんなところで表現方法が違うということにびっくりしてしまう。

 何故こんなことが起きるのだろう?

 状況を整理すると、中国では「区間」が開通することが大事ではなく「駅」が開業するかどうかが大事なのだと理解できる。
線より点で物事を理解しているのではないかと。。
 途中がどういう線を描いたかは関係なく、ポイントトゥポイントの発想である。

そういえば中国の交通体系は常にポイントトゥポイントで、公共バスといい、都市間の鉄道といい「線」と「線」を繋いで目的地に辿り着かせるような交通体系ではなく、出発地から目的地までダイレクトに向かう交通体系が張り巡らされている。
 例えば上海からハルビンや長春、瀋陽など東北地方のかなり色んなところまで直行列車が走っている。日本だと乗り継いで向かうような距離にも関らずである。
 そもそも乗り継いで旅をするという発想がないのが中国である。
 こうやって考えると、地下鉄の路線表示が「区間が未開通」なのではなく「駅が未開業」だと表現する文化も理解できなくはない。

とはいえ、我々日本人から見るとこの表示は分かりにくく、今回たまたま知っている路線の話だったのですぐ気がついたが、知らない路線だとやはり誤解してしまって失敗しそうな気がする。
 こればっかりは文化の違いなので気をつけるしかなさそうだ。

それにしても意外なところに文化の違いの落とし穴があるものである。





2009年12月08日 長嶋茂雄氏が感銘した言葉
現ヤンキースの松井秀喜氏に関するコラムの中で、かの長嶋茂雄氏が感銘し松井秀喜氏の巨人軍入団時に送った言葉と言うものが掲載されていた。

それはやはり元ヤンキースのジョー・ディマジオ氏の言葉で

「ディマジオを見るのが最初で最後の人が必ずいる。その人のためにプレーしているんだ」

と言う言葉である。

つまりその一瞬しか会わない人が必ずいるから、どんなときでもプレーは手を抜かないという一期一会の精神でプレーすることを意味する。プロとしてそのくらいお客さんを大事にせよという意味である。

 この言葉を聴いて私も感銘を受けた 。

 日々同じ仕事をしていると、時々気が緩み、適当にやり過ごしたくなる時もがある。しかし相手から見れば私の仕事を初めてみる人も必ずいる。いつもは頑張っている姿を見てくれている人なら時々の甘えくらいは許されるかもしれないが、その一瞬だけしか見ない人が必ずいるし、それがお客さん商売の相手だったら尚更手を抜いたところを見られてしまうのは尚更格好悪い。
 毎日の仕事で緊張感を持続し続けるのはとても疲れるかも知れないが、やはり気を抜いたところを見られてしまうのは申し訳ない。

 まあ、中国の場合は一期一会だから人を騙すとか全く逆の風潮のような気もするが、少なくともこちら側からの接し方としては、一瞬一瞬に手を抜かず仕事や出会いと言うものを大事にしたいなと感じさせてくれるかのディマジオの言葉である。



2009年12月08日 地下鉄7号線に乗ってきた!が、試営業?
先週末から試営業をはじめたと言う地下鉄7号線に乗ってきた。
わざわざ乗りに行ったわけではないが、客先へ行く路上で使うと便利だと思い早速利用してみた。

今回、7号線は上海大学と花木路までの間をちょうど「J」の字を浦消した傘の絵のように描く非常に長い距離を一気に開通させたのだが、今回乗ったのは静安寺から東安路という上海を南北に横断する非常に短い区間である。
 今まで南北に結ぶ路線が少なく、バスやタクシーで行っても道路が混みがちなので予想外に時間のかかっていた区間である。ここが開通していただいたおかげで少なくとも4号線の内側の範囲の移動は凄く楽になるし。静安寺からリニアのある龍陽路までの新しいラインが出来たことになる。もちろんリニアに繋げたと言うことは万博への足として期待して開通したと言うことはいうまでもない。






