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2011年09月18日 中国人の日本行きビザ申請の現場
先日、更新されたパスポートを受け取りに領事館に行ったときの事である。
領事館に行ったことのある人ならご存知かと思うが、日本人用のパスポート関連の窓口と中国人が日本へ行くためのビザ申請窓口は並ぶように配置されている。

私は自分のパスポート受け取りの順番を番号札を見ながら、ここの中国人用窓口の様子をボーっと眺めていた。
 日本人用窓口には10人ほど順番待ちがあったが、こちらの窓口に並ぶ人などほとんど無く、待っているも疎らで閑散としている様子であった。

 先日、年間の日本行きビザ発行件数が何十万件という話を耳にしていた私は、何だこんな様子でも何十万件という件数になるのだろうか?と不思議な印象を抱いていた。

 ところがである。

突然大型のスーツケースを持った男性が館内に乗り込んできてその窓口の前に立った。
日本人から見ればこの場にスーツケースを持って来ること自体がちょっと場違いな行動に映ったのだが入館セキュリテイチェックをパスして入ってきたはずだから少なくとも犯罪者の類ではなさそうだ。
 
「何だ?緊急渡航のためのビザ申請か?」

そして彼はおもむろにスーツケースを開け始めた。
中から彼の衣類などが飛び出して来ることを想像していた私は次の瞬間驚きの光景を目にすることになる。

 実はなんと、彼が持ってきたスーツケースの中には中国人たちのツアー客のものと思われるビザの申請書類の封筒がぎっしりと詰まっていたのである。恐らく一人一件という形で書類を封筒詰めしてあるのであろうが、その数大変な量で2~300件の束があるだろうか?

 郵便局でしか目にしないような封筒の束である。
 恐らく彼は旅行会社のツアー担当者なのであろう。

 そして彼はその書類の束を数十部ずつ鷲づかみにして、ビザの申請窓口に押し込み始めた。

 こちらの申請窓口は、安全上の問題で中国の銀行などでよくあるタイプの申請側と職員側の空間はガラス窓で仕切られいて、書類などはガラスの下をアンダーパスで受け渡す形式の窓口となっている。
 つまりその小さい受け渡し口でしか書類を提出できない。
規則なので仕方ないということなのかも知れないが、この旅行会社と思われる男性は何回にも分けて大量の書類の塊をその小さな窓口に押し込む。
 対応する領事館のスタッフたちも、恐らく今回が初めてではないであろうながらも苦笑いしながらその書類を受け渡し口から取り出し窓口の脇に積み上げる。あっという間にスタッフの脇に書類の山ができる。
 よく見るとその山の奥にはまた別の旅行会社のものと思われる封筒の山が積み上げてあった。
どうやらこのような大量申請をするのはこの男性の旅行会社だけではないようである。
 何十回にもわけて書類を押し込んだ彼はようやくスーツケースの中を空にして、申請処理を終えた。

 ところが彼の仕事はまだここで終わりではなかった。

 この書類申請を終えた後、もう一方の窓口の前に移動して、今度はスーツケースの中から100元札の札束を取り出した。

ん?今度はなんだ?

そう、彼が移動した窓口は書類の受け取り窓口で、以前申請したビザ書類やパスポートを受け取る仕事がまだあったようだ。
 彼が用意していたお金は全員分の申請手数料のようである。

 そのお金を払うと、今度もまたやはりその小さな受け渡し口からビザが貼られたであろうパスポートの束が次々と取り出される。

 我々日本人がパスポートに感じる重みがどこか吹き飛んでしまうかの如くの大量のパスポートの塊とその取り扱いである。

 こうしてこの男性はビザ申請が完了したパスポートの束を持ってきたスーツケースに押し込み持ち帰ることになった。申請書類ほどには嵩は無かったが、それでもスーツケースの半分くらいまで埋まっていた感じである。今回彼が取り扱った件数は申請と受け取り合わせて500件は下らないであろう。

 実は領事館の待合いロビーを見ると、彼のような旅行社の人が何組かいたことに気がつく。各自量の多少はあれど、みなツアー客の大量ビザ申請を行っている旅行会社の人たちのようであった。
 この状況に年間何十万件のビザ申請という統計数字が納得いくものとなり、申請者そのものが少ない理由はここにあった。
どうりで、領事館窓口が空いていたはずである。

 それにしても中国人観光客の誘致ために、これだけ大量のビザを裁く最前線で頑張る領事館の職員たちの日々の苦労も大変なものであろうと思われる。
 戦前にドイツでユダヤ人のためにビザを発給し続けた杉原千畝さんの話を思い起こさせる。
 日本人としてご苦労様といいたいこの光景であった。







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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で日々悪戦苦闘中。

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