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あいまいな指示

WBCの侍ジャパンが三連覇の夢潰えて敗退が決まった。

まあ野球という勝負事において永遠の勝ちっぱなしは有り得ないから、負けてしまうことは仕方ないのだが、大事なところで痛恨のミスが出たのがやはり残念であった。

 今回は指示があいまいなために出たミスである。

 複数の人間が意図的に同時に行動するためには必ず決まりごとが必要になる。

 そしてその意思疎通が必要になるはずなのだが、今回意思を疎通すべき2人の人間の間にきちんと決まりごとが徹底出来ておらず、その確認徹底を指示できなかったためにミスに繋がった。
 
 今回の件について具体的に言えば、ダブルスチールを敢行する場合の段取りと中止する場合の段取りの意思疎通が必要であり、これが徹底できてないからミスに繋がったと言える。

 このように野球に限らず複数の人間が一つのことを一緒にやろうとする場合は絶対にあいまいな指示は禁物である。

 例えば私が昔芝居の音響をやっていたときは必ず「きっかけ」というものが存在していた。

 それは役者のセリフだったり動きだったり、あるいは照明の変化だったりその中身は色々だったが、音をスタートさせたり止めたりするには必ず「きっかけ」が必要で、もし役者の動きがきっかけになっている場合は、必ずその役者に動きがきっかけになっていることを伝えておく。

 こうしておくと、例えセリフは飛ばしたとしてもそのきっかけは必ず押さえてくれるのである。

 逆に言わないでおくと、役者が突然その場のアドリブでセリフを変えたりした時にきっかけの言葉が無くなりオペレートが混乱し、最悪の場合は音楽をスタートさせられない時もあり、結果芝居がぐちゃぐちゃになる可能性だってある。
 
 そのくらい事前の意思の疎通と明確な指示は大事であった。

 また日常の仕事の上でも、決め事として「こうなったらああしてね」と具体的なきっかけと動きを明確に伝えておくと、いちいちその場で指示しなくても仕事は流れるようになる。

 それを例えば「明日社長が来ます」だけとか言っても、言われた方は会議があるのかないのか、資料が必要なのかないのか、或いは待機する必要があるのかどうかまるっきり分からない指示となる。

 少なくとも一度は「社長が来る日は必ず1時間ほど会議を行ないますので、必ず時間を空けて出席し○○の資料を準備してください。」と具体的な指示をしておく必要があり、それを伝えておけば次回からは「明日社長が来ます」だけで済む。

 ただスタッフの入れ替え時のフォローや、行動の確実性などを考えると毎回明確に指示するのがやはり確実とも言える。

 もちろん業務を裁量で任せるような指示方法も確かにあると思うが、複数の人間が絡んで行動する場合、指示された相手が行動に迷うような言葉はやはり業務上の混乱をきたすし、結局連絡をした意味が全くないのとほぼ同じ状態になるから、ポイントだけは明確に指示する必要がある。

 大きな組織で働いたことのある人間はこのあたりを結構徹底的に叩き込まれるはずなのだが、組織に属したことの無い人や組織を離れて長い人はやはりあいまいになる場合が多く、そういう人の下で働くときは注意が必要である。

 その明確さが徹底しないとやはり今回の野球のようなミスを招くことなる。

 複数の人間が同時に動く場合の指示に「あいまい」は絶対禁物である。

上海ワルツ:
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