昨日、突然昔の同僚に誘われてクラシックのコンサートに行ってきた。
18時に電話があって、その晩の19時開演のコンサートに誘われたのである。(笑)
無謀とは思ったが、無料のオケコンサートという言葉に負けて急いでタクシーで駆けつけてしまった。
このコンサートは同済大学の礼拝堂で行われた学内招待コンサートのようで、オーケストラはミュンヘンから来たという「新ミュンヘンオーケストラ」?といった2005年に設立されたかなり若い楽団で、あの有名なミュンヘンフィルやバイエルン管とは違うオーケストラで私も知らなかったオケであった。
まあプロの様ではあるが、言葉は悪いがアマチュアよりは上手ではあるものの水準としてはそれほど高くはなく、日本の大学オケなんかよりはちょっとうまいという感じのレベルだった。
もちろんレベルの良し悪しに関わらず生の演奏を聴くというのは大変貴重な機会なので、そのレベルの見極めも含めて十分楽しんできた。
演奏されたのは、ベートーベンのエロイカと、ショパンのコンチェルトである。
(ブラームスのハイドン変奏曲は遅れたので聴けなかった。)
で、まあ演奏はそういうことで十分楽しめたのだが、やはりというか、聴衆マナーは最低だった。
日本のプロの演奏会では休憩中はともかく演奏中は絶対有り得ない事であるが、聴衆がスマホやタブレットを持ち込んで写真をパシャパシャとっており、中にはフラッシュを焚いて写真を撮っている人までいたのである。
更に言えば会場の公式カメラマンでさえ、褒められた撮影スタイルではなく、普通はゲネプロの際に済ませておくべきような撮影を、本番で立ち上がって動きながら撮っていたのである。
そのほか人が年中出入りするし、子供も遠慮なく駆けずり回っており、じっとしていられないのは仕方ないにしろ、もう少し親が静かにさせるべき酷い状態だったのである。
要するに、皆コンサートに集まって来てはいるものの、「体験記念」の記録に忙しかったりしてロクに集中できず音楽を聴いていないのである。
そういった観客の態度は拍手にも現れており、拍手をする人はマナー的な決まり事の意識でいかにも形式的な形で拍手をするし、逆にマナーを知らない人はヤル気のない拍手しか送らなかったりする。
要するに、演奏者とのコミュニケーションとしての拍手の意味を理解していないので、拍手に慣れていないようだった。
まあ中国の人達は、もともと知らない他に対してコミュニケーションや気配りをするという事には長けていないので、拍手もといった手段も権利主義的に要求される形式的な意味を外されてしまうと、実は上手な拍手が出来ないのかも知れない。
そのように感じた昨晩の彼らの拍手だった。
拍手の音一つとっても、民族気質の差が出てくるから人の社会と言うのは不思議なものである。