中国での新型コロナウィルスの症例発見がどんどん増え、今も拡散していることが連日報道されており、日本でも今後の感染拡大が懸念されているが、今のところ数例の症例は発見されているものの、爆発的流行と言えるほどの兆しは見せていない。
それは何故か?
ここから先は全く科学的根拠に基づかない私見的な推測になってしまうが、自分なりにその理由を考えてみた。
第一に、市民の基本的な公衆倫理観念について、日中で大きな差があることが理由であるような気がする。
私自身、武漢市には行ったことが無いが、上海やほかの中国の都市の例を見ればわかるように、中国では今でも痰唾吐きや立小便が街中でも横行している。
今や近代都市となった上海でもである。
例を挙げれば、つい最近でも夜遅くに2号線の婁山関路駅前のデパート付近を歩いた際に、裏側ではなく表側の壁に用を足している男性を見かけた。
周囲をよく観察してみると、そのデパートの壁の接地面沿いに変なシミがずっと残っており、犯人がこの男性一人ではなく、日常的にそういった行為がこの場所で行われている証拠であることがわかる。
大都会となった上海でこうであるのだから、地方都市の状況は推して知るべしとなる。
また公衆トイレについても、上海の中心部ではほとんど見かけなくなったがいわゆる顔が見えてしまうニイハオトイレが有名なように溝を掘っただけの垂れ流し的な処理の場所も中国の地方都市では数多く残っていると推測され、排泄物から容易に菌が飛散しやすい環境がある。
しかも中国の公衆トイレの基本は和式(中式)であり、腰掛式の洋式トイレは多くなく、やはり菌などが飛び散りやすい環境がある。
しかも彼らは用足し後に手を洗わないことがほとんどである。
こういった環境からウィルスが日本より拡散しやすい状況であることは容易に想像できるのである。
また人間側の生活様式の問題もある。
以前「上海人はあまり脱がない」で書いたように、中国では北方の寒冷地域を除いて暖房設備の普及があまり進んでいない。
例え設置されていても電気代など費用増加を気にして使用せず、室内が寒い状態のままの部屋が多く、代わりに服を重ね着したり、熱い食べ物を食べたりして暖を保つ習慣になっている。
この結果、日常から食事以外の時は体温が下がりやすく、抵抗力が落ちやすい状況が生まれているのである。
このような体温が下がった状態で、新型コロナウィルスやインフルエンザウイルスのようなものに遭遇してしまえば、容易に罹病してしまうことは想像に難くない。
さらに。やはり衛生観念にも乏しさがあり、解体したばかりの豚の肉を路上に直接に置いたり、魚を地面で捌くような光景も、最近の上海でさえ見かけられるのであり、最終的に焼けば大丈夫といった感覚で調理をしている人もいるのである。
このほか、中国の医療機関の環境の粗悪さも伝染病の蔓延を助長していると推測する。
今回、武漢の病院で2日待たされている人がいるといった報道がなされていたが、中国のローカル病院は日常から人が溢れていて、長時間待たされるのはいつものこととなっている。
まあ今回のような2日間待ちというのは特殊にしろ、数時間も寒い廊下で待たされ、その間に具合が悪くなるというのは日常茶飯事であり、こういった環境の中で新型コロナウィルスが伝染していったということも少なからずあったと想像できるのである。
これらの条件を考えると武漢市で発生したウィルスの伝染が武漢市内で数千人に拡大したというのは、むしろ不思議ではない状況なのである。
この中国の公衆衛生環境に比較して、日本の状況を考えれば、水洗便所の普及率は高いし、手を洗う習慣も根付いていて、痰唾吐きや立小便の習慣もごくごく限られている人だけだろう。
また日本ではほとんどの場所で暖房が整っていて、屋内なら体温が低下して抵抗力が下がるようなことはまずない環境が整っている。
さらに病院も数が多く、中国ほどの混雑はなく、待たされる時間も中国の比ではないのである。
よってこういった様々な環境の差が、感染速度の差を生んでいるのではないか、そう推測する。
もちろん、これらは独自の私見であり、奈良のバス運転士の例もあるように、ウィルス保持者がいそうな集団と長時間行動を共にすれば感染するようであるから油断は出来ないが、上記の状況の差を考えれば、日本人が普段教わっているように日常の衛生対策をしっかり実行していれば、そうは容易には拡大しないのではないかと推測している。