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逃げちゃったレンタル晴れ着屋さんの気持ちになって考えてみる

 昨日の日本の成人の日に、レンタル着物業者が突如倒産し、ハレの日に晴れ着を準備できない新成人が続出し大騒ぎになっていた。
 これを受けネット上では早速経営者の行先探しやプロフィールなどがどんどんさらされている。

 それらによると、茨城県出身の55歳で2012年にこの事業を創設し、現在上海へ逃げているとの噂もあるようだ。

 まあその噂の真偽はともかくとして、茨城出身で、もしかしていまその経営者がこの上海にいるのかもしれないのかなと思うと、その経営者の現在の心情をちょっと慮ってみたくなった。

 もちろん彼が財産を持ち逃げしての「してやったりの計画倒産」なら同情の余地はないが、震災後の一念発起で起業し、あれから6年間頑張って会社を運営したのに、夢叶わぬ結末として今回の倒産という結果に至ったのなら、何だか他人事ではないなという気がするのである。

 もちろん、被害に遭った方にしてみれば一生に一度の思い出を無茶苦茶にした酷い奴という評価になるが、この経営者とてプロフィールが正しければ35年前に成人式で同じ社会人の道を歩み始めた一人の人間である。

 そして何らかの紆余曲折を経て50歳にして起業を決意した方なのである。

 一般的に起業は半数以上が1年でつぶれると言われることから、5年続いたということは順調に運営が進んでいた時期もあったのだろう。

しかし起業6年目で行き詰まったわけで、この経営不調が見えて来た状態の中、資金繰りに頭を抱えつつ、どんな心理で時間を過ごしていたのかを想像するとこちらもちょっと胃が痛くなる。

 そして結局は有効な手が打てぬまま、最終的に成人式という最も目立つタイミングで発覚して、多くの人に迷惑をかけてしまう結果となり、上述のようにプロフィールが丸裸にされネット上で拡散される事態にまでなってしまったのである。

 このように生きるために、必死にビジネスにしがみついていた人間が、ビジネスに失敗した結果としてこのようなネット上のお尋ね者になってしまうのは、同じように社会で人生を生きるために働いている人間として、非常に気の毒かなという気もしないでもないのである。

 まあ、もう少しお客や従業員に対する気配りが足りてれば、こんな大騒ぎになる前に事業縮小や売却などでソフトランディングクローズが可能だったかも知れないが、結局はこういう結末になったのがこの経営者の結末ということである。

 直接的には何の関係もないこの方のお話ではあるが、これを他人事と思わず戒めとして考えようと思ったこの事件なのである。

上海ワルツ:
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