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選挙で名刺10万枚、訪問3万軒のすごさ

 今回の選挙で小池百合子元防衛庁長官を破って当選した江端貴子さんの選挙活動について記事を読んでみた。

 元東大准教授でマサチューセッツ工科大学のMBAを取得したというものすごいキャリアウーマンだが、1年7ヶ月前に民主党の公認候補になってからの選挙活動はひたすら地味ともいえるあいさつ回り戦術であったという。

 その訪問先数は延べ3万軒近くにのぼり、配った名刺の枚数は10万枚以上だという。

 1年7ヶ月というのは日数に換算すると約580日ほどだが、その期間に10万枚の名刺を配るというのは尋常なことではない。

 1日あたり200枚ほどの名刺をコンスタントに配らなければ到達できない数字である。

 私も営業であるので夜の会合や営業先で小まめに名刺を配っているが、1ヶ月に200枚ほどがやっとであり、1年半ほどで恐らく4000枚弱を配った計算になるが、彼女は私の30倍、つまり私の1か月分の枚数を1日で配っていたことになる。

 一日10時間の活動とすれば、1時間あたり20枚の計算になり、3分に1回名刺交換したことになる。
 もちろんティッシュ配りのようにただ配ればよいわけではなく自分を覚えてもらえるように配るのだから、一人ひとりに丁寧な対応を要求される。

 普段自分が名刺交換という行為をしていて、一日200人の初めて会った人と挨拶をして名刺を交換するという行為が、どれだけ疲れるか想像できるだけに、これを1年半以上も続けた彼女の馬力にはほとほと感心する。

 私はこの選挙区の地元ではないので彼女が地元で従前にどの程度の知名度が有ったかは知らないが、政治家としてはほぼ無名に近かったはずであり、その彼女が知名度として全国区である小池議員を破ったというのは、こういった地味な選挙活動の力が非常に大きいと思う。

 彼女の得票数はちょうど配った名刺と同じ10万票余りで、単純に言えば配った名刺の数がそのまま票に生きたともいえる。

 確かに今回の選挙では「民主旋風」といわれる追い風が吹いたと言われているが、この江端さんに限らず当選した無名の新人議員さんのエピソード記事を読むと皆さん非常に地味な選挙活動を長期間にわたって行なっている話が伝わってくる。

 たとえ落下傘候補と呼ばれる地元に縁のない人でも、地道に挨拶周りを続け、地元の人脈を広げる活動を続けることによって、地元の人間に馴染まれ選挙に勝利できることが可能だというのが今回の結果であり、単にその場限りの旋風が民主党に勝利をもたらしたと考えるのはいささか浅はかであるような気がする。

 そう考えると解散時期をここまで先送りして選挙期間を後送りにしたこと自体が、結果的に野党側の候補にこれらの地道な選挙活動時間を与えることになってしまい、敗北の原因となったともいえる。

 まあ日本の選挙の結果はともかくとして、地道に顔を広め、つなぎ続けるという行動が、地縁を超えて信頼に繋がっていくということがわかり自分の上海での活動にも勇気を与えてくれた。

 私にとって上海という場所自体がもともと何の縁もない土地であり、完全なよそ者である。

 しかしながら、知り合った人との関係を一つずつ大事にしていくことによって中国人の友達も増えてきた。

 また日本人に対しても、元々それほど縁の深くない県の県人会でも、こまめに顔を出し顔を繋ぎ続けたことによって、一つの商売の芽に繋がりそうな関係も作れつつある。

 石の上にも3年という言葉があるが中国に来てもうすぐ丸3年になる。

 さすがに名刺10万枚を配るまでにはまだまだ相当時間がかかるかもしれないが、今後も地道に顔を広げ、それを繋げる活動を続け、それをいずれ何かの力に変えられる日が来るように頑張りたいと思う。

 

上海ワルツ:
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