TOP > BLOG > 上海ワルツNEW

上海ワルツNEW


2010年01月20日 日本食品メーカーの中国進出の壁
最近、日本の色んな産業分野の会社が、市場の縮む日本への希望を捨て、中国市場進出に躍起になりはじめている。
特に食品関係メーカーの中国市場開拓は急務のようで毎月のように日本からメーカー担当者が上海へ商談会にやってくるようになった。
私も、時々そういうところへ行ってお話を伺ってくるのだが、各企業のPRを聞いているうちに日本の食品メーカーにとって壁になるであろう日中の食事情の違いに気がついた。

 それはご飯、つまり白飯の問題である。

 日本の食品は、総じてご飯をどう美味しく食べるかという観点に基づいて商品開発が行われている。つまりおいしいご飯があって、それに付随する食材としての商品がかなりの割合を占めている。
 ふりかけ、漬物、お惣菜、全てが「美味しくご飯が食べられますよ」とのPRで食品が作られている。
つまり全て美味しいご飯がなければ成り立たない食品ばかりなのだ。

 しかし、それでは日本メーカーの食品は中国の食生活に入っていくことが出来ない。

何故ならば、実は中国の食生活においては白米のご飯への依存度が日本ほど高くない。もちろん中国人も白米のご飯は主食として食べているが食事の中心はどちらかというとおかず(菜)のほうであって、ご飯はその「おかず受け」の役割しか持たされていないというのが中国の食事の基本スタイルである。
ここが同じように見える日本と中国の食生活スタイルにおける最大の違いと思われる。


 その理由として中国はご飯そのものがあまりおいしくないという事情がある。
品種や米の生産管理手法から来る品質の問題もそれなりにあるが、それよりも原因として大きいのは炊き方の問題のような気がする。
実は中国は日本に比べて米の炊き方が非常に粗雑である。

本来は白米のご飯は、お米を「研ぎ」「水を切り」「吸水させる」という手間をかければ少々安いお米でも、それなりにおいしいご飯に炊き上げることができる。
しかしながら面倒くさがりというか、気の短い中国人はその手間をまずかけない。
米を「洗った」あと、すぐに水を足してご飯を炊き始めてしまう。これでは白米に美味しいご飯に炊き上げることは到底無理である。
 それが証拠に中国人はご飯の良し悪しを米の銘柄だけで決めている節があり、ブランド品を非常にありがたがる傾向にある。
 
 また上海などにおいては水の問題も大きい。米の炊飯に向いているのはカルシウムの少ない軟水なのだが、中国の水はほとんどが硬水である。
 硬水でご飯を炊くと米にカルシウムがたんぱく質と結合してごはんがぱさぱさになる。実際ローカルの食堂で出てくるご飯はかなりぱさぱさしている。

さらに炊飯器の質もよくない。中国から来た旅行者が秋葉原で買い求める商品の第一位が炊飯器であることから、いかに中国製の炊飯器が貧弱であるかわかるであろう。

 故に中国のこんな環境ややり方で炊かれたご飯がそれほどおいしくなるわけがないのは自明の理である。そして、そんなおいしくないごはんとの組み合わせにターゲットを置いた日本の食品メーカーの目論見はやはりうまくいかないと思われる。


中国人に日本の食品を買ってもらうには、まずご飯をおいしく炊いてもらって食の中心としてもらえるよう啓蒙をするか、あるいはご飯以外の中国の食材と組み合わせて食べてもらえるような「現地化」した商品開発の工夫が必要になる。

一品一品の商品は非常に美味しい日本の食品だが、もの珍しい食品としてではなく日常の食生活の中で利用してもらえるようになるには、現地の食事情や食習慣を深く知ることが必要であろう。
そこに気がつけなければ中国の13億人市場など、揚子江の霧の向こうに遠く霞んでしまう。
 日本のメーカーにはぜひ頑張っていただきたいなと思う今日この頃である。








上海すいすいビザ代行

☆ジャンル別リスト
音楽言葉映画ビジネス政治経済国際社会地下鉄航空・空港茨城空港高速鉄道(新幹線)列車バス旅行上海生活買い物レストラン中国ウォッチスポーツ観戦東京オリンピック中国ビザ・居留滞在手続きインターネット・PC・スマホ健康中国の医療不安

◎その他の全リスト その01-その02-その03-その04-その05-その06-その07-その08-その09-その10-その11-その12-その13






プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

音響さんのこだわり復刻版
上海ワルツ記事目次
エクスプロアブログ同窓会


GOOGLEでブログ内検索

ブログランキング・にほんブログ村へ



空港ドットインフォブログ浦東空港虹橋空港北京空港広州空港香港空港天津空港青島空港ハルビン空港すいすいビザ

カテゴリ一覧


RSS 1.0My Yahoo!に追加




上海すいすいビザ代行][空港ドットインフォ][上海の天気][音響さんのこだわり][上海ガイドブック手帳][日中地域交流会
[上海浦東国際空港][北京首都国際空港][天津濱海国際空港][広州白雲国際空港][上海虹橋国際空港][青島流亭国際空港]
Copyright(C) since 2007 カランドリエドゥモンド
h_12