 ところがである。

なぜか今回9時から16時過ぎまでという中途半端な形の試営業である。通勤時間帯を避けて日中時間帯のみ運行されると言う。
実は今回その理由に興味があって利用してみた。単なる新線開通であれば、地下鉄の場合は景色が楽しめるわけではないので、新しい駅が綺麗だなと感じるだけでわざわざ乗りに行ってもそんなに楽しいものではない。
 しかし今回の試営業という形に非常に興味が引かれた。何故試営業なのかである。
まず静安寺で2号線の乗り換え通路を歩いてみたが、多少距離は長いものの基本的には完成しており、中途半端な状態は見当たらない。更にホームに下りてみたがやはり普通に完成しているようだ。
 転落防止の柵もあり、最近できた他の新しい駅と同様に全てが完成している状態だ。
列車が来て乗り込んでみたが、非常に新しい雰囲気で気持ちよいが、特に試営業を示すようなものは何もない。
 で、あっという間に東安路についた。 4号線との乗換については乗り換え通路が若干細過ぎるなという感は否めなかったが、設計の問題があるとはいえ工事的には完成しており、試営業という形をとる必然性は見当たらなかった。

こうやって考えると全線乗ったわけではないが、7号線はハード的にはほぼ完成しているようで、試営業であっても営業しているからには普通に利用できるようになっていると考えるのが良さそうである。
 

 では何故試営業か?
ハードが完成しているのならソフトの面を疑ってみる。
 まず疑わしいのは車両である。生産が追いついておらず車両が足りないのではないかという疑いである。確か8号線あたりは開通後、車両がなかなか増えず運転本数が増えなかったというニュースがあった。日中の試営業程度なら捌けるがラッシュ時には及ばない状態の車両数しか間に合わなかったのではないかという推量が成り立つ。ならば車両が揃ってから開通させれば良いだろうと思うが、11月末までに開通させるとアドバルーンを掲げてきた上海市政府にとって、ここで大きく開業を遅らすことは万博を控えた状況の中、対外的に万博準備に不安を与える大きなイメージダウンに繋がってしまうので、面子の上でも遅れることは出来ず、是が非でも開通させたという既成事実を作りたかったのだろうというように思う。
また、その足りない何か以外はこの時期に照準を合わせてハード等も整備してきて、サービス面での業者などとの契約もあるであろうから、遅らせるようわけにはいかなかったということも考えられる。



で、車両の次に疑うのが人の不足である。人つまり運転士の不足の問題である。実はこちらのほうが主要因として疑わしく、しかも事実とすれば非常に深刻である。
上海市は、ここ数年一気に地下鉄を開通させ、一気に営業キロを伸ばしてきた。営業キロが伸びると言うことは総列車本数がそれだけ増えると言うことであり、増えた分だけ新しい運転士が必要になる。当たり前の話であるが、運転士などという職業は雇ってすぐ使い物になるわではなく、しかも在野にそんなに人材が転がっているわけではない特殊な職業である。つまり運転士は訓練して育てなければならない。しかも時間がかかる。日本の場合はデビューするまで最低9ヶ月くらい要すると言われる。
 中国の運転士にどのくらいの養成期間を要するか分からないがやはり半年くらいは必要であろう。よってこれだけ一気に伸びた路線の分だけ運転士を養成するのは容易なことではない。
 しかも日本などは、既存の路線や車両が沢山あるので新線が開通する前からも予めそこで実地訓練することが出来ると思うが、急激に路線が増えた上海ではそういった実地訓練をすることは車両数の面からも容易ではないように思われる。ゆえに今回運転士の養成が間に合わず、デビューさせられる頭数が足りず運転本数を減らした試営業となったのではないか?そういった推測ができる。
ひょっとすると試営業中は営業時間が終わった朝晩に地下でこっそり運転訓練をしているのではないかと勘繰ってしまう。
 
この年末以降、来年の万博開幕時までに更に多くの地下鉄路線が開通すると言われているが、果たしてハードが間に合ったとしても車両と人が間に合っているのか?
上海市政府の面子のかかるあと半年である。





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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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