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インバウンド対応を謳うのにUSB電源供給口がない日本の私鉄車両

 何やら最近、日本の大手私鉄で新たな有料特急座席指定列車が増設されるニュースが相次いでいる。

 もちろん、従来の日本人通勤客への便宜という意味もあるが、どうやらここ数年急激に増えた外国人観光客向けのアピールなど、インバウンド需要などを狙ったと謡っている会社も少なくない。

 通勤者向けというのは、これから日本の人口が少しずつ減少することによって、通勤客も目減りするという事情もあって、通勤客の囲い込みと増収策の意味で有料座席列車が増えているという状況のようだ。

 一方で、外国人向け対応として、新たに製造した新車両にWIFIAC電源の設備を設けたと得意気に謡う私鉄も少なくない。

車両説明資料より(引用元

 しかし、そもそもこれらはノートパソコンの普及した20年くらい前に対応しておかなければならない事項で、今ようやく「つけました」というのは今更感がすごくある。

 さらに、私が気になったのは、AC電源として2つ穴の日本仕様のコンセントは用意されるようになったようだが、USB電源に対して全く考慮されていないということ。

 今時、世界中のどこの空港に行っても、その国の電源供給コンセントに加えて、USB電源口を備えているところが多い。
 何故なら、世界中で電源コンセント規格がバラバラであるが、USBは基本的に世界統一規格であるからである。

上海虹橋空港の電源とUSB給電口

 しかも、たいていの観光客はノートパソコンを持ち歩いていなくとも、スマートフォンは持ち歩いており、その電源としては通常電源よりUSB給電口が便利なのである。
 もちろん観光客に変換プラグを買わせれば、AC電源からも充電は可能なのだが、短期間しか滞在しない外国人観光客にわざわざ変換プラグを買わせるような対応はかなり不親切であろうに思う。

 まさか電源設置費用を変換プラグ販売の利益で回収しようなどという魂胆でもあるまい。
 つまりこれらの私鉄の車両はインバウンド向けの対応と言いながら、車両開発者は世界の現状に目が行き届いておらず、日本の常識だけで設計してしまったようである。

 いや、外国人だけでなく、日本にだってとっくにスマートフォンが浸透していることを考えればUSB電源対応は視野に入ってしかるべきで、結局は日本人が使用する視点(持参のACプラグを使用する)でしか準備されておらず、外国人の視点に立てず井の中の蛙状態の発想で設計されたものと言われても仕方ないだろう。

 古くから存在する施設が改良されないのは仕方がないことではあるが、わざわざインバンド対応を謳って新たに準備したのに、視野が狭いおかげで中途半端になってしまったのはとても残念に思う。


 

上海ワルツ:
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