中国で生活していて時々遭遇するのが電源コンセントの形状不一致によって、差し込み口に挿せないというトラブル。
まあ日本から持ち込んだ製品が使えないというならともかく、中国国内でも複数の規格が存在し、それぞれそれなりの数が流通しているから、どれか一つに統一出来ないようなのだ。
電圧だけはさすがに統一され国内どこでも220Vではあるのだが、各地に租借地があった時代の名残なのかプラグは国内で統一されていないのである。
もちろん電源コンセントの製品もそういった国内事情を考慮して、複数タイプのプラグに対応したコンセントがほとんどとなっていて、冒頭のようなトラブルがなるべく少なくなるようには考慮されている。
住宅などでよく見かけるのが、下記の写真のような各タイプ兼用型コンセントで、3タイプに対応している。
まず上部の二口穴のうち、角ばったタイプは米国工業規格ではタイプAと呼ばれるものでで、接地極(アース)のないタイプである。
(規格名称は基準規格により呼称が異なり、民間製品とは分類が違うので注意されたし)
タイプAは日本や北米で広く使われているもののと同じ規格となりパソコンのように220V電圧にさえ対応していれば共通で普通に使える。
次にその角穴に付随するように空いている丸い穴は 米国工業規格でタイプCと呼ばれるもので、やはりの接地極のないタイプである。
タイプCはユーロプラグと言われ、ヨーロッパや南米、アフリカなどで広く使われるタイプであり、欧州系メーカーの商品などはこの規格が多い状況のようだ。
そして残る一つが3極式の米国工業規格でタイプIと呼ばれるコンセントでオーストラリア方面に多いとされる形状。
上記の2タイプは接地極の無いタイプなので感電のリスクが高いと言われることから、最近ではより安全な接地極のあるタイプが増えており、中国でもそれを見越してか、このタイプIのコンセントも増えている。
さらに近年はタイプA、Cにそれぞれ接地極のついたタイプB、Hのようなものも登場していることから、それらにも対応したコンセント形状となっており、ますます複雑である。
下記の写真は会社にあった電気の分配コンセントであるが、各々複雑な形状の穴が開いており、裏を返して対応プラグを確認すると左からI・A・C・B・G・Hという 実に6種類の電気プラグに対応できるようになっており、まさに何でもアリの状態なのである。
(タイプGは主にイギリス、香港、シンガポール、中東などで使われてるタイプ)
もちろん、これとて全世界をカバー出来ているわけではないのだが、少なくとも欧州と北米の主要メーカー製品は電圧さえ適合すれば、ほぼそのまま使えると言っていいのではないだろうか?
まあこういった便利な分配器が売られているのは、逆に言えば製品側のプラグが統一されていないことの裏返しであり、壁のコンセントだけでは差し込めるプラグが限られてしまうというのが実情なのである。
国土が広く、欧米それぞれと複雑な関係において発展してきた中国の近代の歴史が、この電源コンセントにも現れているのである。