デザイン決定直後から非難されてきた新国立競技場の建設問題が、ここへ来てさらにもめている。
私も数年前から「東京オリンピックに関するブログ」は何度も書いてきており、この新国立競技場に関しては「国立競技場は沈めてしまえばいいのではないか」などとずっと危惧を持っていた。
しかし、あれから1年半も経っているのにかかわらず懸念はそのままのまま解消されず、結局莫大な建設費が見込まれる状態で建設に突き進むとする旨が文部科学省から示された。
一時はデザイン見直しで建設費は1625億円まで圧縮されたが、今回その後の試算で再び900億円上乗せされたとのことで、結局2520億円で建設されることになったと報道されている。
この2520億円という金額は一般人にはあまりにも巨額すぎて何とも想像がつきにくいが、前回のロンドンが843億円、北京が511億円、アテネが367億円と過去の競技場と比べても桁違いに高く、今回の増額分だけでロンドンの競技場が建設出来てしまうような金額である。
また日本国内の主要スタジアムの建設費は日産スタジアムが600億円、味の素スタジアムが300億円、埼玉スタジアム360億円、札幌ドーム420億円、東京ドーム350億円、京セラドーム500億円、ヤフオクドーム760億円、ナゴヤドーム405億円とありこれらと比べても異常に高い。
この高額の元凶となっているのが、デザインの要となっている2本の巨大アーチで、このアーチだけで1000億円が必要だと言われている。
2本で1000億ということは、つまり1本500億円であのアーチ1本分だけでドーム球場が作れる金額であり、今回の予算で5大ドーム全部作れてしまう金額ということになる。
つまりいかに従来の相場とは比較にならないほど高額な予算であるのが今回の新国立競技場建設計画なのである。
いくらオリンピック・パラリンピックが世界的に名誉あるイベントだとしても、使われるのは両イベントで1か月程度の期間だけであり、ドーム球場5つ分もの費用をかける必要は無いように思われる。
さらに建設後の維持費も莫大で、到底黒字にはならないとされ、毎年10億円近くの赤字が垂れ流しになるとも言われている。
もし2520億円の税金が使われるとなれば、国民一人当たり2000円以上の支出となるわけで、国全体が財政赤字に苦しみ昨年の消費税アップであれだけ騒いだ中で、この不必要とも思える支出はあまりにも莫大である。
しかも聞くところによれば、この元の1625億円の建設費用でさえ実は財源の目途が全く立ってないとされ、TOTO(スポーツくじ)の売り上げの5%を当てると言われてるが、それだけでは年間50億円程度の財源にしかならず、これで全部賄うとなると50年ローンとなり、とても競技場建設費に足るものではないということのようだ。
一部報道では財務省でさえ既にこれ以上の支出を出し渋っているとされており、いったいどこからお金を持ってきて、常識外れに高額な新国立競技場を建てようとしているのか、非常に不思議な状況なのである。
どうも文部科学省大臣が敢えてお金のかかるようなデザインを選び、必死になってなるべく多くの予算の引き出しを狙っている、そんな風に映る。
しかもオリンピックという大看板を盾にして、旧国立競技場の解体や新競技場の建設契約締結先行など、あと戻り出来ない既成事実化を進めて、お金を出さざる得ないような状況を作ろうとしている、そんな風に映るのである。
どうして、これだけおかしい事実が噴出しているのに大臣の暴走を止めることが出来ないのか?日本の行政の全くおかしな点である。