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上海で撮影された映画「昴―スバル―」

 ひょんなことから、この映画の存在を知ったのでDVDを買って見てみた。

 原作は同名の人気漫画のようで、私はこの作品を見たことがないが、漫画を映画化したときに往々にしてあるように、この漫画が好きな人がみたらあっさり過ぎるのではないかと思えるような内容だった。

 原作を切り離して考えれば脚本としてはそこそこ頑張っている内容のような気もするが、恐らく映画化にあたって漫画のストーリーのエッセンスを抜き出してはいても、原作に織り込まれているであろうもっとドロドロに深い内容までは救い上げられていないであろう。

 まあ何十話、何百話に渡って描かれた原作をたかだか2時間程度に押し込めてしまうのだから、それなりに内容をはしょらなくてはならないというのは仕方ない。
 そうは言っても、映画だけを見ている自分からしてもあっさりしているので、やはりエネルギーとしてはちょっと弱めの作品だ。

 今回映画用にストーリーも若干の設定変更が行われているらしく、例えば原作には上海は登場しなかったようで、故に映画ストーリー上も国際都市というカテゴリ以外は上海というステージに意味があるわけではない扱いだった。

 まあ今回アジア各国のコラボという触れ込みもあり、韓国・香港・中国といった共同制作体制ゆえに、作品中に東方神起らが起用される中、映画制作会社の都合で上海が選ばれたようだ。

 よって上海が舞台になっているシーンでさえ中国語のシーンはほとんど登場しない。
 まあこういった設定の変更なども、原作にあったであろうエネルギーを削ってしまった要因もあるのかもしれない、

 で、見ていない人のためにあらすじ的説明は避けるが、主役の黒木メイサさんなど出演者はよく頑張っている。

 恐らくダンスシーンには替え玉ダンサーも混じっていると思うが、本人の動きもかなりさまになっている。
 聞くところによると、何度かオーディションをやったが、主役に適う動きのできる女優が見つからず、最終的にオーディションの上、彼女に白羽の矢が立ったとのことである。

 もとはクラシックバレェ未経験らしいがそれなりに見せているのがさすが女優である。

 で、ストーリーまあまあ、役者よしのこの映画であるが、私の印象で言えば、監督を含めたスタッフワークがいただけない。

 長い間音に関ってた自分にとっては、アテレコのシーンが口とあっていなかったり、音場の考慮されていない台詞の録音を聞いてしまうと非常に耐えがたい。天下の東宝がよくこんな録音と編集でOKを出したなぁというくらい気になる。

 またシーン構成や演出的な盛り上げ方、音楽の使い方にも、あっさり過ぎる筆遣いしか感じられず、それがこの映画を平面にして殺してしまっているなぁという印象である。

 ダンスの持つエネルギッシュな要素や、主人公のキャラクターをもっと生命力あふれる印象で描けるはずなのに、監督の作風なのかいまひとつ浮き彫りさせきれていないのが非常に残念である。

こんな映画を見るにつれ、生意気にも自分で映画を撮ってみたいと感じてしまった。
 まあ画像に関しては素人なので稚拙なものしか描けないかもしれないが少なくとも音に関してはどうにもムズムズする。そんな気持ちに刺激を与えてくれたのがこの作品である。

上海ワルツ:
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