上海の日本料理店でランチ時にお店に入るとたいていのお店で「豚肉生姜焼き定食」がメニューにあり、かなりの確率で頼んでいるような気がするのだが実のところそれほど気にいった豚肉生姜焼きに出会えていない。
上海で注文すると出てくる豚肉生姜焼き定食は、玉葱と豚肉を炒めて、薄い醤油とほんのちょっとの生姜で味をつけた、こんなような生姜焼き定食が多い。
誰がこの上海の豚肉生姜焼きのレシピを広げたのだろうかと思うほど、どのお店も似ている。
もちろん決してまずいというわけではなく、まあ味としては美味しいといえば美味しいのだが私の頭にこびりついている生姜焼きとはちょっと違うのである。
私の求めている生姜焼きというのは、玉葱はほんのちょっとで、もっと生姜たっぷり醤油たっぷりで、言うなればもう少し下品な豚肉焼きといったらよいであろうか?
その一つの典型が日本時代に東京の江東区役所の食堂で食べた豚肉生姜焼き定食である。
薄いロース肉を4枚べったりフライパンで焼きつつ、生姜とお酒と醤油で作ったタレをかけて焼く。
生姜の味がかなりしっかり効いている。
まあ多少塩分が濃くて体に悪いような面もなきにしもあらずだが、これとご飯を一緒に食うとめっちゃうまい。飯がどんどん進む。しかも何故かカレーが小鉢に一杯ついてくる。
通常のランチより少し高めの500円でちょっとした贅沢気分で食べていたことを思い出す。
上海で生姜味の物足りない生姜焼きに出会うといつもあの味を思い出して比べてしまうのである。
このようになかなかお店では食べらないので、たまーに家で挑戦することもあり、その場合には自分好みの豚肉生姜焼きにすることが出来るが、まあ一人分の食事のために材料を買ってくるとかなり高くつくのでそうそう年中は作れない。
故になんとか外でもあの味にたどり着けないかとお店に入るたびにやはり生姜焼きを頼むのだが、やっぱり生姜の薄い豚肉生姜焼きが出てきてしまう。
理想の生姜焼きにめぐり合えない日々はまだまだ続きそうである。