間もなく6月16日に上海ディズニーランドがオープンする。
中国では減速気味の中国経済の起爆剤として期待されている面が強いように思われる。
恐らく日本の東京ディズニーリゾートの成功がイメージとして強いのだと思われるが、上海にも東京と全く同じような成功がもたらされるのかと言えば、個人的には懸念の方がやや強いといった気がする。
何故、そう感じるのかと言えば、中華圏で先行オープンした香港ディズニーランドがぱっとしない結果となっているからである。
まあ私は香港ディズニーランドに実際に行ったわけではないので、伝聞的情報となってしまうが、香港ディズニーランドは確かにキャラクターや施設、アトラクションなどは整っているが、園内が東京ほど美しくなく来園客を惹きつけきれない状況のようである。
東京でうまく行ったのになぜ香港ではだめなのか?
この理由としてよく言われているのが東京と香港では経営体制が全く違う点にあるということ。
東京ディズニーリゾートは、よく知られているようにオリエンタルランド社という日本の会社が運営しており、米ディズニーの資本は全く入っていない。
ウィキペディアによればオリエンタルランド社の出資者は京成電鉄、三井不動産、千葉県、第一生命などとなっており、純然たる日本の会社である。
(少数株主に外資がいるかどうかは知らないが)
米ディズニー社とは、ライセンス契約を結んでおりロイヤリティーは払っているが運営は完全に独立しているとのこと。
つまりそれ故に日本式のサービス精神を思う存分に発揮した経営が出来、かのように大成功に結びついたのだと言われる。
これに対して香港ディズニーランドは、香港特別区政府と米ディズニー社の共同出資であり、米ディズニーが直接運営に乗り出しているものの、しばしば運営方針を巡って香港政府とぶつかりギクシャクした関係が報道され、黒字を出すまで7年も要している。
まあ香港は西側とはいえ、お金にシビアな中華圏であり、日本に比べサービス精神に欠けるというか、短期的な利益にとらわれ長期的なイメージ戦略への理解が作り切れず伸び悩んだのだろうと思われ、ディズニー側となかなか噛み合わなかったのだろうと察する。
そして上海である。
この上海ディズニーランドはやはり上海市政府系会社と米ディズニーの共同出資であり、上海側57%、ディズニー側43%の出資比率となっている。
つまり、上海ディズニーランドは実質上海市主導で運営されることとなり、上海式の経営が行われることを意味する。
上海側で参加する会社は上海申迪(集団)有限公司という会社で、その資本3億元のうち錦江国際(集団)有限公司が7500万元(25%)、上海広播電影電視発展有限公司が9000万元(30%)、上海陸家嘴(集団)有限公司1.35億人民元(45%)という割合で出資している。
それぞれ、旅行(錦江)とメディア(広播)、土地(陸家嘴)の会社であり、この3社に利益がある方向で運営されることとなるが、いずれもバリバリの上海市政府系の会社であって、とても民間と言えるような会社ではない。
(参考上海ディズニーランド,上海市57%、W.D43%出資、14/8月現在は、膨大な草ぼうぼう?)
つまりこういった政府系の会社によって運営されるのが上海ディズニーランドということになり、果たして東京のようなサービスを提供できるのか、いささか疑問である。
この点参考になるのが、2010年に行われた上海万博や現在の上海市の行政サービス(地下鉄や博物館など)であるが、私感ではちょっと東京ディズニーリゾートに追いつくのは難しいような印象である。
上海は、中国の他の地方に比べればはるかに高いサービス意識が浸透しているが、それでもやはり日本の水準にはまだ遠いのである。
故に今の上海の状況で開園する上海ディズニーランドが、東京ディズニーリゾートのような質を維持し、長期的な人気を得られるのかは今の段階では確証を持って言えないということになる。
恐らく国内からの利用客数はそれなりに数を惹きつけられるとは思うが、それは単純に人口が多いからであり、東京ディズニーリゾートのように国内のファンのリピーター客や、海外からの旅行客を惹きつけるような施設となれるとは、今のところ想像できないのが本音である。
はてはて、10日後の開園はどうなりますことやら。
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14億いるから
「数字的には大成功」になるんでしょうね。キット。
でまた大好きな「世界一云々」の大発表になるんでしょうね。
まあ、収益的にはどうなのか分かりませんがこれで東京ディズニーリゾートが少し静かになると思えば良いことでしょう。
これ小国のひがみかなあ。