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2013年01月30日 ビルマの竪琴1956年版
 ビルマの竪琴の映画を見た。

 今回見たのは中井貴一さん主演の1985年版ではなく、安井昌二さん主演の1656年版である。

 同じ市川崑監督の作品であるが、若干ストーリーが違うしこちらは時代的に当然モノクロ版となっている。

 実は1985年版を見ていないので比較は出来ないのだが、1956年版は凄く秀逸な作品のように感じ、モノクロ版であるが故に迫力も重みもあり当時の海外で評価されたことも納得する作品となっている。

 先日の戦場のメリークリスマスに引き続いてこの映画も戦争末期ものだが、これらの映画を通して日本の戦線は対米の太平洋戦線のみならずアジア全体に広く侵攻していたことを改めて知る機会となった。

 日本国内での生活の情報の中では、かつての戦争の話題と言えばどうしても東京大空襲や原爆など本土が直接攻められたことの記録が多くその印象も大きくなっている。

 しかしそうなる前の戦争の前段では、日本は中国や東南アジア全体にかなり手広く侵攻しており驚くほど遠くまで出兵しているのである。

 そして彼らの多くは自業自得とはいえ結局敗退し悲惨な末路を辿っている。

 本来「日本の戦争の歴史」ということで言えば、これらの南方戦線の状況は太平洋戦線や中国戦線同様に取り扱われてもしかるべきだが、やはりどちらかというと話題としては小さいような気がする。

 恐らくこの2つの作品の両監督もそういった情報が抜け落ちがちな点に対するもどかしさもあってこの作品を撮ったのではないかという気がする。


 さて「ビルマの竪琴」は東大の教授だった竹山道雄氏が児童文学として書いた話とのことだが、戦時中の話というだけに子供向け作品とは思えない程に内容は非常に重い。

 ただこの重い内容にもかかわらず、映画では主人公の水島上等兵の奏でる竪琴が非常に美しく響き、この作品に希望の光を与えてくれている。

 また「埴生の宿」(英国側では「Home! Sweet Home!」)を敵国である英国兵と日本兵が合唱するシーンもあり、戦争中を描く映画でありながら音楽によって人間性を失ってない兵士たちの姿が非常に印象的だった。

 そしてラストシーン近くで奏でられる「仰げば尊し」はこの曲の持つ音楽的メッセージが十二分に伝わるシーンとなっており、音楽が単なるサウンドトラックではない意味のある使われかたをされている。

 まさに映画っぽい映画というか、今更ながらこの作品の総合的な凄さに感服した。 
 そして今や釣りバカの社長のスーさん役が定着してしまった感のある三国連太郎の、若かりし頃の存在感のある姿もこの作品を高めていいるであろうことを付け加えておきたい。

 見てない方がいたら是非一度は見ておくべき作品だと思っている。


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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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