年末から今年にかけて、世界の複数個所で新型コロナウィルスのワクチンの承認が行われ、間もなく世界中で徐々に接種が始まるような状況になってきている。
まあ急いで承認されたものなので、これらのワクチンの副反応に対する懸念や効果に対する疑問の声が付きまといながらの船出である。
それに加え輸送の問題が大変らしく、ファイザー製のものはマイナス40度で保管しかなければならないとか、結構高いハードルがかけられている。
果たして無事に世界中届くのかは少々疑問である。
こういった疑問が沢山あるため、私個人としては今すぐにワクチン接種を受けようという気分にはなっていない。
まあ私個人の気持ちはともかく、一応日本では国民全員に接種を無料で受けさせるということになっている。
しかし「国民全員?」という言葉を聞いた途端にちょっと昨年の疑念が蘇ってきた。
そう、あの10万円給付問題である。
去年の4月に「国民一人当たり一律10万円」の掛け声で配られたはずの給付金は私のような、住民票を抜いて海外へ出ている在外邦人は、結局住所のないホームレスとの同等の扱いで、10万円は届けられなかった。
その政府が舌の根も乾かないうちに、また「国民全員にワクチン」と言ってのけるのである。
恐らく今回のワクチン接種に関しては、健康保険制度の加入者名簿をベースにして接種が実施される可能性が高く、健康保険から脱退して海外にいる人は対象にならないのではないか?
いや、健康保険に加入していたとしても、この渡航規制を乗り越えて帰国しない限りは、物理的に接種を受けるのは難しいような気がする。
また住民票のないホームレスも給付金同様に対象外となる可能性が極めて高いと想定される。
併せて海外からの留学生なども対象外となる可能性が見込まれ、「国民全員にワクチンを無料接種」の言葉から漏れる対象は国内外に少なくないと推測される。
では、現在の居住地である中国側ではどうか?
こちらも国民全員に接種するというような触れ込みではあるが、その対象に中国国内に居住している外国人が含まれているといった情報は今のところ耳にしていない。
恐らく接種の形式としては、国民が加入している医療保健カードに、ワクチンの無料接種券などを付与して、各自が地域の診療所などに赴いてその医療保健カードを使って接種を受けるというのが、推定される方法なのではないだろうか?
こうなってしまうと、現地の公的医療保険などに加入していない私のような外国人は結局は蚊帳の外になる可能性があり、ワクチンは受けられない可能性が高いと予想される。
まあ中国側は有料(金次第)で受けられるようになるかもしれないが、まずは考慮されない可能性は高いのではないかと想像される。
つまり、日中両国政府とも国民全員に無料接種と歌いながら、国籍地に住んでいない外国人は、結局蚊帳の外になり、ワクチン接種が受けられない可能性が高いことになる。
冒頭に書いたように私個人としては現時点で積極的に接種を受けたいということではないが、やはり10万円の時同様に在外邦人が「国民全員」の言葉からはじき出されて扱われるのは、納得いかないものがあるのである。