昨日、件のクラシックFMを聞いているときに不意に耳に飛び込んで、急に心を躍らされたのがこのハイドン作曲のトランペット協奏曲の第3楽章である。
ラジオの中ではよく流れているので、決してこのとき初めて聴いた曲ではないのだが、昨日の夜は心に不意打ちを食らってしまった。
改めて聞いてみてこんなにネアカでワクワクする曲は他にないように思う。特に弾むようなリズムがとても気持ちいい。
そもそもトランペットというのは、どんな大きなオーケストラの中あっても音が沈まないので、独奏楽器としての適正としては最たるものであり、協奏曲に向いていそうなものだが、実はこのハイドンのものとフンメルという作曲家以外のものは有名なものは少ない。
何故か理由を考えてみたところ、この曲が作曲されたときのトランペットは今のものより構造が単純で、その分音が柔らかくオーケーストラに相対しても音が馴染みやすいのである。
それに対してバルブを追加して改良された現代のトランペットは、出せる音域が広がりそれ故に表現の幅が広がったのはいいが、音質が若干硬質となり、オーケストラの音の厚みの中に馴染みにくくなった。それ故、独奏楽器としては理想的になったが、その反面「協奏」を求められる協奏曲の独奏楽器としては扱いにくくなってしまったということであろうに思う。
そういった意味で、ナチュラルな音が自然に鳴るハイドンの時代のトランペット協奏曲は人の心に自然に響くように感じるのだ。
まあこういった理屈はともかくとして、この曲は本当に気持ちがよく幸せになれる気がする。いや正確に言うと、幸せを感じていた時期の心の状態を呼び起こしてくれ心の中にその時期の感情を再現してくれたのである。ああ、こんな幸せを感じていた時代もあったのだと自分の心に驚かされる。
過去形として思い出してしまうこと自体いかにも残念だが、未来に対しても自信を与えてもらい勇気がもてたような気がする。
明日からの通勤もスキップしたいような気分かもしれない。また幸せな時間がやってくる予感がする、そんな曲である。
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