もうすぐ春節だが、この春節を機に日本人が日本に大量帰国するという噂がある。一説によると4000人もの日本人が帰るらしい。
一つは景気の落ち込みによる駐在員のコスト削減と、一つは鳥インフルエンザの流行に対する懸念。
まあ、鳥インフルエンザに関しては、病気のことなので、情報的に孤立する日本人が帰国させられる事情もわからなくはない。
しかしながら、単に経済的な問題からこういう選択をするのであれば、この経営判断は間違いのような気がする。
中長期的な経営戦略的な意味からすれば、現在のこの金融危機の状況において、中国から投資を引きあげたり一時撤退するような判断はちょっと首をひねってしまう。
まあ確かに日本人駐在員のコストは高く、日本人一人のコストで優秀な中国人技術者が10人雇えるといわれている。なのでコストダウンという意味では日本人駐在員を帰国させるという判断は間違いないように思える。
しかし、日本の現時点の経済環境や、未来予測を考えると、彼らを日本に帰らせて果たしてどうするのかという疑問が沸いてくる。
実は本日そういった日本の状況予測を、人材会社のインテリジェンス様主催の講演の中で聞いてきた。
その予測によると、日本の人口は既に減少カーブに入っており、2100年までに半減し6000万人になり、またGDPは7年後の2015年には中国に追い抜かれるといったような予測が出ているとのことだ。どこまで予測が当たるかわからないが余程のことが無い限り状況は当たらずとも遠からじとのことで、日本の経済の未来に明るい話はどこにもない。一時的な好景気の波が来たとしても、ダウン傾向は止まらないとのことである。
それに対して中国に対する経済予測をみると、今回の経済危機の影響が多少出るとは言え、上昇傾向にあることには変わりなく、一人っ子政策を始めた今でも中国の人口は2035年ころまでは増え続けるといわれている。
それに比例してGDPなどもどんどん伸び続ける。少なくともあと2~30年後くらいの間は、日本と中国の国力の勢いの差は雲泥の差がある。
このような状況を考えた場合、今回の日本企業の中国市場進出の勢いが弱まるような経営判断は実は判断が逆なのではないかと考える。
日本企業にとって、もはや未来100年に渡って国内内需が期待できない今、もっと中国市場に乗り込むべきではないか?中国市場にもっと人と資源を投入し、生き残りを図るべきではないか?今回の話を聞いて実にそう感じずにはいられない今の社会状況である。日本の経営者はちゃんと未来が見えているのか?日本の未来がかなり心配になった一日であった。