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上海ワルツNEW


2012年08月05日 上海は東京の2.7倍も危険か?
 先日、上海で日本人女性が殺されるという事件が起きた。

 実はかの殺されたMさんは私も何回かお会いしたことがある人で顔に見覚えがあり、ニュースによれば私と同じ年に上海に渡ってきた方だったので、この事件にそれなりに衝撃を受けている。

 人生生きているとこういうことも社会にはあるなと自分に言いきかせながらも、同じ上海に暮らしていた者として、やはり悲しく、ぜひご冥福をお祈りしたい。

 ただ、今回この事件を取り上げた日本の報道を見て私はかなり違和感を持った。
 実はFテレビ系のニュースの映像で、同社の記者が某上海のセキュリティ会社の方(実は彼も知り合いだが)へのインタビューを取り上げていたのだが、その中で彼が話していた「建物侵入件数は東京の2.7倍」という言葉を切り出して、さも上海は危険な街だという演出をしていたことだ。

 「2.7倍」

 実はこの数字が示すほど上海の街に暮らす者として危険は感じないのである。

 寧ろ、エスカレーターでちょっとぶつかっただけでナイフを取り出す若者のいる日本の方がよほど物騒であり、トータルとしてそこまでの差を感じないのである。

 ではこの「2.7倍」という数字は何か?

 実はこれは数字のレトリックに他ならないのである。

 データというのはまずその調査母数がどこにあるかが非常に問題になってくる。

 故にまず

①この今回の東京と上海の調査母数が同等なのか 
 という問題が一つある。

 つまり母数が10倍あれば、侵入件数自体が2.7倍になることは容易なので、単純に比較はできないことになる。
 ただこの点については、情報元が日系の調査会社なで、そこまでインチキはないとは思う。

では
②条件をひっくり返した数字はどうなのか?

 やはり母数の問題に関わってくるが、例えば東京の建物侵入件数がもし100軒に1軒の割合で起きているとすると、上海が2.7倍なら100軒に2.7軒の割合で起きていると言える。
 しかし、逆に侵入されていない件数を考えると、東京は100軒中99軒が進入されていないのであれば上海は100軒中97.3軒が進入されていないことになる。

 つまりその差は2%に過ぎず、東京より上海が2.7倍の危険度の評価は実は過剰だということになる。

 これは母数が100軒だった場合だが、母数10軒で考えると東京の安全度90%に対して上海73%となり、その差は20%程度となる。


 つまり東京より上海は20%程度危険という数字になり、まあこちらに暮らす者として、この程度の言い方ならそれほど違和感なく受け入れられる数字である。

 故に母数や数字を正確に把握しないと数字の読み方を見誤ることになる。

 どうもFテレビの報道には日常から過剰演出が多い気がするし、今回殺害されてしまった人が出てしまったとはいえ、東京より遥かな危険な街だという印象を与える演出報道は間違っている気がする。

 こういった社会の過剰演出・一面的報道によって、社会の見方を見誤る人が増えているのは困った傾向に思う。

 もちろんその差がどうであれ、一定数の危険が存在するのはどこの社会も同じで、東京とかわらないと安心しきるとやはりケガをするのが社会であり、是非気をつけたい。




2012年08月02日 人形浄瑠璃の魅力
 私はかつてほんのちょっとしか人形浄瑠璃を見たことがないが、その人形とは思えない動きと表情に鳥肌が立ったことがある。

 人形に表情?などと疑問に思う人もいるかもしれないが、人形浄瑠璃が表現する人の表情や感情の機微は実に奥深く、下手をすると人のそれを上回る可能性だってあるのではないかと思うこともあるくらい絶妙なのである。

 手の動きや顔の上げ下げなど、人形であるがゆえにその動きの幅には限りがあるはずなのだが、それを感じさせない奥深い感情表現がそこにある。

 恐らく人の舞台が同じ役でも役者によって味わいが違うように、人形師によってもその表現の個性が違い、それがそのまま表現される役どころの内面表現の違いとなって現れ、その違いを楽しむのが浄瑠璃のツウな楽しみ方であると思われる。

 故に浄瑠璃においてストーリーというは、実はその楽しみ方に於いて第一義的に重要なものではなく、あの噺家だから寄席に行く、あるいはあの歌手が歌うからこのオペラを聴くといった、出し物にこだわるわけではないように、ストーリーは単に名人芸の魅力を引き出すためのツールでしかなく、ストーリーに囚われて浄瑠璃を見るのは実は何も浄瑠璃の魅力に気づいていないということになる。

 先日某市長から浄瑠璃のストーリーがああだこうだというコメントがあったが、あの発言は結局ストーリーにこだわり過ぎて、人形の表現する人の心の機微を感じられなかったのかなと思うと非常に残念な発言である。

 まあ本当かどうか知らないが、彼は先日の週刊誌の記事では昔不倫相手とコスプレを楽しんでいたという嗜好が描かれており、あれが本当だとすれば相手の女性の内面的な心と向き合うのはなく、単なる外観的なイメージで人と付き合っていたのかと思わせられ、そういう外面でしか人を捉えられないというのではないかという人の本質が見える。


 つまり、そういった彼のものの捉え方の本質が今回浄瑠璃への感想にも表れたということになる。
 そういえば、入れ墨だのタバコだの外面的な規制には厳しいが、人を人として捉える話はこの人からあまり聞いたことがない気がする。

 さて、当の地元で浄瑠璃について補助金の問題が取り上げられているが、まあ支える意思がないところに無理強いするのも馬鹿馬鹿しいので、例えばJALなど去年大きな利益を上げた企業にスポンサーになってもらい、日本の文化の国際PRのシンボルとして担ぎあげてもらうなどの別の生き残り策をさぐるのはどうだろうかと思う。

 目先のほんのちょっとのお金の問題であの浄瑠璃の名人芸が衰退してしまうのは実に惜しい話だと思う。



プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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