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甲子園が日本一広いは誤解?航空写真で比較してみた。

 先月に今シーズンが終了した日本のプロ野球だが、日本シリーズの結果が2年連続で一方的だったため、そのセパの実力差の理由を探る議論がネット上で燻っている。

 一番声が大きいのが、DH制の有無の差である。

 しかしパリーグがDH制を採用したのは45年も前であり、交流戦や日本シリーズで結果に差が出始めたのはおよそ10年くらい前であり、10年前以前はそれほどの差が無かったことを考えれば、DH制に答えを求めるのは無理がある。

 私は10年前というタイミングを考えるのであれば、2004年頃の球界再編や本拠地移転に伴うパリーグ側の球場拡大が大きいのでは考える。

 球場が広がることにより、肩が強く足が速い選手が求められ、守備に弱点があるとDHの枠しか座れなくなる。
 一方でセリーグの場合は守備に弱点があっても打撃優先で起用する場合もあり、外野が狭いために守備力の弱さがそれほど気にならないので、ベテランでも務まることになる。

 そうすると球場の広さによって自ずと守備力の差が生まれ、その間を抜くための打者の努力にも差が生まれることになるだろうというのが私の推測である。
 しかし、この議論をすると、ナゴヤドームや甲子園を持つ中日や阪神が強くなっていないという反論が出てくる。
 横浜、神宮、東京ドームが狭いのは周知のことであるとしても、ナゴヤと甲子園は広いから当てはまらないだろうというのである。

 「甲子園が広い?」

 私の認識で言えば甲子園は狭い球場なのである。

 ネットで調べて見ると、甲子園球場のフェアグラウンドが日本一広いという情報が阪神ファン系のサイトから流布されていた。

 「本当にそうなのかなぁ?」

 ちょっと疑問に思い、グーグルマップの航空写真から、面積計算機機能を使ってNPB各チームのフェアグラウンド面積を確認することにしてみた。

 但し、屋根のあるドームは確認できないので、屋外球場限定である。

ではまず、甲子園

甲子園のフェアグラウンド

 かのサイトのデータでは13000㎡以上あるような情報だったが、測ってみる限りにおいては10264㎡しかない。
 こちらが手作業である上に、計算システムに誤差はあるにしても、とてもネットの情報には及ばなそうである。

甲子園のグラウンド全体

 ちなみにファウルグランドを含んだ面積でも12919㎡でしかなく13000㎡にやはり及ばないのであり、日本一説を流布するサイトの情報に疑問が出て来る。

続いて広島スタジアムを調べる。(ネーミングライツは省略)

広島スタジアムのフェアグラウンド

フェアグラウンドは10338㎡となり、なんと甲子園日本一説はあっという間に覆されてしまう。

広島スタジアムのグラウンド全体

 ただ、グラウンド全体を計測すると12341㎡となり、確かに広島の方が狭いようである。

 続いて、狭いとされる横浜スタジアムを計測する。
 写真は省略するがフェアグランドが9611㎡、グラウンド全体が11888㎡で確かに狭い。

 そして神宮球場も写真を省略するが、
 神宮もフェアグランドが9765㎡と狭いのだが、意外なことにグラウンド全体が12885㎡と広く、フェアグラウンドが狭い神宮もグラウンド全体は甲子園に肉薄するようだ。

 そしてパリーグ千葉マリンスタジアムから。(ネーミングライツは省略)

千葉マリンのフェアグラウンド

 フェアグラウンドは10145㎡となり、甲子園には及ばない。

千葉マリンのグラウンド全体

 しかしグラウンド全体だと、14049㎡となり、甲子園や広島を上回っており、甲子園のグラウンドの広さ日本一説は通用しないことがわかる。

 そして宮城球場へ。(ネーミングライツは省略。)

宮城球場のフェアグラウンド

フェアグラウンドは10075㎡で、意外にも広くなかった印象。

宮城球場のグラウンド全体

またグラウンド全体でも12263㎡で、広島にも及ばない結果となった。

さて、やはり気になるのがドーム球場の広さ。
航空写真では確認できないので、東京ドームと札幌ドームの一応グーグルマップのグラウンドエリアの広さを測った結果が下記となる。

東京ドームグラウンド面積


札幌ドームグラウンド面積

東京ドーム12395㎡。
札幌ドーム14064㎡

地図上の計測のため正確性が担保できないので、参考値となってしまうが、東京ドームと札幌ドームの比較で言えば、圧倒的に差があり、札幌ドームは甲子園と比較しても広そうであることから、フェアグラウンドも甲子園より広い可能性が高いと推測される。

残念ながら、西武、ナゴヤ、大阪、福岡の各ドームは面積データが出て来ないのであるが、全12球団のホームベースからの距離を参考に示すと下記のようになる。

◇パシフィックリーグ
札幌D 両翼 100m センター122m 中間116m
宮城 両翼 100.1m センター122m 中間116m(計測面積10075㎡)
千葉 両翼 99.5m センター122m  中間116.3m(計測面積10145㎡)
西武D 両翼100m センター122m 中間116m
大阪D 両翼100m センター122m 中間116m
福岡D 両翼100m センター122m 中間116m
◇セントラルリーグ
東京D 両翼100m センター122m 中間110m
神宮 両翼97.5m センター120m  中間112.3m(計測面積9765㎡)
横浜 両翼94.2m センター117.7m 中間111.4m(計測面積9611㎡)
名古屋D 両翼100m センター122m 中間116m
甲子園 両翼95m センター118m 中間118m(計測面積10264㎡)
広島 両翼 101m センター122m 中間116m(計測面積10338㎡)

ドーム球場の広さが正確に把握できないため敢えて順位を付けないが、こうやって並べてみると、やはりセリーグの方が球場が狭く、ましてや甲子園のフェアグラウンドが日本一の広さということはなく、パリーグの球場の方が相対的に広いと言えそうなのである。
 さて、球場の広さがどう野球に影響を与えるのかの推測は次の機会に掘り下げたいと思う。

上海ワルツ:
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