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虹橋ターミナルはきっと使いにくい

 現在虹橋空港の西側に空港、バスターミナル、長距離列車駅、地下鉄駅が一緒になった虹橋総合交通ターミナルが建設されている。

 まあ建設者の意図としてはこれだけ交通機関を集中させればどの交通機関にも乗換えが出来るので、とても便利だろうというのが発想だろうが、計画を聞いている限りではとてもそんな印象は持てない。

 まあ関空や成田空港をちょっと想像していただければわかると思うが、まず空港という施設そのものが広大な空間であり、「空港」という一つの概念の建物でありながら端から端までの距離は数百メートルに及ぶ。

 従って利用者は基本的にその内部を徒歩で移動しなければならない。動く歩道など便利なものを設置にしたにしろ、大きな荷物を抱えて移動する距離が長いことには代わりが無い。

 ここへ色んな交通機関を沢山くっつけていったところで、余程うまく配置しなければこのターミナル内の移動距離は非常に長くなるのがオチで、同じターミナルといっても交通機関同士の距離が遠ければ、そこを移動するだけで疲れてしまう。これでは何のために施設を集中したのか分からない。

 結局はそれぞれの施設をそれぞれ一個ずつ地下鉄の駅前に配置したほうが余程利用しやすいということになってしまう。

 この良い例というか失敗例として上海南駅がある。利用したことのある人はわかると思うが、広大な施設として鳴り物入りでオープンした上海南駅は、バスターミナルと鉄道駅と地下鉄駅が一緒になった総合ターミナルであるが、それぞれの乗り換えには結構長い距離を歩かされる。夏の暑い日には冷房の効かない地下空間を数百メートルも歩かされるのである。

 故に今回の設計コンセプトからみてあんな空間がまた新たにターミナルとして再現されるであろうことは想像に難くないのである。

また逆に、万が一もし各交通機関の合理的な配置が成功したとしても今度は集中による弊害が生まれることになる。
 どういうことかというと、中国の駅やバスターミナルは普段でも利用客が多すぎて待合室の客が座る椅子も足りないほど混雑する。それだけこの国は人が多く、しかもターミナルには人が集中する。故にそんな状況のものを一箇所に集中させれば、人であふれて大混雑を起こすのは間違いないのである。

 さらに、ひとたび天候状況の悪化などにより、いずれかの交通機関のひとつでも麻痺すればターミナルは大混乱を引き起こすに違いない。2年前の大雪で交通機関が麻痺し、広州で起きた群集圧死事件のようなことは人口の多い中国ではまだ容易に起き得るのである。
 そんなリスクのある施設が新たに誕生しようとしている。

 「大きいことの弊害」や、「集中することの弊害」をそろそろ中国人も学んで欲しいと思うのだが、相変わらずデカイだけの使いにくい施設が作られてしまう。
こういうところが、現在の中国のアンバランスな成長なのかなと思ってしまう。
 秋にオープンするこの施設、この予想を裏切ってくれることをぜひ期待したい。

上海ワルツ:
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