私はかなりの気分屋なので中国に来る前から、時々集中力を欠いてしまうことがある。
最近は外国にいる疲労なのか、中国だから特別なのかよくわからないが仕事中にもまるっきり集中力を欠いてしまうことがあるようになった。もちろん年齢から来る要因もあろうかと思うが、元々「堅実」という言葉から程遠く「集中力だけ」で仕事を乗り切っているB型なので、集中力が切れてしまうともう全く仕事にならならない。
それで生きていけるなら良いのだが世の中そんなに甘くないので、どうにか集中力を取りもどして仕事に集中しなければならない。
そんなふうに気持ちがいろいろ散ってどうにもならないときに、私が集中力を取り戻すためによくやるのは、ヘッドホンで好きな曲を思いっきり大音量できくことである。
静かな部屋で、外界からの情報をシャットダウンし、目を閉じて音楽を聴く。出来れば横になれるとなおいい。
私はたまたまクラシックが好きなので主に使うのはクラシックの曲になるが、自分が好きな曲ならジャンルはこだわらなくてよいように思う。
ただし、できるだけ外界を忘れるため、聴く音楽は、大音量で聞く価値のある、激しくてスピード感があり、かつスリリングな曲のほうが気持ちを集中しやすい。
一般に静かな曲のほうが集中力をを高められると言われるが、それは普通の集中力を保てている時の話で、集中力を欠いているときは、静かな曲を聴いても重さを感じるだけで、その重さにとてもついていけない。
集中力を欠いているときは、まず好きな音楽で「心」に活力を与えることが大事なので、心が好む曲を聴くことが必要になる。
好きな曲に心が向いて、心に活力が取り戻されたなら、あとは心が音楽を追いかけることによって自然に集中力を取り戻すことができる。
この方法をやるには人にもよるが5分から10分以内くらいの曲が適当である。
それ以上長く音楽を聴き続けると、もともと力が弱いところからの回復なので、集中力を無駄に浪費してしまい、今度は息切れして集中力の持続性がなくなってしまうのである。
現在、私が時々この集中力ために聞く曲の一つが、グリンカ作曲歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲である。この曲は何しろ曲調が明るくて良いのである。気持ちを明るいほうへ持って行ってくれる。
なので、集中力かつ元気が欲しいときは重用している。
このような方法は以前日本にいたとき、芝居の本番の前に役者が集中力をなくしたときに、よくやらせていた方法で、目の前の状況を乗り切るには一定の効果があった。音楽の不思議な効用の一つである。
但し、この方法は一時的なカンフル剤のようなものなので、何度も連続して使える手ではなく一時しのぎと考えたほうがよい。従ってこの方法で山を乗り越えたときや、この方法でも駄目だったときは、寝れるのなら素直に寝たほうがいい。